審神者試験　「特命調査　文久土佐藩」　解答用紙を今頃提出してみる。ついでに「特命調査って結局何なん？」も推測するよ。

前回の記事で「山姥切国広の修行って不完全なのでは？」という結論を出して、ほかの初期刀はどうなんだ？と思って手紙と特命調査を見直してみたら、文久土佐藩のギミックも解けたのでサクッとまとめておきます。

※ゲーム『刀剣乱舞』の内容でわかることだけでまとめてます。メディアミックスは全部ガン無視。
※主観を極力排除して、ギミック解くことに重点を置いています。そのため、いろいろ冷たく感じられるかも。キャラクターを悪意に解釈する意図も、善意に解釈する意図もありません。
※個人の解釈です。他の方の解釈や感想を否定するものではありません。

では行ってみよう。

■「刀の延長線上に人がいる」とは何なのか？
参考資料：特命調査　文久土佐藩　其の15『刀剣博士』

文久土佐藩は南海太郎長尊のこの「刀の延長線上に人間がいる」の意味をきちんと理解できればギミック自体はほぼ解けます。


「南海先生、その身体はどうじゃ」
（略）
「もともと僕たちは、人間に使われるための形態をしていた」
「だからそう、ちょっとした延長線上だ。刀の延長線上に人間がいる」
「人間の腕の延長が刀じゃろう。おんし面白いことを言うのう」
「自分が人間ではないことに、自覚的なだけさ」
（略）
「ふむ、歴史を守るのは我々の本能、だね」


陸奥守が「人間が握るのが刀なんだから、人間の腕の延長が刀だろ」と言っているのがミスリードを誘導しちゃうんですが、南海先生は実は一貫して「時系列の話」をしています。陸奥守が物理の距離の話をしているので審神者も勘違いしやすいんですけどね…。
わかりやすく言い換えるとこんな感じ。

「もともと僕たちは、人間に使われるために（刀の）形態をしていた」
「だからそう、ちょっとした延長線上だ。「1865年という過去から2205年という未来への延長線上」に、「刀剣男子という人間の形態をした刀」がいる」
「（人間の姿をしていても）自分が人間ではないことに、自覚的なだけさ」
「歴史を守るは我々の本能、だね」

これでもまだちょっとわかりづらいですね。
もっと短く言い直しましょう。

「人間の姿をしていても、僕たちは刀なのだから人間ではない。この器は、刀であった頃と変わらず、人に使われるための形態なのだね」

これで文久土佐藩のギミック解体自体は完了です。

さて、文久土佐藩に陸奥守が参戦した場合だけに提示されるこのテーマを踏まえて、刀帳を開いて陸奥守の修行の手紙を読み返してみましょう。


■陸奥守の修行のテーマって何だったっけ？
参考資料：陸奥守からの修行の手紙の3通目

要点をつかみたいだけなら3通目だけでも大丈夫です。すんごく要約すると、修行で彼が得た答えはこんな感じ。
「新しい道具も万能ではないので道具って古いのも新しいのも使い方次第だよね。だけど、新しいものがあることを知らずに古いものだけを使い続けるのはやっぱり良くないよね。俺は次の時代を見据えつつ、そのために戦う刀（刀剣男士）になると決めたよ」
……何が言いたいんだろう？って思ったら極前の陸奥守の言動を思い返してみてください。
彼、刀なのにノーマル時代は「時代は拳銃ぜよ、やっとうなんざ、時代遅れじゃ」って言ってます。で、極では「刀も拳銃も両方使うことにしたよ」と言っているのです。ゲームの仕様上というメタ理由でゲーム内では刀しか使えませんけど。

こちらももっとわかりやすく、短く言い直しましょう。

「刀剣を元に顕現してても俺たち今の器は人なんだから、銃とか未来にある新しい武器を使って時間遡行軍倒した方がいいんじゃね？そっちの方が効率いいだろ」
※極後は古い武器、つまり刀の価値も改めて認めて、使う武器の選択肢の中に刀も入れることにしたよ、くらいの感じですね。

つまり

陸奥守は修行を経て、刀剣男士という人間の器で、刀も拳銃も（場合によってはレーザーガンとか対戦車砲みたいなもっと未来の武器も）状況に合わせて柔軟に使っていくことを決意した。
では

刀を使わず他の武器を使う刀剣男士は、それでも人に使われる「刀剣」と言えるのか？

この問いへの答えを、南海先生は特命調査で陸奥守に持ってきたのです。

「人間の姿をしていても、僕たちは刀なのだから人間ではない。この器は、刀であった頃と変わらず、人に使われるための形態なのだね」
「（刀から人間の器に変わっても）歴史を守るのは我々（刀）の本能だ」なぜなら「刀剣とは、国を治め家を守護するもの（※南海先生の近侍ボイス）」だからだ。

「どんな武器を使ったとしても人に使われる道具であるという意識をもち、本能を見失わず歴史を守り、国を治め（これはおそらく御神刀のことを指しているのだと思われます）家を守護するのであれば、それは刀剣男士、新しい時代の刀なのだよ」という感じですかね。


