トキワ/先生の働き方改革で生徒のメンタル向上へ
スタートアップが投資家を選ぶときの10項目
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スタートアップが投資家を選ぶときの10項目

トキワ/先生の働き方改革で生徒のメンタル向上へ

スタートアップは、潜在的な市場を見つけていち早く費用対効果の高い成長を遂げることを目的としており、また、売り上げがなく借入が難しいことと、連続起業家でない限り自己資金に限界があることから、株式による資金調達を行うことが多くなる。一度行ったら簡単に取り消せないことから、「結婚」とたとえられる。

しかしそれだけ重要なのにも関わらず、投資家のほうが多くのスタートアップを見ているため、比較的スタートアップのほうが情報が少なくなり、投資家との交渉が不利になることも多い。

僕は10年以上前のスタートアップ環境を知らないが、聞く限りネット環境や起業家側のためのコミュニティが増えたため情報収集のしやすさはかなり改善されているそうだが、それでも投資家の話は大きなイベントで口コミで伝わる程度だろう。

そこで約200人実際に投資家に会った経験から、投資家のどんなところを見るべきか10項目にまとめてみた。

初めに要注意なのだが、どの投資家も目的次第で良い面と悪い面があり、優劣をつけることはできない。ただ、以下の項目を知ることで起業家がどんな目的をもってどの投資家と付き合いたいかが分かれば、「こんなはずじゃなかった」となることが減らせるはずである。

0、反社・反市ではないか

最初から「こんな投資家に良い面はないだろ」と突っ込みを食らいそうだし、まったくもってその通りだ笑。なぜならスタートアップはExit(IPOやM&A)を目指すため、公からの評価を受けることになる。

公からの評価を受けるため(人のリスク許容度によるが)、できるだけリスクは減らしたいと考えて行動するものだ。ただ、意外と反社・反市を起業家だけで探すのが難しい。なのであえて意識を持つ必要があるため、最初に列挙した次第である。

参考:「反社会的勢力について経営者が必ず知っておくべきこと」

※反社・反市は起業家にとって明確なリスクだが、他には投資家に女性差別意識があったり、出資後に買い戻しを要求されたり、最初のエンジェルが大多数の株のシェアを保有して出資するなどのリスクも存在する。このあたりは起業家によっては許容できることもあるかもしれないが、一応知っておいたほうがいいだろう。

1、どこまで意見を言ってくるか

投資家のスタートアップの支援方法には3つ存在する。ハンズオン、ハンズオフ、ハンズイフである。

ハンズオン:投資家が積極的にスタートアップに助言などを行う。
ハンズオフ:投資家は基本的にスタートアップを放置する。
ハンズイフ:スタートアップが何かしらサポートを要求したときに投資家がサポートに応じる。

ハンズオフで良いと思っていた起業家が、投資を受けてからその投資家がハンズオンだと気づいたときに、「いろいろ口出しされてうるさい」と感じるだろう。逆もまたしかり。

2、投資家としての成績が高いか(定量的観点)

すっごい当たり前のことだが、投資家はリターンを求めて投資をするのである。リターン以上に、投資によって日本経済を活性化させたり、特定の産業を盛り上げたり、といった目的も存在するだろうが、最低限リターンが得られなければ投資という選択肢をとる必要がない。

なのでものすごく簡単に考えれば投資家の成績とは「どれだけリターンが得られているか」である。その確認方法をいくつか紹介したい。

・投資家のポートフォリオを見る

VCであればたいていホームページにポートフォリオのページがある。そこに載っているスタートアップがどんなスタートアップなのか知ることによってある程度投資家の成績が分かる。VCやCVCに関してはStartuplistを使うことで一括でそれぞれの投資先を確認することもできる。

また最近はエンジェル投資家もAngel Portで投資先を公開しているので、エンジェル投資家の成績も分かりやすくなってきた。スタートアップの資金調達時のプレスリリースを見ることでどんな投資家が入ってるか確認するのも手である。

