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トレラン道具② SALOMON / ADV SKIN 5

前回に続いてザック。今度はレースベストです。
トレランを始めて最初にこれを買う人は多いかと思いますが、私はレース用に最初に買ったのがこのadv skin5でした。
ソフトフラスクが2本、ハイドレーション用の保温アルミパックが付属します。性能面はレースで使って遜色ない程度にまとまっている非常にバランスの良いモデルです。

スペック

※以下公式より

重量(g)249
付属品込みの重量(g)323
寸法(長さx幅x奥行cm)38 x 19 x 1
背面の長さ(cm)38
大きさの目安0L > 5L
ハイドレーションシステム搭載 ソフトフラスク付き容量 5.0

構造背面100% ポリエステル
本体の切り替え部分88% ナイロン, 12% ポリウレタン
形状パーツ部分100% ポリエチレン
裏地100% ナイロン
本体84% ナイロン, 16% ポリウレタン
背面の切り替え部分89% ナイロン, 11% ポリウレタン


まず特長としては非常に軽く、全体にストレッチが効いていること。ランニングベストとして動作を妨げる感覚はありせん。ポケットの数もほどほどに使い勝手が良く、日頃の練習のみならずロングレースくらいなら大半は充分に対応可能な性能をもっています。

前面

だいたい必要なポケットはそろってます。垂れているところを見ての通り、柔らかなストレッチがかかっています。

フロントは上段フラスクポケット・下段マルチポケットで左のみスマートフォンが入るサイズのジップポケットがついてます。

パワーメッシュ

メッシュの伸縮性が高いため見た目以上に補給食を放り込めます。
放り込む、という表現通り全体的にこのベストは大雑把にブロックがわけられているので「補給食の小分け」には向いてません。メッシュではあるもののけっこう頑丈で、一か所枝にひっかけてほつれたところがありますが破れるまでは至っておらず、素材のイメージと見た目とは裏腹に心配は不要です。

使用済みのジェルなどを

また右側の下段ポケットには使用済みのジェルなどを隔離保管できるポケットがついています。ベタベタするのでうれしいですね。ただ、実際の運用上はポケットに補給食を詰め込むことで内側にあるこの専用ポケットに走りながら見ずにアクセスすることが難しく、雑に放り込むことが多いためあまり出番はありません。

サイドのポケット

写真の見た目的には背面ですが、立体になるとサイドの位置にポケットがありここは軽量なウインドシェル等の格納に利用されることが多い箇所です。とはいえ私はシェルが汗濡れすることが好きではないため、密着するこの位置には入れていません。また骨格的な問題でここから荷物の出し入れをすることが非常に難しいこともあり、実質デッドスペース化してしまっています…。
以前、トレイルバターを入れてみたところ収まりが良かったのでそういう使い方もいいかもしれません。

下部も調整可能

ベストの肋骨に沿う下部分もコードでフィッティングを調整できます。これができないモデルもあるのでありがたい。

フロントは調整しやすい

フロントはコードをひっかけるタイプです。荷物の状況に合わせて調整がしやすいので重宝します。レール側の位置も調整できるため、けっこう細かくフィッティングを行えます。

ちなみに左側にリングがついてますがこれは私がつけました。ここにレース用のコップや熊鈴、ホイッスルなどをカラビナ経由でつけてます。

背面については粗いメッシュなので汗だまりは感じません。その代わり、背面はがっつりと汗の影響を受けます。夏場はぐっしょりと浸透するので濡らしたくない荷物はジップロック必須です。

控えめなモデルロゴ

必要最小限の機能をさりげなくしっかりと詰め込んだ感じがサロモンっぽいですね。
下部ポケットの容量としてはジェルなら4つ、一本満足バー的なものなら3本くらい入るという感じです。入れすぎるとけっこう肋骨に干渉する上に仕様上揺れも起きるので、これくらいが実用の範囲かと思います。

