見出し画像

【「ラスボス」を仲間にした学生たち】FABQUEST2023振り返り

※「ラスボス」とは、ラストボスの略。テレビゲーム等でエンディングを迎える前に最後に打ち倒すべき敵のこと。
※FABQUESTって何?という方は、こちら!

FABQUEST2023閉幕

2024年3月24日、研究成果発表会にて幕を閉じたFABQUEST2023。
ナビゲーターとして伴走させて頂いた立場として、ぜひ記録を残したいと思い、筆をとらせて頂きます。

会場を魅了した最終研究発表会

15歳から17歳の学生33人・計8チームの半年間に渡る冒険譚は、集まってくれた100人以上の来場者を魅了し、このプログラムのラスボスである3人の審査員にしっかりと届いた(と思う)。
(ラスボスという表現は多方面からお叱りを受けると思いますが、あえてそのまま記載させて頂きます。)

2023年秋のスタートからの軌跡

2023年10月にスタートした際、学生たちには「最後に最高の報告をして、ラスボスを仲間にしよう!」と伝えたことを思い出す。
そのときはチーム毎の最終制作物を見てもらって、「このまま終わらせるのはもったいないから一緒に作ろう!」なんて、審査員の方に言ってもらったら大成功だろうなと安直に私は思っていたのだ。

2023年10月第一回セッション直後、みんな今後に期待を寄せる笑顔

学生たちと走り抜けた半年間は、そんなことを思い出す暇もないほどバタバタして、そして充実していた。
(特に最後の2ヶ月間の追い込み期間は息つく暇もないほどに。)
彼ら・彼女らが、壁にあたって、周りの力を借りながらもそれを泥臭く乗り越える姿は本当にキラキラして見えて、必死に伴走しながらそれを特等席で見れた自分は幸せだなと振り返って思う。

当たり前だが、半年間で地域の社会課題を綺麗に解決できるほど世の中は甘くなかった。
それでも学生たちは、決まった期間で持てる力を尽くしてやり抜いてくれた。
その中で「課題を解決する完璧なプロダクトを生み出せた!」という価値とは異なる価値が少しずつ生まれていたように思う。

yogiboに座ったり、リラックスしてゲスト講義を聞く学生たち
ときには現地で体を張ってフィールドワーク
有識者の力を借りながらラボで制作作業

想定を超えた学生たち

そして迎えた研究成果発表会。
「ラスボスを仲間にする」という私の目論見を、学生たちは想定外の方向で達成してしまう。
8チームの発注を90分ぶっ続けで聞いてくれた審査員の方から予想外の申し出を受けたのだ。
「研究成果発表会が終わった後、30分ほど追加時間をとって、各チームの学生に発表と最終制作物への講評を直接させてもらいたい。」

改めてここで審査員の方をご紹介させてほしい。
審査員を勤めて頂いたのは、言わずとしれた鎌倉の長である松尾鎌倉市長、3Dプリンタをはじめとする日本のデジタルモノづくりの代表者である慶應大学の田中教授、鎌倉発の地域通貨アプリまちのコインで日本全国を魅了し続けている面白法人カヤック長谷川様という錚々たる面々。
そんな方々が、学生のために当日予定外のエクストラな時間延長を申し出てくれるなんて…。

鎌倉市 松尾 崇市長
慶応義塾大学 田中 浩也 教授
面白法人カヤック 長谷川 裕子様

飾らない、素顔の研究報告で会場を魅了

学生たちの最終制作物は、半年という期間では地域の課題をまるっと解決できるレベルには(当たり前だが)至らなかった。
でも、最終発表には制作物のいいところだけでなく、半年間での失敗や挫折、自分たちの未熟さを直視して認め、そこから改善点を注意深く探し当ててきたプロセスがしっかり織り込まれ、そこに力を貸してくれた地域の方々への感謝までもが綴られていた。
いいところばかり誇張するのではなく、制作に至る道中を伝えた発表は、成果発表ではなく、まさに「冒険譚」だったし、来場された方々は学生たちの追体験をして、話に惹き込まれていたと思う。

そして、学校も違う学生たちがチームで半年間、全身全霊で取り組んだ冒険譚が、審査員に「全身全霊で取り組んだ子供たちに、エクストラな時間を設けてでも、大人も全力で応えたい」という気持ちを芽生えさせたのだと私は信じている。
きっと、ラスボスたちは、33人の学生たちの半年間の頑張りに応え、彼ら・彼女らのこれからの成長を心から応援したいと思ってしまったのだ!
(注:私の願望を多分に込めています。)

最終制作物でラスボスを魅了するなんていう、私の浅慮な目論見を超えて、彼ら・彼女らはラスボスたちに半年の嘘偽りない姿を伝えることで、未来を期待させて自分たちを応援してくれる仲間にしてしまった!

発表会当日は、制作物の展示会場も大賑わい
制作物を学生自ら来場者へご説明

彼ら・彼女らにしか成し得ないもの

半年の期限の中で世界を変えるプロダクトを作るのは不可能に近い。

でも、やる。
それでも、何か意味があると思って全力でやりきる。

それを半年やりきった彼ら・彼女らは、私が言葉にすることができない何か新しい価値を生み出し、来場してくれた方々を魅了してしまった。

言葉にすると「若いって凄いね」とかってつまらない言葉になってしまうのだけれど…。
FABQUEST2023は、間違いなく参加してくれた33人にしか成し得ないことを残して閉幕してくれた。

全てを終えてリラックスの学生たち。半年間の成長と絆とともに。

FABQUEST2023を終えて

また秋からFABQUEST2024が新たな参加者を迎えて始まる。

今度は何が生まれるだろうか?
今から楽しみでならない。
そしてなにより、今回卒業した2023年度参加の33人に「より素敵なものになっている!」と言われるようにしたいと心から思う。

2024年3月末
今年は開花の遅い桜を待ちながら


(2023年度 ファブシティ特別研究員 研究紹介 / 審査結果)

8チームそれぞれの最終制作物とその制作日誌を見ることができます。


(FABQUEST ホームページ)

「FABQUESTとはなんぞや?」「何をやってるの?」といった疑問の答えが全て記載されています。


(FABQUEST Facebookページ)

写真を中心に、リアルタイムで半年間の実際の活動を報告しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?