・IPOしたスタートアップの目論見書を見る

企業は上場時に目論見書を公開する。そこには企業のありとあらゆることが公開されており、その中には株主構成も載っている。

投資家の中には目論見書に載るまで名前が公開されない人もいるし(あえて外に出てこない投資家系)、保有している株が何%なのか分かったりもするし、結構勉強になる。

調べ方は簡単で、だいたい「企業名+目論見書」で調べれば出てくるし、Stockclipや決算に関する分析(例、決算が読めるようになるノート)を日ごろから読んでおくのもいいだろう。

・IRR、D、PI、RV、TVなど

ここは今僕も勉強中なのだが、さらに厳密にリターンを調べるとこういった用語が出てくる。IRRは内部収益率、Dは分配金額、PIは出資金額総額、RVは残余価値となっている。

特に分配金と残存資産価値の合計額を出資金額で割った比率の推移がベンチャーエンタープライズセンターの「ベンチャー白書2018」で紹介されており、2010年~2014年の平均は1.2倍となっている。アメリカの一次情報を詳しく確認したわけではないが、同書によればアメリカは2倍らしい。

※参考「みんな意外によく知らないベンチャーキャピタルのIR

とはいえこんな情報を聞いても教えてくれないだろうが笑。

3、知識と知恵を持っているか(普段の勉強量や行動量)

人の意思決定は知っている内容から行われる。知っている内容が多ければ成功しやすいとは必ずしも言えないが、その確度を上げることはできるだろう。(例えばAirbnbに投資したセコイアの担当者は貸し別荘市場について調べていた)

とはいえ知識や知恵に際限はない。ではどこに絞って日々勉強していれば良いスタートアップを見つけやすくなるだろうか?

まず当たり前だが売上を出す必要があるのだから「ビジネス面全般」だ。プラットフォームやサブスクリプションといったビジネスモデル、金融や医療といった業界、消費者向け製品と企業向け製品の流行、他の国・地域で発生しているサービス、サービスが上手くいく背景(PEST)と多岐にわたる。

次にどうやってスタートアップが大企業が多くいる中で突破できるのか、その成功の大きな割合を占める「テクノロジー」である。ちょっと前まではテクノロジーといっても情報学(インターネット関連)で済んだが、最近は機械学習やブロックチェーンなどのアルゴリズム(数学)から、物理学・生物学・化学まで幅広く使われるようになってきた。

そういった外部環境は最低限として必要だが、最後にやはり重要なのは「CxOとそのチームの構成や戦略」である。どんなに良いテクノロジーと市場でもチームが悪くて自滅するなんてことはざらにある。彼らが投資家と同じ、いやむしろそれ以上に特定のビジネスとテクノロジーのことを分かっており、チームを組成し運営・管理するだけの能力があり、その軸となる信念や目的があるかどうか、などが重要になってくる。

※投資家の中でもエンジニアリングやサイエンスが分かる人はとても少ない。例えば元DeNA川田さん、TomyK鎌田さん、サンブリッジアレンさん、Coral澤山さん、MIRAISE岩田さん、元マネフォCTO浅野さん、メルカリ山田さんなどである(随時追加)。

4、コミュニケーション能力があるか、合う性格か

3番をどれだけ投資家が持っているか確認するにはやはり質問が一番である。別に投資家を試す意図がなくても、単純に起業家はわからないことだらけだと思うのでどんどん質問していいと思っている。

チームの表面的な部分は投資家の「知識」によって「理解」できる。が、「知恵」の部分は「共感」によってしか理解しあえない。投資家が良い起業家を見つけてもその投資家が起業家にとって合わなければいけない。

もし投資家に知識がなくても、投資家側が適切な質問をすることで起業家が答えて、投資家は理解を深めることができる。質問の結果、正しい感想を言えば、起業家が共感してくれるかもしれない。普段理解されない起業家にとってはそれだけでもうれしいことだ。

そこまで合ったとしても「結婚」にいたらないことは恋愛でもあるように、投資家と起業家の間でも存在し、その原因がまさに価値観や性格になるだろう。極端な例でいえば女性差別者だったり、もう少し一般的な例でいえばその事業が将来なんのために存在するのか、だろう。