背面

スッキリしたデザイン

背面は先に紹介したサイドポケット、菱形のメインポケットが主な機能です。
加えてリフレクターとレースにはありがたいゼッケン留めるためのループがついています。
見た目もスポーティーながらスッキリしています。さすがに電車に乗るとレース感が出て浮きますが、背面も落ち着いた感じで悪目立ちはしません。モノトーンのウェアと相性が良いです。サロモンはスタイリッシュとまではいかないもののシュッとしたデザインが多いので、ウェアもシンプルにして統一感持たせた方がしっくりくる感じになると思います。

リフレクターとゼッケンループ

レースのゼッケンを上のループに安全ピンで固定できます。位置が非常に絶妙で、荷物を入れて膨らんでも過剰に引っ張られて破れたり風でぶっ飛んだりしません。

メインポケット背中側

メインポケットは二気室となっています。背中側にはハイドレーションボトルが1.5Lサイズまで格納できます。保温用のアルミケース(1Lサイズ)もついてきますが、全然使ってないので行方不明です(夏本番までに探します)

もろに背中に当たり、被覆面積も広いので粗いメッシュから熱が通って夏場はハイドレーションの中身はぬるくなりますが、逆にこの特性を利用するとウォーターキャリーを凍らせた状態で保冷ケースに格納して背中に入れるといい感じに背中を冷やせる上に少しずつ氷が解けて山でも冷たい水を確保することが可能です。昨夏は熱中症対策にこの方法を多用していました。暑いときに飲む冷水はおいしいです。
※プラティパスでやってましたが大丈夫でした。冷温の負荷は大きいと思うのでお気をつけて

メッシュ部分が小物入れ

メインポケットの外側には小物入れがついています。ジッパーはないので不安がありますが、よほどのことがない限りは落下の問題はおきません。ポケット自体のサイズは小さく財布が入るかは微妙です。

メインポケットの投入口が狭いため大きめの物の格納には向いていませんが背面はストレッチが効くため見た目以上に入ります。例えばトレラン用の軽量レイン上下、小型ヘッドライト、補給食、シェル、必要最小限のファーストエイドキット程度は収めることができます。

ただしベスト型でかつ基本的に膨らみを想定しないフラットな奥行きのラインで設計されているため、キャパを超えると走行時のバランスが露骨に悪くなります。なので厚みのあるものは相性が悪いです。

メインポケットはわりと膨らむ
付属品のソフトフラスク

ソフトフラスクは汎用規格ではないので流用ができません。横幅を抑制できるものの、長さが仇になるのでこの形状のメリットはあまり感じられず、あと青っぽいことでパッと見中身が判断できないので片方だけドリンクにした場合は咥えないとどちらかわからないのも微妙に気になるポイント。

その他

・使い勝手
総合的にはかなりバランスが良いです。レースでの使用を前提とした構造となっているため通常の登山などで使うのはおすすめしませんが、伸縮性のある素材で物をいれてない場合は「ただのベスト」という感じの形で収まりがよいためか、ウルトラマラソンでも役立ちわりと使ってる人を見ました。エイドの存在を考えるとロードは100km以上でも全然使えそうです。
前面だけの運用でも問題ないので、水分を持参する夏場のジョグでも活躍します。胸ポケットに入れられるので速さの影響は腰よりは抑えやすいです(速ければ当然揺れますが)

・フィッティング
名前の通り、肌感覚で着用できます。なにせかなり軽く、重さについては意識したことがありません。
さすがにサロモンのレースベスト、「ザックではなく文字通りベスト」という感じで細かに調整もできるためフィット感は良いです。サイズ展開も多め。私はSにしましたが、XSだと小さすぎるけどSだと微妙に肋骨に余りがでる…という状態で悩ましい。フランスのブランドということもあり骨格が幅広めな方向きの想定におもわれ、華奢な方はあまりしっくりこない可能性があります。

