見出し画像

Tableauのダッシュボード構築案件をスムーズに進めるための考え方

ダッシュボード構築の担当になったけど、どうやって進めればいいか分からない人に向けて、進めやすくなる考え方を書いていきます。

Tableauでグラフを作ることの解説はたくさんありますが、ダッシュボード構築の進め方に関する内容はあまりない気がしたので、皆さんの参考になれば幸いです。
※データソースは既に完成されている状態を想定しています


ざっくりまとめ

  • スモールスタートではじめる(要件を詰め込みすぎない

  • メンタルを病まないためにも悲観的な思考を持つことが大事

  • Tableauに慣れる

とにかくスモールスタートではじめる

事前にPoCがされていれば問題ありません。
そうではない場合は「Tablauはカスタマイズ性が高くて集計速度も速くて、何でもできるんでしょ?」という幻想を抱いた相手だと、要件がまとまりづらい可能性が高いです。

ダッシュボードでやりたいことがいくつもあると、多くのグラフや表が盛り込まれたダッシュボードが作られる場合があります。
うまく運用できればいいですが、以下のような問題が発生する場合があります。

  • やりたいことが多すぎて要件を固めるのに時間がかかる

  • 色々詰め込んだ結果、速度が遅い

  • 手を入れすぎてメンテナンス性が悪くなる・別のカスタマイズを行う時に影響が出る

こうなると頑張った割に評価されない可能性があり、悲しい結果になります。
そうならないためにもスモールスタートで運用をはじめることが重要です。
最初なら2~3個のグラフと表があるダッシュボードがおススメです。

スモールスタートではじめると以下のようなメリットがあります。

  1. 早い段階で成果物が出やすく、相手の信用を得やすくなる

    • 最初に時間をかけて要件定義をするよりも、ざっくりした要望を聞いて「とりあえず一度サンプル作ります」と伝えてダッシュボードを作成しましょう。
      早い段階で
      この人に何かお願いするといい感じの成果物が上がってきそうだ」と思ってもらえると進めやすくなります。

    • 作成するダッシュボードのテーマ選択は、ダッシュボードを活用した業務改善が3か月程度で結果が出るようなものを選びましょう。
      運用して早めに成果が出る方が評価されやすく、信頼が得やすくなります。

  2. Tableauの理解が深まり、無茶な依頼が少なくなる

    • 利用者に「Tableauって何でもできるんでしょ?」という幻想を捨ててもらうことが第一歩です。

    • それでも複雑なものを作って欲しいと言われた場合
      「集計速度やメンテナンス性、カスタマイズ性が悪くなる可能性があります」
      トレードオフの選択になることを最初に伝えておくことも大切です。

    • これらを説得力がある状態で伝えるために、Tableauに関する知識を蓄えて理論武装しておくと安心です。

人間関係いいと円滑に進みます。多少ダッシュボードの内容が悪くても信用があれば盛り返せます。

自己満足ではなく相手の満足を考える

こんな場面はありませんか?

  • 自分は良いと思っているダッシュボードが、相手から良いと言ってもらえない

  • 時間を掛けて全力を出して作ったダッシュボードなのに良さを分かってもらえない

これに思い当たる場合は、自分の承認欲求を満たすことが目的になっているかもしれません。

相手が満足することが目標でも、自分が苦労してダッシュボードを作っていくなかで自然と「こんなに頑張ったのだから自分が評価されるべきだ」と思うようになりがちです。
相手から「イメージが違う」と言われるとショックを受けてしまいます。

人によって感じ方・考え方が違います。

初めてやり取りする相手の場合は考え方や好みが分からないので、頑張りすぎると空回りします。

1回で成功させようとせず、粗いレベルで2~3個ダッシュボード案を作り、相手の考え方や好みを把握すると上手く進みやすいです。

楽観と悲観を切り替えて使い分ける

京セラ創業者の稲盛和夫氏が以下の言葉を残しています。

「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する」

稲盛和夫,京セラ創業者

ダッシュボードを作るときは楽観的になりましょう。ポジティブな発想を持つと新しいアイデアが生まれやすくなります。

ダッシュボードの運用計画や、ダッシュボードをプレゼンする準備は悲観的になりましょう。うまく行かない場合を想定して行動すると今まで見えなかった発見があります。

特にプレゼンの場合や、難しいことに取り組む場合は悲観的になることをオススメします。最初からうまく行くと思うと失敗した時のダメージがあります。
最初からうまくいかないと思うとプレッシャーから解放され、失敗してもダメージが少なくなります。

