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2016 京都食い倒れ&御朱印ツアー

5年ほど前までは暇に任せて食べログにたくさんの記事を書いていました。しかも、食レポと言うよりも、事実上の日記のような内容を、時には長文だったりで。純粋に店舗の評価を見たい人には迷惑なレビュアーだったのです。

そんな記事の中で、1日かけて京都市内を巡った一連の”日記”を、一つにまとめてみることにしました。それは2016年の初夏でした。大阪での単身赴任時代にネットで知り合ったご夫妻とともに、御朱印と食をテーマにした行き当たりばったり京都巡り、名付けて『京都食い倒れ&御朱印ツアー』です。

なお、各単体の投稿を連作風に繋げただけですので、内容の一部に重複があったりしますが、誤字脱字と共にご了承のほどを。


◆プロローグ

1年半ほど前に、それまではオンラインでのみの知り合いであった大阪に住む夫妻と、リアルに友達になりました。それ以来、平均すると隔月のペースで、一緒にどこかに遊びに行っています。そして今回(2016/6/4土)は、京都に行くことになったのです。

ご主人の方が以前に京都市内に10年以上勤めていたとのことで、かなりの事情通で、ヘタなプロのガイドさんより詳しかったりして、今回はその人のオススメコースを楽しんだのです。夫人の方は、御朱印集めにハマっているようで、今回のツアーは、食い倒れ+御朱印と言う二つの目的を満足させるべきルートとなりました。

大阪府内の別の地域に住む我々は、共通の交通機関である京阪電車に乗り合わせて京都に向かうことにしました。大阪から京都に電車で移動する時に利用できる路線は3つあります(新幹線は除く)。JR京都線(東海道線)、阪急電鉄、京阪電鉄です。それぞれベクトルはほぼ同じですが、出発地や目的地などに合わせて使い分けすることになります。

大阪駅からなら断然JRが速く、時速130kmでかっ飛ばす新快速に乗れば35分ほどで京都駅に着きます(片道560円)。

また、大阪駅に隣接する阪急梅田駅から乗車する阪急電車は、同じ京都でも嵐山に行く場合や西院などで嵐電に乗り換える場合に便利です(西院まで40分ほど)。また、JRより安いのも嬉しいですね(西院まで片道400円)。

そして今回利用した京阪電車は、始点が大阪駅ではなく、淀屋橋駅あるいは中之島駅となり、市内の地下鉄からの乗り換えが便利になっています(乗り入れ直通列車もあり)。京都へは東側のルートを通り、東山・鴨川付近、あるいは出町柳駅で叡山電鉄に乗り換えて、貴船・鞍馬まで行く場合に便利です。料金は淀屋橋から三条までなら410円です。

ただし京阪電車には弱点があって特急を使っても50分ほどかかるのです。これは、路線がかなりクネクネと曲がっており、走行距離が長く、また速度も出せないせいなのです。

◆10時のお茶タイム「加茂みたらし茶屋

と言うことで、今回は出発地の関係で京阪電車を使って京都まで向かうことにしました。京都市内の移動は定番のバスを使いました。市バスと京都バス共通の一日乗車券が500円で購入でき、乗降時の手間も省けるので、かなりリーズナブルで便利です。ただし、バス路線が迷路のように走ってますので、複数の目的地を効率よく回れるか否かは情報活用力にかかってきます。また、場合によってはかなり混むことも覚悟する必要があるし、時刻表通り来ないことも想定してスケジュールを組む必要があります。

今回は京都事情に精通する連れに同行したので、とてもスムーズかつ効率的に京都市内を移動し楽しむことが出来ました。

“最寄りのバス停にこだわらず、多少歩いてでも、より便利なバス停を利用する”

これが今回私が習得した京都バス観光ノウハウです。京都市内にはたくさんのバス路線が縦横無尽に走っており、雨後の筍のようにバス停があるのです。(変な例えだ)

