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【大会】第2回五ヶ山・脊振スパイラルトレイル(SOLO3)/ 32km・D2000m x3周(2023/09/16-17)


基本情報

開催日: 2023年9月16-17日
走行エリア:五ヶ山・脊振クロストレイル のルートを周回
カテゴリー:SOLO3、5(数字が周回数)、リレー
→SOLO3に参加

※以外SOLO3の情報
距離:約90.3km(YAMAP計測値)
標高差:+6225m -6229m(YAMAP計測値)
制限時間:25時間(16時間以内に3周目スタートの関門あり)
開始時間:12時00分

3月に開催された五ヶ山・脊振クロストレイル のルートを周回するレース(五ヶ山ベースには入らないので若干の変更はあり)

昨年に続いて2回目となり、初回はエイドが不評だったようで今回はそこらへんが拡充、加えて3周部門が新設され敷居が低くなりました。

私は色々な意味で5周はまだ無理、と思ったのでその新設SOLO3=3周のカテゴリーで参加。ペース設定(主に心拍目安)は4月に個人で行った脊振全山縦走をベースに考えました。

しかし問題はひとつ。上記の通り関門があり、3周目出走時点で16時間以内であること。クロストレイルの制限時間は1周8時間です。1周なら4時間半でいけたわけだし、制限時間ギリギリペースにもならないだろうから余裕で間に合うでしょ…と見積もってましたがそう簡単にはいかないのが周回レースの恐ろしいところでした。

動画

今回は夜間が長いためありません。

会場・スタート前

SOLO3の受付は10:00-11:00で、場所はゲートの真横。SOLO5の人たちは前日から既に走り続けてます。

人気のクロストレイルに比べ、行楽時期にこんなことする物好きしか集まらないため駐車場もほぼ使えるという状態でした。
受付は一瞬で終わり、けっこう豪華な参加賞をたくさんもらえました。大会ロゴいりのコップとは気合いが入っている!(ちなみにコレ、大会後も普段使いにしてます。軽くて容量多め)

これです。春はコースターだったからセットじゃん!
天気は良い
スポンサーもよくぞついてくれました

この会場横にテントがありここにも荷物が置けます(大半の方は自分の車をエイドにしてましたが)
エイドが2か所(10km間隔)と本部に少々の計3か所しかありません。よって持参品が重要だったりします。

そして参加人数が少ない…ということは当然スタッフ側の人員も大幅に減っています。
通常は当たり前に考えがちな方向指示の方もほぼゼロであり、一般登山者も本当に少なくてすれ違い人数は指で数えられる程度。ただでさえ道がわかりにくいうえに展望がまるでない脊振山系の不人気ルートを進むことの難も体感。普段は気付きにくいボランティアスタッフのありがたみもかなり感じました。

エイドはわりと充実してますが普段の大会では見えにくいサポートがなく、基本走力に加えてある程度の独力(と夜間の長い時間に単調なルートを周回する精神力)が必要になるレースなのです。

※今回は同行者とラストまでご一緒したので私は孤独は感じず…。目標記録はなく、完走第一で進んでます。

標高差

周回コースなので先に見た方がイメージ伝わるかと思いますので。こうやってみるとなかなかハードですね。

何度も通ってるコースですが、ピークを目指すでもなく延々と細かなアップダウンが続くことで数値以上に大変でした。

実測値:YAMAPはおよそ±6230m、COROSはおよそ±5320mなのでかなり差がある

1周目

12時よりスタート。今回も心拍をもとにペースを考えていたため、最初は様子見+2周目バッファのバランスを考え遅くても6時間台終盤というペースで進行。

ここからが長い1日の始まりです。

先が長いのでトップ層以外は緩めなスタート

スタート~第一エイド①

最初の登りである九千部は風抜けの悪さから特に暑く、気温自体は高くないはずなのにかなり発汗。九千部~七曲峠までの長く細かいアップダウンも風がないので同様に暑さが抜けません。
10kmだし水は1Lで余裕、と想定したけどわりとギリギリでした。この区間は1.5Lあったほうが安定すると思います。

坂本峠の第一エイドは予想以上に食べ物が豊富でありがたかった。結局このエイドが翌周以降も補給において最重要拠点となっています。暑さであまり食べられないけど、水分をたっぷりと果物でしっかり補給。

若干先行していたので水の渋滞は回避
右のいちご、左のかぼすが私にはかなり助かる
パンもたくさん。暑くてひとつしか食えず…

第一エイド~第二エイド①

蛤岳までの登りを進みます。最初は登りがきついけど蛤水道まで来たらあとは比較的緩やかにダラダラ登りとフラットな道が続きます。標高自体が高く風は抜けるので、九千部に比べると涼しく無理ないペースで進めました。

