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sachikoua
晩鐘 【短歌連作十首】
短歌10首連作『晩鐘』は、2021年に開催された、たにゆめ杯2への応募作品です。月岡烏情さまより「眼窩に立ち花賞」をいただきました。
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全世界の夕暮れの槍につらぬかれ誰もみぬまま柿熟れてゆく
米を研ぐさなかの胸に建ち並ぶノコギリクワガタのいない町
蟹を食う取っ組み合って蟹を食う星のほろびに気づかないほど
弟にギターを弾ける恋人ができたらしい 三歳だった弟に
祖母からの成人祝いで贈られた買わない価格帯のお財布
アルバムをめくれば夏の少年は笛を吹きつつ駆け抜けてゆく
雁首を揃えて白い寂しさはうまれる姿こそうつくしい
晩鐘はページをめくる手のひらにそれから流れるするどいはやさ
でもそうやって全て忘れてあなたさえ巻き戻されるような気がして
一時間前にもぼくはまよなかのラジオネームを聞いていました
読んでくださってありがとうございます! 短歌読んでみてください