◯-◯◯◯◯ー

我々は京阪の三条駅で特急列車から降り、一日乗車券とバス路線図を得て、まずはこの店に向かうために「河原町三条」まで歩き、205系統の北行きのバスに乗り「下鴨神社前」で降りました。

加茂みたらし茶屋

開店後30分ほどでしたが、我々が入った時にはすでに店内はほぼ満席でした。さすが人気店です。店員が「外でもいいですか?」と聞くので、もちろん、と頷きながら庭に出て、例の赤い毛氈が敷かれた縁台に座りました。

事前の週間天気予報では、もしかしたら雨が降るかもしれないと言う状況でしたが、結局、夜まで降ることもなく、日中はずっと薄曇りだったため、暑くもなくこうやって屋外でお茶タイムを楽しむことが出来ました。

この店に来た目的はもちろんみたらし団子で、連れの二人はすでに何度も食べているようですが、結局3人ともみたらし団子を一皿(3本)ずつ頼みました。また、私だけネタとして冷やし甘酒も頼んでしまいました。

みたらし団子(420円)。小ぶりなので軽く食べられる。スプーンが付属するのがポイント?

小ぶりな団子が一串に5個刺さっていますが、先端の1個とそれ以外の4個の間に目立つ隙間があり串が見えているのです。これには由来があるそうで、なかなか面白いビジュアルとなっていました。甘くて美味しいタレも必要以上にたくさんかかっていて、充分に団子につけて食べたのにもかかわらず結構な量が残ってしまいました。付いてきたスプーンは団子にタレをかけるためのものだと思いますが、それに加えて、残ったタレをすくって味わうと言う目的もあるかも知れません。ちょっと行儀が悪いですが、それをさせるだけの美味しさがタレにあるのも事実です。

ただ、みたらし団子をオーダーして配膳されるまで10分ほどかかりました。時間を決めていないのんびり旅なので気にはなりませんでしたが、後で来た客には我々とほぼ同じタイミングでみたらし団子を出していたので、一度に焼く本数が決まっていて、タイミングが悪いと焼くサイクルの狭間になって待たされてしまうのかも知れません。

冷やし甘酒(600円)。当たり前だが甘い、かなり甘い

先に配膳された冷やし甘酒に生姜を入れてゆっくり飲んで、団子が来るのを待っていたのですが、結局、甘酒はすっかり空になった後に団子が来たので、なんとなく間が持ちませんでした。混んでいたので致し方ないとは思います。入店後すぐに座れて注文出来たので、今回はヨシとしましょうか。(店先で列をなして待つのは嫌いだが)

まあ、先月の奈良県にある和菓子屋でみたらし団子を食べた時の不快な思いと比べたら全然マシというか、リベンジ出来たと思います。(これをリベンジと言うのか?)

ごちそうさまでした。

◯-◯◯◯◯ー

この後、下鴨神社にお参りして連れが御朱印をいただきました。

そして京都ツアーは続くのでした。次は昼食をとるために銀閣寺方面に移動です。

◆ランチタイム「おめん 銀閣寺本店

京都に詳しい友人をガイド役にしての「京都食い倒れ&御朱印ツアー」の昼食として、この店に連れられて来ました。銀閣寺の近くなのですが、銀閣寺には目もくれずこの店に突撃したのです。

おめん 銀閣寺本店

「有名店なので混んでいるかも知れない」

と言うことで、週末の12時少し前でもあり、店に入るまではドキドキでしたが、店内の待ち席に数分座っただけで、小上がりの座卓席に案内されました。(なぜか予約席の札が置いてある席でしたが、もちろん予約はしてません)

10時のおやつで寄ったみたらし団子屋と同様、この店にも何度も来ている友人にメニューを色々解説してもらい、結局選んだのは「季節のセット」という、うどんとおばんざいのセットです。うどんは温かいのと冷たいのが選べるとのことで、今回は冷たい方にしました。たぶん基本は温かい方だとは思いましたが、混むと聞いて出来るだけ早めに店内に入ろうと、バス停から速歩きで来たため、体が暑くなっていたからです。