蛤岳へ。テープはリフレクターがかなり見やすかった
蛤岳の岩で遊ぶ。1周目くらいはね
既にガス。以降、これが曲者に

第二エイドの脊振少年自然の家に向かう途中、滑りやすくキツい降りは滑落の危険があるので慎重に。翌周以降、ここは更にリスキーになります。

ここを越えたらエイドまでは降りしかなく、コース的に残りはキツめの登りはないので気楽になります。

山から降りて振り返るとガスがすごい

ひたすら降り続け、第二エイドに到着。
場所が広いので、いっぱいの人で賑やかだったクロストレイルを思えば寂しくなりますが必要十分。どら焼きなどしっかり食べて進みます。

少し寂しいけど必要十分

第二エイド~1周目終了

エイドを出ると次は脊振ダムを周って一ノ岳へ。2km程度ありコース中で最も長いロード地帯です。ペースコントロールしやすいエリアなので速やかに移動。

一ノ岳に向かう道は7月の大雨でかなり崩落が目立つ状態でしたが、コース上はなんとか通れる程度には復旧していました。一ノ岳を降るところは滑りやすくロープを持つこと必須。それでも転んでしまいました。

山頂の展望がゼロということもありルートは人気がなく、踏み跡が非常に少ないため油断するとロストします。探り探りで進みました。

一旦林道に合流したのち、階段の登りが続くエリアを抜けるとラストまでロード。地味に長く2km程度はあるので走らないとタイムロスしやすい区間です。
最後のダム、見た目は圧巻ですが実際は他のどの登りより優しいので大したことがありません。

見た目に対して登りは階段と坂で比較的緩やか


18時20分ごろに1周目終了
。いったん休憩(30分想定)に入ります。

ここからが慌ただしい

夜用装備の準備、補給食の交換、回復のための食事、トイレ、そして気分転換を兼ねての着替え、1周目で使わなくなったものの収納…と休むどころかやることが多く、意外と余裕がありません。

さらに日が落ちて暗くなり始め、装備の点検を慎重に行った結果、30分を若干超過した19時ちょうどに2周目に向かいました。

1周目・・・7時間(休憩含む)
関門まで・・・残り9時間

2周目

スタート~第一エイド②

30分ですっかり暗くなる。ここからが本当の意味でスパイラルトレイルのスタート

二週目はすべて夜間走。気温も下がり、一段とひっそりした雰囲気に包まれます。
しかし九千部の登りは相変わらず蒸しており発汗量は1周目と大差なく、登り切ってからはガスが濃くなりライトは乱反射し全然見えない。私のライトはマイルストーンの暖色系ですがそれでも拡散しまくります。
そのため全然ペースがあがりません。

夜の道はカマドウマとザトウムシで溢れ、ムカデやゲジ、デカいナメクジも出て苦手な人は卒倒しそうな暗くて蒸した陰鬱な空間を進みます。夜の虫は見た目が不気味すぎますね…。

写真を撮ってないんですが特に九千部の山域はきのこが豊富。つまりかなり湿気た環境というわけで気持ちもジメジメしそうです。陰鬱な雰囲気の森を進みます。

撮影してもらったぶん。ジメジメしてます。ガスの雰囲気がお分かりでしょうか
ギンリュウソウ。調べるまで名前知らなかった…夜だと目立ちます。
唯一の夜景は一瞬
ボラの方が増えて賑やかになったエイド。マジ助かります。

第一エイド~第二エイド②

エイドでゆっくりしてから再び蛤岳を目指します。まだ全体の半分にもきてないから脚を残すため登りはペースを落としてゆっくり。蛤水道の近くまで登ればフラットに。暗闇でも水の音が聴こえると安心感があり、少し爽やかな気分になります。見づらい水道の右手は断崖なので注意は必要です。

案内板
サワガニ!
デカいヒキガエル!

降りの途中、意味不明なところでロスト。謎の地点を登っており、踏み跡があったので釣られました。通常ならまずミスらない箇所もガスが濃い夜間だと判断が鈍ります。

この辺りからは前後ランナーの間隔が開いてきたので、先を見ても後ろを見てもライトがない時間が長くなります。夜間帯を誰かと進む心強さはボルケーノトレイルで知りましたが、やはり全然違います。驚くほど光源がないので、ひとりだと修行っぽくなりそうです。

その後、第二エイドに到着。
ここで気づいたことがありました。関門がヤバい。ペース落としすぎて、このままだと9時間台となり2周目のあと休む余裕が残りません。

少し考えたのち、体力を温存して関門ギリよりは多少無理してでも飛ばし3周目の余裕を残す方が良いと判断。

そそくさと補給

第二エイド~2周目終了

エイド後はフラットなロード、トレイルの降りを飛ばして無理なく巻いていく作戦を採用。

一ノ岳以降は暗さでロストが心配でしたが、テープのリフレクターが暗さの中で際立ち、踏み跡を的確に探せたので最短で進行。

降りも引き続き飛ばし、この時点で先行していた中盤集団のひとつを抜けるくらいには順位的にも上がってきて時間的な余裕を確信。降ってからは若干ペースを戻して緩やかに進みました。

