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【インタビュー(前編)】ビザスク(visasQ)って?

経営・ビジネスハック

2013.02.28

最近、個人のスキルを売買するサービスへの新規参入が相次いでいる。エンジニアやクリエイターのクラウドソーシングから、フリマ的なマーケットプレイスまで各社コンセプトは様々だが、webサービスの1つの大きなトレンドであることは間違いない。

今回は、社内だけに埋もれさせたままでは「モッタイナイ」仕事経験を活かすためのスポットコンサルティング・サービス「ビザスク(visasQ)」を立ち上げた端羽さんに、インタビューの機会を頂いた。2020年に上場も成し遂げている。

2回に分けて、ビザスクのサービス内容と、端羽さんのマムプレナー(ママで起業家)としての想いを紹介する。

宗像:端羽さん、ビザスクのサービスを簡単に説明して頂けますか?

端羽:ビザスクは、アドバイスや情報が必要な企業と個人が、リアルな経験は豊富だけれどコンサルのプロではない人に、手軽にアドバイスや業界ヒヤリングをお願いできるサービスです。
第一線はお休み中だけれど専門分野の経験が豊富なキャリアママ、駐在経験や現場経験を社内で発信する機会のないビジネスマン、一からサービスを立ち上げた経験のあるアントレプレナー、営業実績豊富なシニア……私達の周りには、「知人から聞かれれば」リアルな経験を元に、とても貴重なアドバイスできる人がたくさんいます。
私達は、この「聞かれれば」形になる経験を、アドバイスが必要な人に上手くマッチングすることで、「ビジネス書よりインタラクティブ、プロのサービスより安価で手軽」なコンサルティングサービスが可能だと思いました。

宗像:面白い所に注目されましたね。確かにプロのコンサルや企業研修は、びっくりするほど単価が高くて中小企業にはなかなか手が出ません。他にも、プロのサービスに行く前に実際の経験がある数人に直接ヒヤリングしたい、というニーズもありますよね。どうしてこのどうしてこのサービスを作ろうと思ったのですか?

端羽:私自身が起業しようと思った時、最初は食品のサブスクリプションサービスを考えていました。勤めていた会社にも退職の意思を伝え、検討を進めていたのですが、私は金融バックグラウンドなので、ネットに溢れる情報や本を読んで勉強しても、イマイチ実感が湧かない。
webサービスに詳しい人のアドバイスが欲しいと思っても、何せ異業種なので、中々そういう知人がいない。ようやく当時の同僚の、元の同僚の、今の同僚、みたいな方に辿り着いた時に、すごく貴重なアドバイスを頂きました。
ちなみに色々な角度からリスクや見ていなかったコストを指摘頂いたのですが、しみじみ、「このアドバイス、もっと早く欲しかった!!!」と感じました。直接のきっかけは、この経験です。

宗像:端羽さん自身が「起業を検討し始めた時に出会いたかったアドバイスに出会えるサービス」というイメージですか?

端羽:そうです。ちょうどその頃、周りが出産ラッシュで、それまでバリバリ働いていた女性が、家庭に入ったり、今までのキャリアが完全には活きないような仕事に移ったりするのをみて、「もったいない!」と思っていたことが重なりました。
色々調べてみると、アメリカには個人が専門分野を登録して、時給300ドルや500ドルで、企業のヒヤリングに答えるビジネスモデルがある。このエントリーモデルを作って、大企業だけでなく個人やスタートアップも利用できるようにしたい、と考えました。

宗像:なるほど。端羽さんが自らの体験で感じた課題を解決するサービスという訳ですね。よくスタートアップなどで、Scratch your own itch. (自分の悩みを解決せよ)というような話がありますが、まさにそれを実践された訳ですね。素晴らしいと思います。
では、どういう人にこのサービスを使ってもらいたいと思いますか?

端羽:マッチングサービスなので、アドバイスを受ける側と提供する側の両方が必要なのですが、アドバイスを受ける側としては、法人でも個人でも、変化の時にある人、新しいチャレンジを迎えている人にぜひ利用して欲しいと思っています。
現在はβ版で試験運用しつつニーズを掘り起こしているところですが、「新規事業の営業プランを検討したい」、「新しい人事制度を取り入れたい」、「社内に眠る技術の応用先を考えたい」、「消費者インタビューではなく特定の分野に詳しい層にフィードバックが欲しい」という企業のニーズや、「転職や起業のアドバイスが欲しい」という個人のニーズを感じています。
新しいチャレンジに挑戦している人が、身近な人の輪を超えた出会いからより良い結果を産み出す、ビザスクはそのきっかけになりたい、と思います。

宗像:そうですね。僕も転職をする際には、社内の人には相談しにくいし、かと言って人材紹介会社のエージェントはビジネス色が強すぎるので、純粋な転職経験者の話を気軽に聞きたかったという経験があります。
アドバイスを提供する側のニーズはどうですか?

端羽:アドバイスを提供する側としては、何かの業種・職種で実績があり、後輩や部下を育てた経験があるような、熱心にお仕事をされてきた全員の方にぜひ登録して頂きたいです。もしご自身では発信するほどではない経験だと思っていても、その分野のことを知りたいと思っている方から見るとぜひ聞かせて欲しい経験です。
ビザスクでは、経験して来た「業界」「職種」を登録して頂く事で、アドバイザー候補を検索できます。伝えたいスキル、経歴等の自己紹介やFacebook・Linkedinのリンクを公開して頂くと、アドバイスを欲しい人(アドバイス・リクエストをビザスクに投稿している人)が興味を持ち、「自分のアドバイス・リクエストを見てみてください!」というメッセージを送る事が出来ます。
その後、当事者だけの非公開ページで、希望するアドバイスと経験がマッチするか詳細を確認でき、スポットコンサルティングが成立する流れになっています。
最初はごく簡単なもので良いので、ぜひご経験を登録して、スポットコンサルティングのきっかけを作って頂ければと思います。

宗像:なるほど、そういうマッチングの仕組みなのですね。ちょっと、突っ込んだ質問をしてもいいですか?C2C系のスキルシェア・サービスが最近増えていますが、そうした競合サービスとどのように差別化していく予定ですか?

端羽:ビザスクの特徴として、(1)直接話す形式での知識シェア(直接会うか、skypeビデオ会議か)、(2)リクエストから始めるQ&A方式、(3)アドバイス料を寄付できる仕組み、の3点があります。

(1)は単なる知識シェアではなく、新しいつながりが生まれるきっかけになりたいという思いと、「活字のマニュアルなどを残すのはハードルが高いが、話をするならアドバイス提供できる」と感じている人の経験を引き出す2つの目的があります。

(2)は「聞かれたら答えられる」を形にするための仕組みです。

(3)は副業禁止規定が気になるサラリーマンの方の経験を掘り起こす仕組みで、現在は「良質な学びの機会を拡げたい」という思いを同じくする2つの認定NPO法人(国連WFP協会「学校給食プログラム」と、ブリッジフォースマイル)を提携寄付先としています。

宗像:今まで経験を発信していなかった人の経験を生かす仕組みに特徴があるのですね。ありがとうございます。

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次回は、1児の母として起業に挑戦している端羽さんに伺った、マムプレナー(ママで起業家)としての想いをご紹介する。

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