当日の天気は薄曇りで、気温自体はそんなに高くなく、窓は全開状態で心地いい風が吹き込んでいました。

◇◇◇

この店までのツアールートとしては下記のようになります。

「下鴨神社前」バス停下車

みたらし団子屋☆

下鴨神社

河合神社

豆餅屋☆

輸入食品屋☆

「河原町今出川」バス停乗車

「銀閣寺道」バス停下車

(☆印は別レビューにて)

◇◇◇

「季節のセット」

「季節のセット」は、京おばんざいとも言える料理のアラカルトと、うどんのつけ麺のセットですが、まずはという感じで料理が先に配膳されました。料理を見た私たちは、どうせならと言うことでビールも頼み、呑みながらおばんざいをつまんでうどんを待ちました。満席だったせいか、それが普通なのか分かりませんが、料理が出てからうどんが来るまでには、それなりに時間がかかりました。おばんざいをアテに、まったり歓談しながらビールを飲んで、そろそろ食べ終わるかな、と言うタイミングでうどんが配膳されたのです。

結果的には、まったり旅の我々にはベストなタイミングだったのですが、時間に制約のある“本物の”ツアー客だと、このペースでは厳しいかも知れません。客の様子を見ながら、客ごとに出すタイミングを計算しているとしたらスゴ技とも言えますが、さすがにそこまでは出来ないでしょうし。

何れにしても、周りの慌ただしさとは無関係に、我々は出された料理をじっくり堪能しました。

一般に、少量の料理が組み合わさったおかずは、それぞれをちゃんと味わう事が出来るレベルではない事も多く、ましてやランチタイムのセット料理には期待していなかったのですが、今回の料理はその考えを改めさせるものでした。

鯵の南蛮漬、長芋料理、丸茄子(賀茂茄子?)の田楽、生麩の田楽など、どれも美味しかったです。二つの田楽は、それぞれ別の味噌を使用しています。当たり前のことの様に思えますが、人気が出て料理を量産体制で提供する店では、いつの間にか手抜きする様になったりする事も少なくないと思いますが、このお店は基本ラインを守っているようでした。

ホール係も、種々雑多な客がひっきりなしに入れ替わり立ち替わり来ているのにもかかわらず、きちんと対応できている様子で、感心しました。修学旅行の学生たちや外国人など、観光地特有のカオス状態にも対応できていたのです。私たちとほぼ入れ替わりに入ってきた、いかにも旅慣れた(マニアックな女性の)ピン客にもちゃんと受けごたえし、その人を満足させるような応対を見ていて「なかなかやるな」とも思いました。(何を見てるんだよ、このオヤジ)

薬味一式

おばんざいセットのあと、うどんに先行してに出てきたのは、実はこの店の料理の最大の特徴と言っても過言ではない薬味セットでした。最初、その事を知らない私は、座卓の中央に置かれたそれを見た瞬間は、おかずの第二弾だと勘違いしたほどで、かなり派手なものでした。「薬味のセットです。それぞれお好みでつけ汁に入れてうどんと一緒に食べてください」と、ホール係の説明を聞いて、なるほど〜と感心したのです。

「この巻いているやつは?」

私はプチサイズのロールキャベツか漬け物のようなものを指して、ホール係に聞きました。

「キャベツです。これも薬味です。こちらのきんぴらごぼうも薬味として入れて下さい。ゴマもたっぷり用意しています。」

説明を聞きながら、私はなるほどなるほどと頷くだけでした。薬味の説明でこれだけ引っ張れるのは、なかなかないと思います。さらに、皿の上に立っている三つの千切りの山は、大根、ミョウガ、生姜で、その横に刻みネギが小山を作っています。薬味のお皿に風景が存在するなんて、初体験でした。

ようやくうどんの登場

うどん自体は、人気チェーン店でも味わえるようなツルシコ感のある普通に美味しい麺ですが、これでもかと投入した薬味と一緒に食べることで、ワンランクアップした味わいを得ることが出来ました。たっぷり用意されたゴマも遠慮なく投入して、風味向上に寄与していたようです。

