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炎天下 【短歌八首連作】

人のいない路地をぬければ呟きのごとく静かな塔ひとつ建つ

手のひらの花冠のほろほろと涯からほどけゆく炎天下

水切りの鋭い石が駆けぬける とおく とおくとおく とおく へと

膝をつき道を歩いた 題名を失ってから長い童謡

落とし物 玉虫は花咲く姿、またあるときは現るようで

連絡をとらずに死んだ友人の眼差しだけを覚えている

たましいがついばまれている音がする急いで腸を守らなければ

誤答ばかりの川のほとりに引き抜いてあでやかな紺碧の背骨を


初出:岡大短歌10号

この連作が掲載された10号、そして2023年10月発行の11号は以下のリンクから購入いただけます。よかったら手に取ってみてください〜。


読んでくださってありがとうございます! 短歌読んでみてください