坂本龍馬にそっくりな姿形をしているので審神者もうっかり忘れがちなのですが、陸奥守吉行が言っている新しい時代とはつまり「武器の新しい時代」です。「人間の新しい時代」を作る気は陸奥守にはありません。審神者に新しい武器（刀剣男士）使ってね、そんで新しい時代（刀剣男士の時代）を作ろうぜ、って言ってるだけなんですよね。

■高知城に居たラスボスは坂本龍馬だったのか？
参考資料：特命調査　文久土佐藩　其の41 『刀の本能』及び其の44『任務達成』

ラスボスは坂本龍馬のような姿かたちをしていますが、あれが坂本龍馬本人だったかどうかは、最後まではっきりしませんでした。ただ、南海先生がどう考えているかをうかがい知ることは可能です。

南海先生が「…だが、偽物だ」と言ったのに続けて、陸奥守が「まだ、どこかで生きちゅう。こんなところではまだ死ねんはずじゃ」と断言している。その後南海先生が「ところで、本能の話を覚えているかね？」と言って、壊れた銃が落ちていることを指し示し、「案外答えは、そういうことかもしれない」と締めくくっています。

土佐城のラスボスは「坂本龍馬」ではなくて、「坂本龍馬に成り代わった、遡行軍落ちした陸奥守吉行」だったのだろう。
時間遡行軍との戦いに負けて、放棄されようとしている世界で、この世界の陸奥守吉行は本物の坂本龍馬の身代わりになり、（もしかすると洗脳されたりして存在を歪めれられつつも）本物をどうにか逃し切って、坂本龍馬の代わりに、遡行軍に存在を作り変えられたのだ（だからここに、この時代の坂本龍馬が所持していなかったはずの拳銃が落ちているのだ）。

あれは「遡行軍に敗北こそしたが、本能に従ってできるだけの歴史を守り切った陸奥守吉行の成れの果てだったのかもしれない」と南海先生は考えている、ということです。

以上、私の「審神者試験　文久土佐藩」の解答用紙でした。さて何点がつくのかな、というか採点される日は来るのかな？


ここからは少し補足。では、特命調査って結局なんなのか？という話。
ここから先はなんとなくそうなんじゃないかな〜くらいのあれなので、読み飛ばしていただいても構いません。

特命調査ってつまり、「初期刀5振りの極修行の最終試験、実地試験みたいなものなのではないかな」と思うのです。
これだけ綺麗に、陸奥守が特命調査に来た時だけ、「陸奥守が修行で得た答えのその先」が提示されるなら、それぞれの特命調査は「自動車免許の卒業検定（路上でやるやつね）」みたいなもんだと思って良いと思います。

極修行の最終試験に過ぎないので、「放棄された世界を完全復元する必要がなく」「歴史修正の糸口が見つかったかも定かではないまま」「調査期間が終わったらまた封鎖」されるわけです…→追記：聚楽第以外は、どうやら「歴史修正の糸口がきちんと見つかった」状態で、放棄された世界への経路は閉じられています。修復できたかどうかが定かではない（というか修正がまったくできていない）のは「聚楽第だけ」です。これについてはまた別の記事で考察します。

ただしこの卒業試験、どうやら極修行で赤点とった刀が二振りいるっぽいんですよね。

「監査官」が「来た」のが聚楽第（山姥切国広）と甲府（加州清光）。
「調査員」が「先行」していたのが他の3振り、陸奥守・歌仙・蜂須賀の特命調査。

調査員が来た方は、文久土佐を見てもわかりますが、「修行で掴んだその先」を示唆するような要素が必ずあります。歌仙と蜂須賀のはもっと簡単にわかるので、ぜひ手紙を読んでから特命調査のログを確認されてみてください。

「監査」は本丸に対して行われるもので、「調査員」は「放棄された世界の調査」に向かうもの。クリアすると新しい刀が配属されるのは同じなので審神者的にはあんまり気にならないんですけど、方向が逆です。

以上2点から、「調査員」が「先行していた」陸奥守・歌仙・蜂須賀の三振りは極修行で合格点を出し、卒業試験も無事突破したと見て良いでしょう。

では、監査官は何を「監査」しにきたのか。おそらく「山姥切国広の監査」「加州清光の監査」に来ていたのでしょうね。過去に遡行軍落ちした同位体と似た要素を落としていたりしたのではないかな…。私、甲府だけクリアしてないので断言はできないんですけど、加州も実は修行内容に抜けがあるんですよね…。だから修行の見送りセリフが極めるとあんなことになってんじゃないかなあ…。

ただまあ、この二振りも「監査官が修正パッチという形で本丸にやってきてる」ので、この先が不穏、ということはないと思います。私はログ見ただけですが、大侵寇でふた振りともしっかり初期刀の役目を全うしてましたし、三日月が「これは見たことがない展開だ」と言ってたので。バットルートは回避してるはず。

7月に聚楽第の復刻が来ますけど、その後もしかするとこのへんの答え合わせが始まるのかなーと思ったりしたので、サクッとまとめてメモしておきます。おしまーい。