窓から窓へ吹き抜ける京都の風を感じながら、まったりと1時間ほど飲み食いした我々は、次の目的地に向かうのでした。

◇◇◇

次は3時のおやつとして、あぶり餅を食べるために、今宮神社を目指します。(食い過ぎだっちゅうの)

◆3時のおやつタイム「一和 一文字屋 和輔

成り行き任せの自主企画「京都食い倒れ&御朱印ツアー」も後半戦に入りました。午前中から、食べる→参る→食べる→参る→と来て、次はやっぱり食べる訳ですが、その前に「買う」も挟んでみました。お土産を途中で買うと荷物になるので、通常なら旅程の後の方で考えるのですが、ふとしたキッカケでちょうどツアーの中間地点で買い込んでしまったのです。

☆☆☆

うどん屋

「銀閣寺道」停留所乗車

「堀川今出川」停留所下車

晴明神社

西陣織会館

「堀川今出川」停留所乗車

「大徳寺前」停留所下車

大徳寺

『一文字屋和輔』

☆☆☆

銀閣寺道から大徳寺前まで乗り換えなしで行ける(204系統)のですが、それでは昼食とオヤツの間があまりにも短く、オヤツが美味しく味わえないということも鑑み、晴明神社経由にしたのです。

バス停で降り堀川通を南進していると、ビルの狭間に晴明神社が突然現れます。今までお参りした神社仏閣より規模は小さいのですが、知名度が高いのか観光客は他に負けじといました。さらに興味深いのは、この神社のシンボルマーク(?)が五芒星という点です。というか、一般にこんなに記号のようなデザインを前面に出しているところは記憶にありません。

御朱印帳

神社のあらゆるところで五芒星(☆印のようなマーク)を見ることが出来ます。鳥居や門扉に始まって、お守りや絵馬、さらには各種お土産物に至るまで五芒星が使われています。私も感化(?)されて表紙に五芒星がデザインされた御朱印帳を買ってしまったのです。御朱印集めをするつもりは今のところないのですが。

☆☆☆

西陣織会館

晴明神社の次に寄ったのが、近くにある西陣織会館でした。同行の友人曰く「展示があるよ」とのことで昭和な造りの重厚なビルに入り、エスカレーターで2階に上がると、そこはお土産物売り場でした。ワンフロア全てを使い、西陣織商品をはじめとした京都をイメージしたお土産が整然と並べられていました。着物の試着が出来るようになっていたり、西陣織をより深く知るための体験コーナーもあったりして、外国人客はもとより我々日本人でも興味深く見て回ることが出来ました。

場所柄かこんな施設でお土産が買えると思わないのか、客は他の場所のお土産物屋より少なめで、落ち着いて買い物が出来ました。また、他の店と品揃えも異なる気がしました。売上げ優先ではない雰囲気で、他ではあまり扱っていそうにない商品もあったように思います。

「この上の階に展示があるんだけどね」

友人は階段を指差して言いました。だけど、買い物で時間を使ってしまい、元々の目的だった展示は見ずに終わりました。本末転倒ですね。

西陣織会館で購入した自分用土産。トランプは軽いコレクション対象。

☆☆☆

そして我々はおやつタイムが近づいて来たこともあり、この店に向かうことにしました。バスで大徳寺前まで行き、広い境内をゆっくり散策しながら通り抜けると、やがて目的地のこの店舗が見えてきます。

平安時代からあるというあぶり餅は、この手のお菓子の完成形とも言え、素朴な美味しさがあり、いくらでも食べられそうです。今回は一人一皿でしたが、後のことを考えなければ、おかわりしそうな勢いでした。でも、平安貴族のごとく(?)、上品に一皿をゆっくり賞味したのです。お茶うけとはよく言ったもので、あぶり餅と同時に供された何の変哲もないお茶も美味しくいただけたのです。