・対応レース
基本的には必携品の多い100マイルなど超長距離を除きほとんどに対応できると思います。参考に先日の阿蘇ボルケーノトレイル(110km)でも使用している方を見ました(さすがにちょっと容量的に不安はありそうでしたが走力がある人なら行けると思います)
10kmくらいのショートレースなら最小限装備、50kmくらいのロングレースでもレインをプラスするくらいなら走りに影響はないかと思います。
ただトータルで考えた場合、どちらかというとロングまで•高速レース向きです。
背面ポケットもアクセスがいい方ではないので細かな荷物の出し入れはむいておらず、繰り返しとなりますがザックではなくベストという前提はあります。

・気になる点
①フラスク
好みはわかれますが個人的にはこれが一番気になります。フラスクは付属する専用の長細い形状のモデルを使わないといけないため、他の形状のフラスクを使用したり他のザックで共用できません。

またこのフラスク自体構造的にキャップの締まりが甘いことがあり横にした際水漏れが起きる確率の高さが他に比べ目立つこと、下部ポケットが詰まった状態でフラスクを取り出して500ml入れた状態で再度ポケットに戻そうとすると収めにくいことがレースのエイドでたびたび起こることが難点です。後者についてはポケットが上下段で明確にわかれていないため、下部の容量が増えると上段ポケットの下に干渉するという事態が発生します。

②積載量がシビア
ストレッチ自体はきいているため荷物は入ります。しかし、逆に言うとしっかり固定されず遠心力が発生した際に留めるものがないためパンパンにした状態で強い動きをすると揺れが目立ちます。良くも悪くも区切りが曖昧なため、フィット感はあるけど適正値を超えた際のホールド感は弱いです。

例えばフロントのコードを緩くしてフラスクを最大量、フロントポケットに補給食多数の状態で走ると主に降りで露骨に実感できるくらいに揺れます。そのため最適な積載量を見極める必要があります。

また仕様上トレードオフになる部分ですが背中の収納はスピーディーにアクセスができないので、収納の順番は積載バランスを考慮しつつ検討する必要があります。レースでは心配不要なところでは二気室とはいえハイドレーションを最大量で収めるとメインポケットが一気に圧迫されるため、積載可能な量は大幅に減少します。

雨については外につける場合浸水対策は諦めてください。じっとり濡れることが前提です。あるいは薄いのでレインウェアの内側に着る形になるかと思います。

総括

トータルで考えるといいベストです。必要最低限の機能がスポーティーで落ち着いたデザインに搭載されています。これまでのレースはだいたいこれで出ており、トレランの経験が増えるにあたって自分の好みや気になるところも出てきましたが大きな問題もなく使えています。

ちなみに素材が柔らかく芯もないので、畳んだり丸めるとかなり小さくなります。持ち運び◎です。

トレランの大会デビューにあたり、最初の道具探しで量販店に行った場合はノースフェイスかサロモンのベスト型を選ぶ方が非常に多いと思います。それも納得なくらいに大きな穴はない完成度を持っています。
ブランド自体が「山道具」というより「マウンテンスポーツアイテム」としての印象が強く、実際使ってみると堅牢さや質実剛健よりはレースでのコントロールを意識の軸にしていることがわかります。

なので、設計思想的にもどちらかといえば入り口が登山→トレランの人よりはロードラン→登山→トレラン の経路を辿ってきた人にしっくりくると思います。走りにフォーカスを当てているため、道具をたくさん携行したい人には向きません。

レース中心に2年くらい使ってだいたいこんな感じか、というインプレでした。もうちょっと好みに近づけたいところがあるのでこのカテゴリーは他のザックorベストに更新予定です。adv skin自体も併用しますがサブですね。
次モデルはいくつか候補はあるものの、まだ固まっていないという状況です。OMMのUltraFire 5 vestとかTabisuke TabizoのT2 Ultra5いいですね。どちらも入手難易度、後者は値段も高いのが難点ですが…

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