参考:「起業してもうすぐ2年たつが予想以上に順調、投資家以外

個人的には良いことも悪いこともはっきり言ってくれる投資家が好きなのだが、起業家に対して何も言わない人も多いし、めちゃくちゃアドバイスをくれる人もいる。

5、スタートアップの日常業務や事業をどこまでサポートできるか

エンジェル・VC・CVCの役割はもはやお金を出すだけではなくなってきている。投資家たちがお互いに差別化をするために、もしくは本質的にスタートアップにとって必要だと思うために、他のサポートを充実させてきている。

資金調達:スタートアップにとって資金調達に割かれる時間や労力は相当きつい。事業もかなり止まりやすくなる。ここを投資家が代わりにやってあげる、というのがある。

採用:投資家は常日頃から多くの人と会っているため、投資先のスタートアップに新しい人材を紹介できる。せっかく投資したお金が人材会社に流れていくなら投資家が人材会社のようになれればベストだ。

PRや広報:スタートアップが事業開発に専念しすぎて自社のサービスや文化を分かりやすく伝えたりすることが苦手なこともある。

その他の人の紹介(コミュニティ機能):スタートアップはさまざまな問題にぶち当たったり、理解されないことも多かったりする。こういったことは他の起業家がすでに解決していたり、同じ起業家なので理解しあえたりする。投資家は複数社に投資しているため投資先同士をつなげてコミュニティにすることができる。

事業の促進:CVCや企業の戦略投資がここに強みを持つ。要はスタートアップのサービスの顧客になってくれたり、顧客を見つけてきてくれて、売上・利益に直結するサポートだ。投資を行うアクセラレーターもこういった機能を持っているところが特に海外では多い。国内では「オープンイノベーション」を行う中間組織が存在するが、スタートアップが大企業のサービスの顧客になってしまうこともあり、どこまで本質的に支援できるかは今後の変化に期待だろう。

6、VC・CVCは組織の体制を徐々に整えているのか、エンジェルはコミュニティを徐々に形成しているのか

スタートアップが刻々と成長していくのと同じように、投資家によっては同じく刻々と変化・改善・成長していく。一時点での知人の紹介は上記に書いた通りだが、やはりそれでは全く足りない。例えばIncubate Fundの「IF Talent Network」やエンジェル投資家の間でも「Japan Angel Fund」というコミュニティが徐々に立ち上がっている。

コミュニティという外部集団だけでなく、特にVC・CVCはチームとして体制を整える必要がある。メンバー同士で補完関係になっていたり、それぞれにKPIが設定されていてチームとしての目標が明確であったり、投資検討会議にたくさんあげすぎないよう下が調整したり、逆に上にあがる量が少なくなりすぎないようにも調整したりできる体制が望ましいだろう。

ただ単にコミュニティや体制がうまく形成されていることが重要なのもあるが、それよりも重要なのは、他人を巻き込む力がある投資家であるということだ。スタートアップにも他人を巻き込む力が重要なのだが、スタートアップだけでやってるととても大変である。それを投資家も一緒にできるとさらなる巻き込みにつながっていく。

※VC・CVCの担当者によっては「エンジェルは好きにできるから」と考えている人もいるが、それはVC・CVCがLP含めて目的がちゃんと共有されずにファンドが組成されているということである。エンジェルだって別にばらまくように投資はしていない。

7、ブランドを持っているか、PR力があるか

上記の巻き込む力に大きく関わってくるが、投資家自身がどれだけ有名か、ということも重要である。人は感情の生き物であるため、有名な投資家が入っていると「あのAさんが出資しているとこなのか」と他の人に会うたびに言われることになる。

また特定の業界を垂直的に攻めていくスタートアップであれば、広く有名でなくても、その業界で有名であれば権威として使えるかもしれない。例えば人工知能の領域であれば松尾豊さんや、ブロックチェーンの領域であれば増島雅和さんである。