あぶり餅(1人前500円)。手焼きの焦げも風味の一つ。味噌だれが絶妙。

座敷の一番奥の座卓に陣取った我々は、悠久の時の流れを感じながら、しばしの間まったりしていました。

「この竹串って二股になっているね」

餅を食べた後に残った極細の竹串を見ながら、私は何気なく言いました。

「細い串なのでそのままだと、焼いている最中に餅が回ったりして抜けやすくなるから、それを防ぐためなんじゃないかな」

うんちくのある友人はもっともらしい解説をしてくれます。さらにこうも言いました。

「そう言えば店先に井戸があるんだけど、見ました?」

私はさっき店先の風景を撮ったので、その写真を見せながら、

「もしかしたら、この格子で塞がれた部分?」

と友人にその箇所を指し示すと、

「そうそう、それが井戸なんだ。普通にイメージする井戸とは違って、階段で中に降りていく構造で、昔は入れたんだけどね」

友人夫婦は、亡くなったこの店の先代の時代から利用しているそうで、以前の様子もよく知っているようです。帰りがけに、店先にいた店員とも、先代の話題で盛り上がっていました。

「しかし、この急須と湯飲みのデザインはワンパターンだよね。いかにも昭和な感じで。」

紺地に大きな白丸が並んだ模様を眺めながら、私の言葉に友人も頷いていました。こういうスタンダードな模様って、シンプルな故、意外に飽きが来ないのかも知れません。まあ、使う場所の雰囲気に合っている、合わせているということもあるのでしょう。

極細の竹串は二股になっている。急須と湯飲みのデザインは昭和な雰囲気を醸し出す。

と言った、他愛のない会話をしながら、あぶり餅とお茶を美味しくいただいた後、今宮神社に向かう我々でした。

ごちそうさまでした。

◆みちくさタイム「鉄道ジオラマレストラン&居酒屋 デゴイチ

梅雨入り直前の6月の第一土曜日、午前8時頃に大阪市内の自宅を出発し、途中友人夫妻と合流、京都市内に9:30頃到着した我々3人は、友人のガイドに従って、京都のあちこちを散策しました。食べて参って、を繰り返している「京都食い倒れ&御朱印ツアー」も、そろそろ終焉に近づいて来ました。

実は、当初の計画では今年2016年の春にリニューアルオープンした京都鉄道博物館に行こうという事になっていました。3人とも乗り鉄なので、いつかは行きたいと思っていたのです。ところが、3時のおやつのあぶり餅を食べて、今宮神社にお参り(夫人はしっかり御朱印を拝受)した後、「下鴨神社に行ったら、やっぱり上賀茂神社にも行かなくっちゃ」と友人が言い出したのです。

確かに、しもがもvsかみがも、と発音だけ聞くと対義語っぽいのですが、実際そうなんでしょうか?その真偽は別としても、今から上賀茂神社に寄ったら、鉄博に行く時間はなくなってしまうのでは?と、短針が4の数字に近づきつつある左手首のチプカシを見ながら思いました。

しかも途中でちょっとしたアクシデント(詳細は省略)が発生したこともあって、上賀茂神社さえも行けず、我々一行は急遽、予定変更したのです。私の予てからの腹案、鉄博と組み合わせて行きたい店、つまりこの店に行く事を提案し、全会一致で採用されました。(3人だけど)

さて、今宮神社前からのバスルートは?ということで、京都ツウの友人に尋ねると、最寄のバス停から乗っても乗り換えなしで直接行けるけど、距離的にも時間的にもかかるんだよね、と言いました。また、バス停の時刻表を見ても、次のバスが来るまで15分あります。

「ここから南へ10分弱歩くと、もっと効率良く行ける別の路線のバス停があるんだけど、どうする?」

友人は、この言葉で私に選択権を与えたのです。そして、じゃあ腹ごなしもかねて歩こう、という事になったのです。夕方が近づいて、空が怪しくなってはきましたが、まだまだ快適にウォーキングできる京都市内でした。

◇◇◇

あぶり餅屋

今宮神社

(徒歩)

