リモートワーク疲れは本当なのか?

リモートワークに反対する論調の一つとして、大きいのがリモートワークだと顔を合わせる機会が少なくなり、結果、従業員のエンゲージメントが下がり、孤独感を感じたり、従業員満足度が低下するというものが一般的であった。

ただし、私が見つけたハーバードビジネスレビューの記事によれば、必ずしも、エンゲージメントが低下している訳ではなく、むしろ、オンラインミーティングのやり方を工夫するなどして、リモートでの交流(エンゲージメント)を取り戻しつつあるとのことである。(調査データは、米国のものだが、日本でも同様の事が起きているは肌感がある)

興味深い調査結果なので、紹介したい。

コロナ初期に比べて、リモートミーティングの開催頻度は増加している

下記のグラフによれば、週平均5件弱から平均8件程度に増加している。

ミーティングの平均時間が減少している

1回あたりのミーティングの時間が平均40分強から、平均30分程度に減少している。

個別の相談ミーティングが増加している

Unscheduled、すなわち、相談事やディスカッションなどが必要になった時に、自然発生的に行う個別ミーティングの件数が増えてきている。

まとめ

いかがだろうか?僕個人的には、最後のUnscheduledなミーティングが増えているというのは、かなり気づきが多かった。

きっと、ちょっとした疑問・質問を解消したりするためのクイックミーティングをするのが増えているのだと思う。また、この調査には表れていないが、ミーティングの合間で、雑談をするようにしている人も結構多いのではないだろうか?

実は私が感じるのは、コロナが長期化する事によって、リモートワーク環境に、みんなが「想像以上にうまく適応している」のが実態なのではないかという事だ。

僕的には、リモートワーク環境の最大のメリットは、地理的な距離を忘れる事が出来るという事だと思う。日本人は、一般的に人間関係を重視すると言われる。逆に言うと、直接対面で合わないとビジネスがスタートしないと、無意識レベルで思い込んでいると思っている。

ただし、コロナで明らかになったのは、地理的な距離はビジネスには関係が無いという事実である。例えば、海外拠点や海外取引をしている会社は、以前は頻繁に海外出張をしていたが、海外出張をしなくてもビジネスが出来てしまうという事に気づいたのではないか?

実は、インターネットのおかげで、世界の情報空間は一つになりつつある(中国、ロシアを除いて)。私は、ビジネスで当然にインターネット活用が進む中で、日本だけが、閉鎖的な日本語インターネット空間で閉じて生活しており、海外のビジネスの情報を十分に摂取できていないのではないかという、極めて強い危機感を持っている。

日本のトップ企業は、海外ビジネスを当然にやっているし、自社は国内ビジネスだけしていても、取引先は海外ビジネスをしているというケースが多いだろう。そういう意味では、「すべての日本企業がグローバルビジネスに、何らかの形で関わっている」と言えるのではないか?

日本の少子高齢化は今後加速するとみられており、政府の予測では日本の人口は現在の半分にまで減少するとも予測されている。

要するに、日本市場の拡大の可能性は限りなく少ないのである。

改めて強調するまでもないが、縮小する市場では競争が激化する。いわゆるレッドオーシャン化である。市場シェアが圧倒的に高いなどの優位な状況にない限り、多くの企業は淘汰されていくだろうし、そうすれば日本人の平均所得も減少するだろう。

このまま企業数を減らし、所得水準を下げていく未来を作るのか、今一度、日本企業がグローバル進出を再度計画して、グローバル化2.0を計画するのか、分かれ道に来ているのではないか。

コロナも長期化しているので、一度、コロナで得た「非対面の便利さ」、「距離を意識しない」ことのビジネスの可能性をもう一度考えてみるのはどうだろうか?

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