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墓ありじいさん 墓なしじいさん

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お墓から見えてくる社会・時代・人を読み解いていく! ある年齢になってくると気になってくるのが「お墓」のこと。 お墓を持っている人とそうでない人は何が違うのか。 40代女性メモリア… もっと読む
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2018年9月の記事一覧

【序章】墓ありじいさん、墓なしじいさん登場

【序章】墓ありじいさん、墓なしじいさん登場

【序章】墓ありじいさん、墓なしじいさん登場
【第一章】モノをとおしたコミュニケーション
【第二章】物語を伝える場所【第三章】時間的価値【第四章】境界を越える【第五章】美は広がり、つながる**********************************************
ここに、二人のじいさんがいる。
一人は、数年前に連れ合いを亡くしたときにお墓を建てたじいさんで、もう一人は、お墓はないが

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【第一章 モノをとおしたコミュニケーション】  そこに「あの人」はいるのか?

【第一章 モノをとおしたコミュニケーション】  そこに「あの人」はいるのか?

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❝何であれ美しく見えるものはバランスを欠いている。しかしその背景は完全な調和を保っている。❞―鈴木俊隆(曹洞宗 僧侶)

最近オープンしたばかりの霊園へ見学に向かった、墓ありじいさんと墓なしじいさん。

見渡す限り、そこには同じカタチ、同じ大きさの墓石がずらりと並んでいた。
じいさんたちがこれまで墓地で見てきた墓石とは違い、大きさはかなり小さく、石種も似たり寄ったり、ノートパソ

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【第一章 モノをとおしたコミュニケーション】 じいさん、墓を建てる!の巻

【第一章 モノをとおしたコミュニケーション】 じいさん、墓を建てる!の巻

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最終的にカタチになったものが心に残る(作った人にも、見た人にも)―吉岡徳仁(デザイナー)

期限付き墓地の「夫婦墓」を見学したことで、むしろじいさんは妻に似合う、そして妻が喜ぶであろうお墓を建てたいと考えるようになった。
それはもしかしたら、「妻」への想いをとおして「自分たちらしさ」を追求したい現れなのかもしれない。

そう考えはじめると、これから自分たちのお墓を建てるこ

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【第一章 モノをとおしたコミュニケーション】 自分たちのお墓を持つということ

【第一章 モノをとおしたコミュニケーション】 自分たちのお墓を持つということ

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壊した家を出たくせに 今 私達は 新しい家をつくる
ここがHome Sweet Home 愛する人たち
されどHome Sweet Home たとえ一人きりになったとしても
Home Sweet Home-矢野顕子(アーティスト)

お墓のカタチ、石種も決まり、墓碑に彫る文字を決めることになった墓ありじいさん。この文字に関しては、息子に希望があった。
「感謝と彫りたい」と。

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【第二章 物語を伝える場所】/そこは約束の場所

【第二章 物語を伝える場所】/そこは約束の場所

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❝物語はまさに人類の歴史とともに始まるのだ。物語をもたない民族はどこにも存在せず、また決して存在しなかった。
物語は人生と同じように、民族を越え、歴史を越え、文化を越えて存在する。❞
<ロラン・バルト 「物語の構造分析」>

妻のお墓を建てて、はじめてのお彼岸。お盆休みに帰省した息子が、今回も子どもを連れて帰ってきた。

「長い連休をもらったから、息子の遊びがてら墓参りに来たよ

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