「船岡山」停留所乗車

「四条京阪前」停留所下車

『デゴイチ』

◇◇◇

移動途中のバス車内。基幹路線はさすがに混む。京都を実感。

さすがに中心部を抜けるバスの車内は混み合いました。今までは幸いにも快適にバス移動できていたので、若干拍子抜けしてたのですが、やっぱりこれが京都の日常なんだよね、と再確認したのです。混んでいない方がいいに決まってますが、観光地の雰囲気ってそうじゃない部分もあります。

バス停に降り立つと、そのまま鴨川沿いに川端通を北進します。歩きながら鴨川の対岸に視線を向けると、リバーサイドに設置された「床」が連なっているのが見えます。それを横目で見ながら友人はやっぱりウンチクを垂れるのです。

「スタバも床を作るんだよね。(座席の)競争率高いけど」

◇◇◇

『スターバックス 京都三条大橋店』

日本にはそれぞれの地域に、昔からすばらしい文化が根付いています。そんな地元の文化とスターバックスが出会い、ユニークな活動をしているのが京都三条大橋店です。

京都では毎年5月になると鴨川べりにはずらりと木組みのやぐらが並びます。その鴨川納涼床と呼ばれるやぐらは夏の京都の特等席。スターバックスも、この伝統文化を気軽にみなさまに体験していただけたらと、三条大橋のたもとに床を設けました。

豊かなコーヒー文化と、京の伝統がひとつになった、まさにあたらしいコーヒーエクスペリエンス!川のせせらぎに耳を傾けながら、ひととき、ちょっと特別な空間をお楽しみください。

鴨川納涼床営業時間
5月・9月 11:30~22:00
6月~8月 16:00~22:00
※雨天の場合、床はご利用いただけません。

(スターバックスのHPより抜粋引用)

◇◇◇

「鉄道ジオラマレストラン&居酒屋 デゴイチ」の 店舗外観。意外にスッキリしている。SLのリアル車輪が目印。赤提灯も目立つ。


いつかは行ってみたいと思いながら、スタバが見える場所までは行かず、サラッと次の信号交差点で道路を横断、今度は東進します。ナンダコリャクランク(イミフだね)を通過すると、やがてこの店の看板が見えてきます。店頭にはSLの動輪の実物がドデンと置かれています。ビルのテナント一覧を見ると、ほぼ全体が鉄カフェ系のようです。大人向けと親子向けにフロアが分かれており、巨大ジオラマ中心のカフェと、プラレール中心のキッズルームがあります。

やっぱりHOゲージはいいね。ガタンゴトンと走る雰囲気もいい感じ。

店内に入ると、その巨大なジオラマに圧倒されます。以前に、大阪市内の鉄カフェにも行きましたが、スケールが違います。まあ、NゲージとHOゲージのスケール差そのものですが、広い店内の半分以上がジオラマで占められているので、これで商売が成り立つのか?と余計な心配をしてしまいました。

料理やドリンクのメニューは想定以上に豊富で、若干高いのかな?と思いながらも、テキトーに頼みました。味は平均的な居酒屋レベルでした。ただ、精算時に例の如く付き出しの請求があることを確認したのですが、出てきたモノより高い感じがしました。いわゆるチャージですね。店舗維持には致し方ないとは思いました。鉄カフェへの入場料と思えば安いものです。

クリームコロッケを取り分け、お茶入れ(@駅弁)のソースをかけ、貨物列車と共に焼酎のアテにして食べた。


HOゲージのレール上を走る列車は迫力があります。見慣れているNゲージとはやっぱり違うな、と思いました。ハマるとヤバイよね、などと友人と話しながら、ぼんやりと走行を鑑賞していました。

「ガタンゴトンって聞こえるけど、どうやって出してるんだろう?」

Nゲージのジオラマを何度か見ましたが、そういう音が聞こえてきたことはありませんでした。もしかしたら、HOゲージでは、本物の線路と同じように、レールのつなぎ目でジョイント音が自然に出るんだろうか?とも思いましたが、なんだかリアルすぎる音なのです。

