🍳OHIO vs SYDNEY POWELL: MATRICIDE (オハイオ州対シドニーパウエル：母親殺し）🔪

タイトルに何故フライパン（🍳）が表示されているかと言うと、凶器の一つだったから。

シドニーパウェル(18歳)は、大学で成績が悪くて停学になったあげく退校になった事を親に報告出来ず、将来を悲観してキャリアウーマンの母ブレンダと口論になり、娘のシドニーが大学と保護者として電話会議中の母を殺した事件。

アメリカのCOURT-TV(法廷テレビ実況)で取り上げられた、典型的なマトリサイド(母親殺し)ケースだ。

纏められた事件モノの番組バージョンを見た。非常によくできた実況で、最後の所にオハイオ州の選挙番組が勝手にニュースで挿入されてしまったのが、残念。

この一家は、鉄鋼メーカーの副社長の立派な且つ非常に静かで心優しい紳士、スティーブン、そしてキャリウーマンでオハイオ州アクロンにある、有名な児童腫瘍外科で立派なキャリアナースプラクティショナー(医師の代わりに処方が可能な診療看護師で、アメリカではNPと呼ばれ、ほぼ医師と変わらない扱い）になった妻のブレンダの間に、成績がいい、非常に「好い子」のシドニーと弟アンドリュー(今回、無関係な事から、番組からは排除) がいた。

家庭は円満、子供は優秀で、近隣の過程でも美しい家族として有名だった。

本件は、簡単に言うと、下記の様な状況で発生している。
オハイオの大統領制定奨学生のナンバーワンだった、超優等生のシドニーパウェルのオハイオの私立大学、マウントユニオン大学で生活中の2019～2020の一年間に、シドニーは、母親のブレンダと関係が悪化していた。祖母も、父も、知らなかったが、母親ブレンダは、完璧主義者で、特に勉強においては自分がより一生懸命勉学を頑張ったから、今の自分がある、と娘のシドニーに常にベストを尽くす様に導いていた。

マウントユニオンに入学後、シドニーは気を失い、ひきつけを起こす。医師に診て貰って脳のMRIテスト結果、統合失調症、引き付け、頭痛、精神的罹患が各種発症し始めていたことが発覚したと言う。

処方箋で貰った薬を何度か試飲し、心療医が薬の処方を管理し、薬が決まるなどしていた際に、副作用の罹患が多く、学業がなかなかついていかなくなった。多分、寝てばかりいたのだろう。そうなると、薬が眠くなる副作用を発象させ、勉強しないで寝てばかりいる。

ブレンダとシドニーは日に日に低下して行く学業について、口論を何度もしていた。

罹患状況が分かる状態であるにもかかわらず、娘への期待感が強いブレンダは、シドニーに厳格で、
「あなたは何だかんだ言っては私のお金を騙し取っスキャムしてるのと同じよ」
とメッセージしている。

普通なら、児童腫瘍科で、子供等に心優しく接していた母親になじられた娘の心は傷ついた事だろう。同時に、厳格な母の期待に応えねば、という義務感もあったろう。

（CHACHA私見➡教育ママのコントロールがきつい感じに聴こえて、ちょっと同情する。CHACHA自身、自分の父の支配下で、そういう苦労を感じた事が多かった）

併し、薬が確定しても、何かとシドニーの学業の調子が非常に悪化し始め、今まで4科目以上でA+(日本でいう優良可の優の上）奨学権利を失い、成績が劇的に低下しだす。

(CHACHA私見➡私は精神病になった経験はないし、そう謂う病気のDNAもない。ごく普通な健康体だけど、不眠状態が続けば、かなりやる気も低下するし、色んな否定的思考が頭を取り巻く。一度仕事で失敗した際には落ち込むことも多かった。統合失調でなくても、充分、気持ち的に低くなるもんだ。その上、シドニーの様に、精神的な重荷が多い状態で統合失調したとしたなら、薬が確定して効いたとしても、眠気とやる気のなくなる無力感しかなかったのではないか、と思われる）

捜査開始した刑事は、母親のブレンダの完璧主義に、シドニーがついていけなかったのではないか、と言う見解があった。シドニーは、成績が低下し、奨学金も受領権利を失くした為、ウチに帰れば母から叱責を受けるのが怖くて、大学停学後も学校に留まろうとした。

大学の学長事務局から複数回に亘り、学生寮からの立退きを迫られた。この時点で、両親へのコンタクトも本人が執拗に拒否する為、結局、セキュリティの学内警察官と共に立退きを強制的に実施し、シドニーは学門から基本的に追い出された。この時点で、彼女は退校になった。

シドニーの様子や会話内容に異常を感じ、心配などが有った為、生徒課課長が上司の部長と一緒に先に急遽両親に話す必要があると感じ、二人で母親にデスク電話からそろって電話したところ、母親ブレンダに通じた。

電話で会話中に母親が誰かに襲われているのが聴こえた。つまり、課長と部長は謂わば、母親ブレンダが殺されているところを目撃（EYE WITNESS）ではなく、聴撃 (EAR WITNESS) したワケである。

「ブレンダ、ブレンダ」
と部長が繰り返し呼び出すと、女声が答えた。
「はい、ブレンダです」。
その声は、娘のシドニーの声だった。
「君はブレンダじゃないよ、シドニー。一体どうしちゃったんだ」
という部長の声に慌てて、シドニーは電話を切った。

大学事務局は、アクロン市の市警に直接連絡し、たった今起こった事を説明し、警察側でブレンダの救急対応をする様に依頼し、実際に警察官がブレンダが居間で心肺ナシの状態で発見されたと言う。

法医学証言によると、シドニーは、電話にこたえるブレンダを後ろから忍び寄り、ブレンダの頭をフライパンで数回打撃、悲鳴を上げるも死なない母の姿に、今度はキッチンのナイフで母の喉元を33回続けて刺したと言う。

結果的にブレンダはフライパンとナイフの二つの凶器で殺された事となる。大学の学生部の部長と課長の証言で、シドニーが緊急逮捕された。

スティーブは、父として、妻のブレンダにシドニーの育成を任せており、一度帰宅して娘と話をしたが、妻が帰宅して自分が対応するとの事で、仕事があり、会社に帰社した。ブレンダは、この後に殺されている。

父のスティーブは、顔を歪めて、涙ながらに、証言した。
「この時、何故、私は自宅に居続けずに仕事に帰ったのか。面倒だったし、娘の事はブレンダ、と決めつけていた。自分の対応方法を、今、凄く後悔している。娘の抱える問題がココまで深刻であったことを知らなかった」
と法廷で涙を流した。

父親のスティーブは、私から見ると、非常に不憫だ。妻をウチに置いて、会社に帰ってしまった事を、彼は一生、自責する事だろう。また、裁判で証言した学生課の課長も、非常に両親に同情的であった。

残念なのは、シドニーがココまで悪化している自分への現実的な理解が足りなかった事、そして、母親のブレンダがシドニーを追い詰め、ここまでプッシュしてしまった事、だと思う。でも、犠牲者を責める必要はこの法廷では不要だろう。タイミングが悪かった、と謂う事だろう。