悲観主義になりたい場合、楠木権さんの『絶対悲観主義』という本がオススメです。

みなさん、がんばりすぎていませんか?
そんなに心配することはありません。なぜなら、こと仕事で自分の思い通りになることは、ほとんどないから。

『絶対悲観主義』,楠木健

Tableauでアウトプットを出すことに慣れる

誰かが作ったグラフや表をわかりやすく作り変える、Makeover Mondayという取り組みがあります。(詳しくは以下のサイトをご確認ください)

これに参加し、グラフを作っていろんな人に見せて意見をもらいましょう。
悪いところをどんどん指摘してもらい、批判されることに慣れましょう。

批判されることに慣れていない場合、作ったものを批判されているはずが、自分の人格そのものを否定されているように感じ、落ち込んでしまう場合があります。

自分が否定されていると感じると落ち込みますよね。

落ち込まないようにするための方法は、グラフやダッシュボードを作るとき、目的や意図、アイデアなどを言語化して相手に説明できるようにすることです。

自分が作ったものが整理できて言語化できていると、批判されたときにどの部分が問題なのかが分かり、何を改善すればいいか考えやすくなります。

一方で「なんとなくいいと思ったのでこう作りました」という状態だと、どの部分を批判されているか把握できず、自分を否定されているように感じやすくなります。

言語化して整理するためにはロジカルシンキングの能力や、Tableauや可視化の知識が必要になります。
そのためにはMakeover Mondayでグラフを作っていろんな人に見せる訓練が上達の近道です

ぜひチャレンジしてみてください!

いきなりホームランは打てない

仕事はスポーツと似ていると思います。

地道に基礎練習を行い、練習試合を行い、本番に臨む。それでも相手がいることなので100%成功はありません。

仕事もスポーツと同じで、成功するまでは何度も繰り返して練習する必要があります。

初めてバッティングセンターに行った場合を想像してみてください。
ホームランが打てるまでにどらだけ時間がかかるでしょうか?

初めてなので空振りばかりでホームランが打てなくても「失敗してしまった」と落ち込む人は少ないと思います。
しかし、仕事の場合は初めてでも失敗して落ち込む人が多いです

「初日でホームランを打つのは難しいので、10日ぐらい通うと1本ぐらい打てるかな?」という感覚を持つと、最初の失敗は「練習」としてとらえることができます。仕事でも最初はうまく行かなくて当然だと思うと気が楽になります。

野球をしていない人でもバッティングセンターに初めて行った日にホームランを打てる人がいます。他の球技の経験がある人、運動の能力が高い人など、ホームランを打てる能力が備わっている場合です。

仕事でも同じで、最初からうまくいく人はたまたまその能力を持っている可能性が高いです。能力の高い人と自分を比べても悲しくなるだけです。
自分の能力を認識し、どうやれば自分に合ったホームランの打ち方を習得できるかを考えましょう。
他の人から自分がどう見えているか聞き、素直に受け入れることが重要です。

別のアプローチとして、対戦型スポーツを始めることが効果的です。
私はテニスをしています。100%自分の思い通りになることはまずありません。調子のいい日もあれば悪い日もあります。

試合に出ると勝って喜び、負けて悔しい思いをします。勝てそうな状況でもちょっとした気の緩み、判断ミスから負けることもあります。プレッシャーに負けて弱気になってミスすることもあれば、ダメ元で打った球が決まって良いペースになって勝つこともあります。

普段から自分の思い通りにならないことを経験していれば、仕事でも同じような心構えができます。逆にスポーツでうまくいったことを仕事に適用することもでき、ストレス解消・健康増進にもなり相乗効果が得られます。

現場を見る(一次情報を得る)

利用者が小売店であれば、その現場に行って買い物をしましょう。
利用者がECサイトを運営していれば、ECサイトで買い物をしましょう。

同じダッシュボードを説明する場合でも、現場を肌で感じた状態で説明すると、そこに熱のある強い説明になり相手に伝わりやすくなります。また、相手の話を理解しやすくなり、コミュニケーションがより円滑になる効果もあ
ります。

相手のビジネスや会社について理解を深めることも重要です。組織が違えば意思決定のプロセスが異なり、データの使い方が違います。アクションを起こして変えられる範囲も大きく異なります。

私のバイブルである『イシューからはじめよ』では以下のように書かれています。

一次情報に触れることが重要だ。
現場で何が起こっているのかを見、肌で感じない限り理解できないことは多い。
一見関係ないものが現場では隣り合わせで連動している、或いは連動しているはずのものが離れている、といったことはよくあるが、これらは現場に出向かない限り理解できない。
間接的な報告や論文などの二次方法では決して出てこない。

『イシューからはじめよ』,安宅和人

おわりに

他にも必要な情報があれば随時追加していきます!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?