【ジョイント音】
線路のつなぎ目を通過するときの音。一般的には「ガタンゴトン」などど表現される。この音こそが鉄道最大の特徴である。ちなみにロングレール区間ではジョイント音は聞く事が出来ない。(HP「E127野村の鉄道音の部屋」より)

例えば合成音(電子音)だとすると、スピーカーは車両に搭載されているのか、はたまたジオラマの方に組み込まれているのか、という次の疑問が生まれるのです。店の人に聞くかネットなどで調べればわかる事なのかも知れませんが、謎のままの方が楽しいかも、ということで敢えて答えを求めない事にしました。

将来、万が一鉄道模型にハマったとしたら、その時に答えが判明するわけで、楽しみは将来にとっておきます。

支払いを済ませた我々一行は、京都中心部の喧騒から離れ、伏見でツアーの〆となる夜の部を楽しむために、三条駅から京阪電車に乗ったのでした。

◆夕食タイム(お酒付き)「黄桜酒場

最近の天気予報の精度はすごいですね。この日は京都市内を食べ歩く予定だったので、数日前から随時天気予報をチェックしていました。週間予報とはいえ、かなり参考になるからです。最初、つまりこの“ツアー”を思いついた3日前に見たときには、降水確率40%で曇のち雨の予報でした。こりゃ厳しいかな、と思いました。もちろん雨でも傘をさしての散策は可能ですが、天気がいいに越したことはありません。

日単位の降水確率は、前日になると時間単位で見られるようになります。その日の降水確率は相変わらず40%でしたが、雨が降り始める時間は夕方以降となっていました。とりあえず日中は降らないんだ、とホッとしました。でも、あくまで予報なので手放しで安心は出来ませんが、結局、当日は18:00過ぎまでは雨が降らず、しかも日中は薄曇り状態で暑くもなく、歩き回るにはちょうど良かったのです。

さて、朝から実行してきた「京都食い倒れ&御朱印ツアー」も最後のお店となりました。〆は当然ながらお酒がメインとなります。京都の酒どころと言えば、やはり伏見ですね。ということで、我々一行(と言っても3にんだが)は、京阪電車に乗って伏見に来ました。

◇◇◇

鉄道カフェ

「三条」駅乗車

「伏見桃山」駅下車

『黄桜酒場』

◇◇◇

実は、駅に降り立った段階では、以前にも一緒に行ったことのある鳥料理屋に行く予定でした。ところがその店の前まで行くと、待っている客がたくさんいることが判ったのです。予約が要る人気店であることは知っていましたが、時間を決めない行き当たりばったりツアーとしていたので、予約はしなかったのです。

鶏料理屋の中に入り、レジに立っている店員に「40分待ちです」と言われた我々は、第二候補に向かうことになったのです。それがこの黄桜酒場なのです。

駅から出たときに、雨が降り始めていたのですが、最初はギリギリ傘がなくても歩ける程度でした。でも、鳥料理屋からこの店に向かおうとした段階から、傘がいるなと思うほどの雨量になってきたのです。実を言うと、あれほど天気を気にしていた私なのに、傘を持ってきてなかったのです。駅前から続くアーケードにも傘を売っているような店は見当たりません。諦めて傘なしで小走りで黄桜酒場に向かおうとしていたら、アーケードを外れたところにあるスーパーの3階に100均があることを発見したのです。

黄桜酒場。 道路に面した入り口付近は、周りの町並みにマッチしたデザイン。

そこで無事200円の折りたたみ傘(意外に出来がいい)をゲットした私は、しっかり傘を持参していた友人夫妻とともに、この店の前まで、雨降る中ゆっくり歩きました。閑静な住宅街に佇むこの店は、酒蔵を改装したらしく、平屋の広いワンフロアにたくさんのテーブル席を配置した酒場で、店内の開放感があると同時に、周りの盛り上がりが渾然一体となり、ノイズのように聞こえて来るのです。

