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ITZY「Not Shy」カムバックレポ~歌詞とMV考察~

私が推しているKPOPグループITZYが、ミニアルバム「Not Shy」でカムバックしてから約4週間、彼女たちの活動を時間の許す限り見守ってきました。ちょっと遅くなってはしまいましたが、カムバを体験した感想をレポしたいと思います。まず前編は、MV(ミュージックビデオ)と今回の歌詞の関係を考察します。

ITZYのMVには自動車が現れる

まず、「Not Shy」MVの考察の前に確認しておきたいことがあります。それは、これまでのITZYのタイトル曲「DALLA DALLA」「ICY」「WANNABE」のMVの中には、必ず「自動車」が現れていたということ。

「DALLA DALLA」では2:39~、無数の停止した自動車が映し出され、5人は5台の自動車の上で力強く踊ります。

パフォーマンスビデオのほうも5台の自動車の前で踊っています。


続くICYはロサンゼルスの街を舞台にしているMVで、ここでも車に関係する印象的なシーンがいくつか見受けられます。

街中なのでそもそも車だらけなのですが、特に目を引くシーンとして

0:20~ タクシーの中でスニーカーの紐を結ぶ赤ドレスのリアちゃん

1:48~ しなやかに車の荷台へと上がるイェジちゃん

このあたりが個人的には印象に残ります。最後には全員で路面バスの中で踊るシーンもあり。

パフォーマンスビデオも、やっぱり5台の車の前(多分もっと並んでいそうだけど、ほぼ5台しか映らない)で踊っているシーンがあります。


そして、「WANNABE」ではほとんど不自然と言ってもいいくらいの登場の仕方です。「わざわざ」出してるのかな?という感じありです。

おおよそ閉鎖的な空間で撮影されている印象のこのMVですが、シノワズリー風の宮殿のような場所で撮影されているシーンでは、バックにある窓から光が差し、通り過ぎる自動車が何度か映し出されます。

0:54~ 緑の車、その後青の車も通りすぎる

2:34  一瞬、車が映る

3:21~ 青の車が通りすぎる

パフォーマンスビデオだとよりはっきりと車が映っています。


自動車が暗示するもの

さて、ここで「自動車」が暗示するものを考えてみたいと思います。

・パワー、エネルギー

・能動性

・自由、逃走  …など。

所有する自動車を「アイデンティティ」にしている方もいますから、そういったものも暗示しているのかもしれません。

こう考えるとITZYのコンセプトに自動車はよく合っています。ただ、その表現が各MVで異なるのが面白いところ。

・デビュー曲DALLA DALLA→すごい数の車。そして5台のピカピカの新車。でも、全部停止している。(ものすごいパワーと可能性の象徴?)

・ICY→車に乗り込み、思い思いに街を移動(ただ、決して自分で操作するわけではない)。

・WANNABE→唯一外が見えるシーンで窓ガラスの外に通り過ぎる車。(自由や能動性を希求?)

こんなふうに、車をどう表現しているかで曲をどう表現しているかが見えてくるような気がしてなりません。


「Not Shy」で動き出す能動性

ここでやっと「Not Shy」の考察です。


序盤から車の存在感がすごいです。このMVのメインであると言っても過言じゃないです。

リーダーのイェジちゃんが操縦する一台の自動車に全員で乗り、「お宝」を載せたトラックを奪い取り、最後には色とりどりの落書きをしてその上でポーズを取ります。これまでとは明らかに、「自動車」の描き方が異なっているのがわかります。

欲しいものを奪い取るために、自分で走らせるもの。

そんな「能動性」を象徴しているように感じました。

「Not Shy」は能動性と「避けない」という意思を歌った曲

正直なところ、Not Shyは初めは前の3曲に比べて、歌詞に刺さる部分が少ないかもしれないな…と思ってしまったんですが、4週間(笑)何度何度も聞いているうちにその考えが変わってきました。

この曲では、「말하다(マラダ、言う、話す、口に出す)」という単語が何度も出てきます。

「口に出す」っていうのはけっこう能動的な行為ですよね。これを、この曲の主人公は自分でもするし、相手にも求めるんです。

リアちゃんの歌い出しが、「私はすぐに欲しいものを口に出す、手に入らなくても大丈夫」

そしてリュジンちゃんのラップでも、「待つ?なんで待つ?私が私の気持ちを言っちゃだめ?なぜ?」と。

チェリョンちゃんとユナちゃんのパート「Not shy to say I want you」

そしてサビ。「言ってみて、全部 cuz' I'm not shy」

「shy」という単語には、「恥ずかしがる」という意味のほかに「避ける」というニュアンスもあるようで、私はどちらかというと後者の意味も含めて捉えるとこの歌全体のメッセージが伝わってくるような気がしました。

この曲の主人公は、自分の気持ち(I want you)を口に出すことを「恥ずかしがらない」し、

そして「君」の気持ちがどうであれそれを「避けない」というはっきりとした意思を持っています。

そして、自分と「君」とが違う人間であると認識したうえで、「私たち」は「Great pair(最高の組み合わせ)」であると主張し、相手を強く求めている。

公式の字幕で、ちょっと残念に感じてしまったのがここ。

「君の気持ちはわからないけれど、私の考え正しいよ」

ここ、たぶん「私の考え  正しいよ」なんですよね。自分の考えを相手を押し付けているのではなくて、自分自身が感じている気持ちに間違いはない、ということを表現しているんだと思います。

「私の気持ちは私のもの、だから 好き!自由だから 君の気持ちは君のものだから」

ここも、たぶんこういうニュアンス。

「私の気持ちは私のものだから。好きだと思うのも私の自由だから。(でも)君の気持ちは君のものだから」

だから、「言ってみて 全部」という相手の言葉を引き出す部分につながるんですよね。(韓国語は勉強中なので憶測が入っています)

ここまで、「自動車を運転する」というMVが象徴する能動性と、「言う、口に出す」という歌詞との関係を考察してみました

今回刺さった歌詞はココ

今回はタイトル曲で初めて、ダンスブレイクが入りませんでした。その代わり、素晴らしい大サビが。

「後悔したくないから 終わり方は関係ないから

全部 引き出して Yes,No何でもいい

ああなってもこうなってもいいよ

どうせできないときはできない

素直に、めちゃめちゃカッコいい。「避けない」という一貫した意思を感じさせます。「人事を尽くして天命を待つ」的な雰囲気すら感じます。この曲の中で一番のお気に入り部分。

曲全体を通して「私は私」「君は君」というこれまで何度も表現してきたITZYのメッセージに加えて、

結果がどうであれ私は避けない」「自分の中の気持ちを恥じない」という新たな強さが加わった気がします。

この歌詞、JYパークさんが心を砕いて作ったそうな。初見(聴)で「ん?」と思ってごめんなさい。反省しています。


まとめ

まだまだ考察しきれていない部分がたくさんあるような気がしますが、ひとまず前編はここまでにしたいと思います。

好き勝手な考察でしたが、最後までお読みいただき本当にありがとうございます。

機会があれば、プラクティス動画・音楽番組のパフォーマンスなどのレビューをさせていただきたいと思います。では~

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