【二人のアルバム~逢瀬~③電話】(フィクション>短編)
―よぉ。
あら。珍しい事。今、何処からお電話なさってるの?ごめんなさい、ちょっと待ってね…。はい、好いわよ。水止めたわ。
―うん。今ね、出張先。今日帰りなんだけど。
えぇ。
―思ったより予定が早く終わっちゃってさ…ちょっと考えていたんだけど。
うん。なぁに?
―今夜、東京駅に、7時くらいにつく予定なんだけどさ。
お疲れ様、たいへんね。随分、急ね。
あ、わかった。出張先から?お土産でもくれるの?
―あ、おみやって、土産物? あぁ、あげるよ(笑)。漬物か、つくだ煮かな(笑)。あはは~、謂う事忘れちゃったじゃん、いや、そうじゃなくてさ。
今夜、7時半くらいに逢えるかなって。
…。好いけど?何処へ行けばいいの?
―そうね、…池袋の…安寿荘。安寿寿司。娘さんが後ろのアパートの家主してる。一度行ったの、憶えてるかな。
ん~と。あの、…南口の?
初めて二人で休んだところ?
―そうそう。憶えてるよな?大将がさ、好いのがたくさん入ってるよってメールくれてさ。海鮮から握りまで、俺らの為に特安で取って置きますよって。
あら。😍素敵、食べたくなるわね(笑)。
でも、出張直後じゃお忙しいんじゃないの?役員報告とか。
―来週でいいんだ。時間空いたことを誰にも言っていないの(含笑)。
トップシークレット(笑)。
んま、素敵。二人だけの時間ね。
―そうだよ。ずっと考えてたんだ。
昼間から、、、(笑)。
―7時半から行けば、裏の二階の弥生ちゃんの部屋で休ませて貰って…、あなたを車で送りながら帰れば午前様かな(笑)?
明日は自宅だし。
弥生ちゃん、まだ大阪?後のお掃除がねぇ。
女将に悪いなぁ。
―大将が好いよって。弥生は居ないって(笑)。女将には余計にお小遣い弾むし、あなたの事、女将さん結構気に入ってるし、許可付きじゃないかな。
弥生ちゃんは暫く都内に帰る予定はないらしいよ。ゆっくりしようよ。
好いわ。お車代、お高いから、出させちゃ悪いけど…、あなたがいいなら、いつでも行くわよ。お寿司、好きだし(笑)。
―よし。じゃ、俺が迎えに行くからな。
いいわよ(笑)、いつも通りに池袋南口に行くわね。
―今、何処?
今? 自宅よ。在宅勤務だし。丁度お昼を作っていたの。でも、午後から出かけるの。有給で。お友達のお茶の先生のお茶会よ。
―何を作っていたの?
コレは私のお昼よ。玉ねぎとお肉の炒め物。ケチャップで味付けして、パスタの和風味付けで焼きそばみたいにした感じで。
―いいなぁ。料理好きだよなぁ。
そうね。何事も創造する人なんで(笑)。
―今度食べさせて。
好いわよ、憶えていたらね(笑)。あははは。
じゃ、出先が渋谷なのよ。ちょっと用意しないと。
今夜は7時半?8時前が良いかしら。
―いや、7時半で。車内から電話するから。
了解💚あなたに逢えるの、楽しみだし、嬉しいわ、電話くださって。
考えてくださってありがとう。
―うん。
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