店内風景。酒蔵を改造した店舗だとのこと。

我々が座ったテーブルの周りには、大人数家族(10人以上)の食事会や、教師と学生のグループらしい飲み会などが行われており、それらが自然に一望でき、ある意味面白いな、と思いました。普通の居酒屋では、個室や半個室で仕切られていることが多く、他のグループの宴会シーンを直接見ることはあまりありません。そういう意味で、このようなワンフロアの居酒屋(一部半個室もあり)では、独特の雰囲気を味わうことができ、好き嫌いはあるかも知れませんが、自分たちの飲み方も変わるのかも、と思いました。少なくとも飲み過ぎによる馬鹿騒ぎは出来ませんしね。いい意味で他人の目を気にすることになり、落ち着いた飲み会になるのではないかと思うのです。もちろん、各グループはそてなりには盛り上がっていましたが、なんとなく上品(?)っぽい感じでした。

京都伏見初の地ビール(飲み比べセット)。

お酒の種類も豊富で、飲み比べセットや限定酒などもあり、飲む人には十分なメニューでした。また、お酒に合う料理メニューも数々用意されており、さすが酒造メーカー直営店という感じでした。

鶏肉の塩麹焼き。オススメ!

中でも印象に残ったのが「塩麹焼き」で、鶏と魚の選択肢があったので、今回は鶏を選んだのですが、とても美味しい鶏料理が堪能できたのです。柔らかくジューシーで優しい味付けの鶏肉は、箸が止まらずお酒もすすみました。他の料理も幾つか頼みましたが、結局、この塩麹焼きに勝るものはありませんでした。まあ、すべてを食べたわけではないし、好みもありますが、今のところの私のリコメンドとしておきます。

ただ、レビューとしてのマイナス評価があるとすれば、ホール係が忙しすぎる点でしょうか。酒や料理を追加オーダーしようとしても、なかなか呼べないのです。広いフロアをホール係が縦横無尽に動き回っており、ファミレスのような呼び出しボタンがないのに加え、たくさんの客から発せられる“ノイズ”により声も届きにくいため、彼らの視線をキャッチしないとオーダー出来ないのです。しかも、昨今のサービス業の傾向はこの店にも影響しているようで、客数に比較してホール係の人数が少ないため、彼らにも客の気配を敏感に察知する余裕がない感じなのです。

でもまあ、今回はまったりツアーだったので、そういうロスタイムも気にならないどころか、逆に誰にも気兼ねなくゆっくり出来て良かったのかな、とも思いました。狭い店舗で、スタッフの視線を感じながらの食事は窮屈ですから。

中庭があり屋外でも飲食が出来るようになっている。春には「黄桜」が鑑賞出来るようだ。


帰り際に友人の今日の最後のうんちくが聞けました。

「一部屋だけ離れた場所にあって、静かに飲めるんだよ。要予約だけどね。」

ということで、今回の京都ツアーは無事終わりを迎え、再び京阪電車に乗ってそれぞれの自宅を目指したのでした。

ごちそうさまでした。

◆エピローグ「出町ふたば

朝の9時頃から夜の9時頃まで、ちょうど12時間の「京都食い倒れ&御朱印ツアー」は、思っていた以上に楽しく美味しい経験でした。

その中で、途中に3か所で買い物もしたのですが、その一つがここでした。

店頭の風景。最後尾に並んでから買えるまで15分ほどだった。

このお店は、以前TVで見た記憶があり、店舗前の混雑はその時に見た光景のままで、番組中に流れたシーンを再現しているようでした。

どこかで食べようと(イートインは出来ないようだ)、一人2個ずつ買いましたが、食い倒れツアー中に食べるタイミングがなく、家に帰ってから食べました。

包装紙には地図が描かれており、お土産で頂いた人が自己調達しやすくなっている。

豆餅は、豆の存在感がしっかりある一方、餅の方は柔らかなので、その食感の差がクセになりそうな和菓子なんだな、と思いました。もう一個の田舎大福の方も美味しくいただきました。

豆餅と田舎大福(本よもぎ入り)。

京都には、まだまだ美味しいものがあると聞いています。次の訪問が楽しみです。

終わり。

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