その後、2周目のゴール。
だいぶ時間を巻けてしっかり30分休んでも関門にはお釣りがくる状態にリカバリーできました。
本部でお湯がもらえるので持参したカップラーメンに投入。めちゃくちゃ美味い。さっと食べてザックと服を着替え必要な補給も済ませます。

本当にうまいラーメンとはこういうもの

2周目はエイド、本部の安心感が強かった。
日の出の気配はまだありませんが、朝に向かって進みます。

1周目・・・7時間(休憩含む)
2周目・・・8時間弱(休憩含む)
制限時間まで・・・残りおよそ10時間

3周目

残るはあと1周、朝とゴールへ向けしっかりと準備を進め立ち上がります。スタミナと気合いは充分。普通に進めば完走は確実。

いざゆかん

スタート~第一エイド③

九千部の登りはようやく風抜けがよくなり、前2周とうって変わり涼しくなりました。しかし相変わらず前は見えず、より暗くなったこともありとても道のりが長く感じる。更に散発的だった雨も恒常化し、天気も次第に崩れてきました。

七曲峠では朝焼けの赤がガスに反射し見たことない色に。場所も相まってなんとも不気味さが漂います。その後、朝日が昇り黄金色の反射となりました。

美しさに恐ろしさもあり

エイドについてからはしっかり朝食がてらパンなども確保。腹も減ったのでしっかり食べます。休んでいる間に雨がかなり強くなり、様子を見るも止む気配はなし。この先がハイライトです。

第一エイド~第二エイド③

蛤岳まであと少しという地点で事件発生。登り道に水流ができはじめ、10分もしないうちに濁流化。とは言え流されるほどではないので問題ない…と思った瞬間!前方から激しい雷鳴と破裂音が響く!そして上から人が降りてくる。なんと前方僅か先で落雷した、とのこと。

道の構造的に登り道に落雷の危険性はほぼないものの進行方向は木がない広場を横切る箇所があり、このタイミングで進むのはかなり危険と判断し一旦道中にいたランナーはとどまる。諸々協議を経て一旦少し降ったのちに雷鳴が進行方向から遠ざかった時点で進むことに。余裕があったはずの残り時間が迫ってくる。

先行した人についていくこととし、ペースがだいぶ速かったので結果的に停滞時間のロス以上に巻けて制限時間の面で助かりました。道も雨によりスリッピーであったものの許容値。ペースをあげてエイドまで進みます。

そしてエイドまで着いた時点で、順当に進み続けたら完走確定圏内に到達。
雷も消え、かなりの安堵感でおいなりさんをいただきました。残すはおよそ10km。長かった道もあと少し!

これがうまくてうまくて…

第二エイド~フィニッシュ

またいかなる予想外のトラブルがあるかわからないため、念のため極力走っていくことに。ロードを越え、崩落地帯も問題なく進行し、最後の山場である一ノ岳一帯へ。やはり滑る。しかしもう明るいのでロストもなく順調に進みます。

再び雨が強くなる。あと少しだから大丈夫、と思っていたものの、気温が低いのか寒くなったのでレインジャケットを着用。ここで着なかったら風邪くらいはひいてたかもしれません。

2回通ったはずなのに道の半分以上忘れていた長い降りから舗装路に合流し、そこからはほぼ歩かずラン!最後のダムを越え、ついにフィニッシュ!!

雨が強くスマホが濡れていたこともあり、肝心の写真を撮り忘れました!

1周目・・・7時間(休憩含む)
2周目・・・8時間弱(休憩含む)
3周目・・・8時間後半

長い道のりでした
実測はこれくらいの距離。3周したからコース図もこうなりますね


所感

正直、走る前は「ただの周回で退屈そうだな…」と考えてました。
しかし周回だからこそ時間による環境と見え方の変化が強く印象に残ったし、天候が変わりコンディションが荒れると難易度が一気に上がる山の恐ろしさも改めて実感しました。この辺はロードの周回にはなくトレイル特有のものでしょう。

山で多数派を占める生き物は時間帯で全然違ってくるし、暗くなることで昼は気づかない植物などもあるのだなと登山者としての発見もありました。

今回は走力以上にリスクや状況の変化に対して的確な判断なども求められたため、山力アップの経験値として貴重な体験ができたと思います。
コース自体は修行ですがひとりで進んだわけではないから夜も恐れることなく、トラブルすらも楽しい記憶として残っています。

そしてこう言う大会では特にボラやスタッフの方のありがたみが身に沁みます。ありがてぇ。

来年は…

来年はSOLO5に挑む…かもしれません。SOLO3がカジュアルってくらい難易度があがる激ヤバカテゴリーです。
単純に公称値160km/10000mもすごいですが、この展望も何もないコースをあと2周(しかも夜間帯が2回)…と考えると相当精神的にしんどいです。
修行…する?

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