もちろん「有名だから出資してもらいたい」というのは通じない。投資家側にも有名になる目的があるからメディアに露出したりするのである。なので逆にスタートアップ側も有名な人に断られたからと言って過度に落ち込む必要もないのである。一番重要なのは結局事業の促進だ。

8、スタートアップに問題が発生した際にどこまで面倒を見てくれるか

スタートアップにも色んな問題が発生する。資金がショートしそうになったり、起業家うつになってしまったりすることがよくあることである。そういった状況になったときにどこまで助けてくれるか、ということも投資家側のサポート領域だったりする。

例えばエンジェル投資家が一定期間お金を貸してくれるとか、ランチやお茶を通じて精神的にツライことを相談させてくれるとかだ。もちろん投資家も暇ではないので、優秀なスタートアップを優先的にケアするし、そもそもそれぐらいの課題は自分で解決してほしい、という投資家もいるだろう。なので投資前にできるだけ確認しておいたほうがいいかもしれない。

9、投資家に夢や目標があるのか(短期・長期)

上記の根本をなすのが投資家の夢や目標である。夢や目標次第でスタートアップを支援する方法が決まってくるからだ。恋愛でも具体的な目的がないと「良い人」で終わってしまうだろう。例えば以下のようなものがある。

・単純にキャピタルゲインを最低限儲けたい
・投資先を通じて情報収集したい
・日本経済をよくしたい
・科学の力で世界を変えたい
・グローバルに大きく成長する企業を応援したい
・自社の製品・サービスをスタートアップとともに良くしていきたい

これらの目的によって、ファンド組成額→1社あたりの投資金額→投資できる会社数(投資家のビジネスモデル)も決まったりする。またこれらの目的は最終的には色んなコミュニティを形成することになる。例えば以下だ。

・渋谷六本木系
・大学発&技術シーズ系
・メイカーズ系
・既存産業発系
・海外進出系
・オープンイノベーション系

投資家の目的を知らずに投資を断られた場合は過度に落ち込むだろうし、スタートアップの目的と合わずに投資を受けてしまったらお互いのコミュニケーションの期待値にずれが起きてしまうだろう。投資家も人間であり、感情を使って決める部分も存在する。その「感情」が投資家の目的にあたる。

逆に目的を持っているにもかかわらず、行動や成果が違う・低い場合は目的設定(設計)の弱い投資家だとわかる。例えばグローバルにイノベーションを起こすスタートアップに投資したいと言っているのに、ポートフォリオに一切そういったスタートアップがないとか、日本経済をよくしたいと言ってるのに外貨を稼ぐ発想がないとかだ。

人間は多くの資源を持っているわけではないので、生きているうちにできることは限られる。限られているからこそ目的を明確に決めることでアウトプットを最大化できるのである。

最後に

投資家とは「職業が投資家の人間」である。なので様々な理由から投資ができなかったとしても、起業家個人を気に入って個人的に支援してくれる人も存在する。もちろんそんな人はめちゃくちゃ少ない。僕個人的なおすすめは、Incubate和田さん、D4V伊藤さん、Klab御林さん、磯崎さん、伊藤忠本体の佐藤さん、NTVP村口さん、2020坂上さん、元マネフォ浅野さん、シンガポール在住Masanaさん。

あとなんだかんだ「起業家にとっていい投資家」を見つけることができたとしても、事業の成績がとてもいいと、相性関係なく投資家の資本力などで市場原理として決まってしまう場合もある。例えば評価額をより高く見積もってくれるなどだ。そういった場合とても悩ましいだろうが、時間をかけてでもたくさんコミュニケーションをとるほうがいいだろう。

※他にも「こういった項目があるよ」というのがあればぜひとも教えていただきたいです。随時更新していきます。

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貧困&虐待&いじめ&準不登校&中退を経験、同じような子どもと今の教育に疑問を持ってる先生を支援したい起業家、学校変革システム開発中(時間割自動作成・AI探究学習・部活顧問Uberなど)、1.8億円調達&スマホ生産&印版ドラゴン桜PoC、星の杜中高DXディレクター、「悪者図鑑」著者