SNS版「丁寧な暮らし」はハイポネックスの原液である説。

インスタで主婦のルーティーン動画(リール)を見るのが好きだ。
お洒落なインテリア、こだわりのキッチン。

朝のルーティーン、夜のルーティーン、お掃除動画、キッチンリセット…

見ているだけで丁寧な暮らしを追体験しているような気分になれる。
はたと我に帰り、生活感溢れる雑然たる我が家のリビングやキッチンを見遣りゲンナリするまでがセット。

それでも、素敵なママたちのお洒落で丁寧な暮らしを画面越しにみることで、「おし、オデも頑張るか」「ちょっとやってみようかしらん」という気がごく稀に起こる。

モチベ維持、スイッチを入れるため、テンションを上げるために、「何も用事がなくてもメイクをする」というライフハックをリールにあげている方がいて、なかなかいいな、と思った。

いいな、と思うだけで実際毎回全部真似するわけではないのだけれど、ムラッ気を起こして今夜はコンロ周りの壁なんか拭いてみた。

棚の奥に眠っていたウタマロクリーナー(もちろんインフルエンサーに影響されて買ったやつ)なんか引っ張り出しちゃって、壁を拭きながらふと思う。
なぜ自分は家事に対するモチベが、特に掃除に関してこうも異様に低いのだろう。
庭の草とり、床掃除、洗濯物たたみ…この三つは特に苦手だ。

これがもし、お給料の発生するアルバイトだったり、他所様のお家のお手伝いだったりすれば、頑張れる。前者は動機不純、後者は見栄っ張りではあるが、私はそういう人間だ。
「仕事」という「責任」、誰かの役に立つ「意味」が生まれる瞬間、やる気が芽生えるのだ。
逆に、責任も意味も見出せないことを毎日続けるというのは結構しんどい時がある。
今ひとつ、専業主婦である自分の行いひとつひとつについて、「仕事」という認識が持てない。自分はただ、家族が生活を営んでいく上で最低限必要だからやっているわけであって(ホントにホントに最低限)、それは「仕事」という大層なものに思えないのだ。

こんな屁理屈こねる暇があればさっさと床のゴミの一つくらい拾えばいいのだろうが、そんな賢さを持っていればそもそもこんな駄文なんか書き連ねない。

ただでさえ、家事というものは億劫なのに、それをわざわざカメラの位置にまで拘って撮影して編集してアップするという労力を厭わない、インスタグラマー達のその心は、モチベーションは何なのか。

やはり「みてもらう」ことにあるのだろう。

自分のやっていることを、誰かに知ってもらい、評価してもらうことで家事の価値が上がるのだと思う。もちろん、家事そのものを楽しんでいるのは大前提だが、評価の対象になり、肯定されることでさらにその楽しみが何倍何十倍にも相乗効果で膨らんでいくのだと思う。

専業主婦の家事でも、社会での仕事でも、あらゆる行いや労働に「意味」を見出せなければ人間、頑張れないんだろうと思う。

自分が楽しいからやる、というのがまず一番大事だが、それがさらに誰かに認められる。これ以上の喜びはそうそうないことだと思う。


ただ、ここまで書いてきて、自分はあまりに「意味」というものに重きを置きすぎているのかもしれない、とも思う。
なんでもかんでも「意味」を見出さないと気が済まない、「意味」のない行いになど価値はない、そういうものの見方はちと窮屈な気がしないでもない。

まずは単純に「楽しい」と思えることを大事にすべきなのかもしれない。

自分にはあのキラキラしたお母さん達のように丁寧な暮らしなど到底無理だしあれを真似しようとしたら多分数日で病んでしまうけど、時々エッセンスを分けてもらって数千倍くらいに希釈して自らの生活にほんの少しだけでも落とし込んでいけたらいいなと思う。

丁寧でスタイリッシュな生活を垣間見せてくれるお母さん達の存在は私にとってハイポネックスの原液みたいなものだ。何千倍にも希釈してこそいかされる。

またこうして意味とか生産性の話に帰結してしまうわけだけど…

時々、こんなふうに珍妙な例え話を思いついては持論などと大層に誇張して提唱する癖があるので、また思いついたら書こうと思う。



【余談】
ちなみに既に提唱している私の珍説としては、「ハイポネックス説」と似ているのだが、「ハイター説」というのがある。
私はハイター教というのをTwitterで(勝手に)提唱しているのだが、「ハイターは本当になんでも綺麗に浄化してくれる素晴らしい洗剤」というだけの単純な教義だ。
除菌、漂白はもちろん、空気そのものも清浄にしてくれる。ただし、原液で使ってしまうと手が荒れる。太陽をじっと見続けることは叶わないように、ハイターの原液も触れられない。希釈して、希釈しまくって初めて、その恩恵にあずかれるのである。
とまあ別に深くもなんともない話。

「ハイポネックス説はハイター説の二番煎じ」説。


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