マガジンのカバー画像

15
自作の詩をまとめています
運営しているクリエイター

記事一覧

夜明け前の旅

夜明け前の旅

朝日も昇らぬ朝夜のはざま
闇夜を歩むと 思いたつ
くらい夜道の灯りを追って
とおく とおくを 目指してあるく

なんにも残らぬ歩みがあって
誰にも遭わない歩みがあって
けれどもその時 わたしは確かに
世界の全ては わたしの物に

とおく とおくの 旅路の果ての
どことも知らぬ 歩みの果ては
夜空をあおく にじんで染めた
星のきらめく 夜明けの空だ

さよならだけが人生だ 

さよならだけが人生だ 

さよならだけの人生なれど
得難い出会いに足をとめ

さよならだけの人生は
それらを愛するためにある

「秋から冬へ」 詩

「秋から冬へ」 詩

雨がぴしぴし降っている
風も僅かに吹いている

紅葉と銀杏が色付く森の
向こうのお山は雪被る

潮の香りが漂う街に
冬の匂いが僅かに混じる

ただ今頭上の雨雲は
山の向こうで雪降らす

乾いた地面を見せてる道は
もうじき白々飾られる

何も求めることはない 詩

何も求めることはない 詩

何も求めることはない
浅く微睡む時間さえ。

後悔ばかりが生まれては
長き途上に立ち竦む。

振り返っては悩みに悩み
先行く人らの旅路を妬む。

我がことながらに情けなし
今日も己を嫌悪し斃(たお)る。

我が生は (短歌)

我が生は (短歌)

我が生は 花をも実をも
つかじとも
葉は青々と
育ちぬるかな

「愛情と呪いの話」 詩

「愛情と呪いの話」 詩

夢を語って聞かせたら
あなたのためだと潰された

きっとできると宣言すれば
現実見ろよと諭された

くたびれ疲れしゃがんだら
それ見たことかと嘆かれた

どうしてそんなこと言うの
問いの答えは「愛ゆえに」

愛されてるって知ってるよ
誰より 何より 知ってるよ

でもだからこそ さようなら
私もあなたを愛しているから

一緒に笑える その時まで
どうかどうか さようなら

悲しい 愛しい 呪いの話

もっとみる
「あの子はひとりで泣くろうか」  詩

「あの子はひとりで泣くろうか」 詩

あの子はひとりで泣くろうか
たった独りで泣くろうか
それではあんまり寂しかろ
独りで泣くのは寂しかろ

胎に病いを飼っていて
淋しい病いを囲ってて
そいつを吐き出し生きるには
この世はあまりに寂しかろ

あの子が独りで泣いたこと
わたし一人が知っていて
だけれどそれがいったいなんの
慰め救いになるろうか

あの子の近くに誰も居ず
わたしは知覚もされぬ身で
あの子の病いは胎の中
誰にも知

もっとみる