ちょっとしたことが事業を止める
おはようございます。サンカラ・税理士の柿本です。
ここ最近、荒れた現場にお呼ばれすることがいくつかありました。
例えば会社メンバー間の不和、関係者との折り合い、他ちょっとした税務関係の相談だったりするのですが。
相談者に詳しく話を聞いてみると、
「なんでこんなことになったのか分からない」
「言ってることがコロコロ変わる」
など原因も解決の糸口も見えない、とのことで、連絡が来たのでした。
現場① チャットでの暴言
社内チャットで暴言が飛んでいる状況で、当事者はもう仕事放棄の状態です。
社内の揉め事になぜ顧問税理士が呼ばれるのかという疑問はさておき、現場に赴きます。
「なんでこんなことを言うのか分からない」
と責任者。
チャットを見ると、メンバーの一人が他方に対して一方的に暴言を吐き捨てています。
なぜこんなことに…と思いつつ、私は事業計画の作成が止まることを心配し始めています。
融資を受けるための事業計画を作成してもらう流れにあったのですが、見事に瓦解。
責任者に話を聞きながら改めてチャットを読み返してみると、おそらくこれ、コミュニケーションの問題だな、と。
相手の考え方や方針もさることながら「言い方」が気に入らないのだろうな、と。
そう思い記憶をたどると、ちょっとした命令口調や唐突な物言いなど、私も少し頭にひっかかった言葉の節々が思い出されます。
責任者の方に、
「過去のこういったやりとりがちょっと気にかかっていたのですが、どう思われますか?」
と聞いてみると、
「私もああいった態度はちょっと気になっていた」
とのこと。
原因見えてるじゃないですかー、と。
現場② 言い分が二転三転
「独立開業をしたいが、協力者の言い分がコロコロ変わる。開業手続きが進まないから話を聞いてほしい」
と、まだ税務顧問ですらない私に連絡がきました。
当事者二名が膝を突き合わせているところに私が横に座り話を聞いてみますと、相談者は自分がやりたいことをしっかりと主張しています。
口調が強い。
それに対して協力者は、論点ずらし、不明確な情報の羅列、推測の繰り返し、と何かしら反発を繰り返しています。
確かに、協力者の言い分はコロコロ変わっています。
ああ…これは…意地の張り合いか…と。
協力者側は、協力はしてあげたいと思っているが、自己主張ばっかりされては手助けする気になれない。
相談者側も、こんなにやりたいことを伝えているのに話が進まないのは相手がはっきりしないせいだ、などと思って説得にかかっている。
お互い団結する結論は見えているのですが、お互い折れない。
傍から見ていると、そんなふうに見て取れます。
話が止まったところで、私が横から話を振ります。
「事業を立てようと必死なんですね」
「ここまで話を聞いてくれる人もなかなかいないですよ」
といった感じで、それぞれの主張を少しだけ代弁してみたりします。
お互い徐々に話が穏やかになり、口論が議論に戻っていき、話を進めるために整理すべきことがまとめられていきました。
2か月ほど止まっていた話がようやく進み始めてよかったな、と。
「ちょっとしたこと」が事業を止める
①も②も、重大な経営判断を間違えたとか、そういうわけではありません。
ちょっとした違和感への配慮や気遣いの欠落が事業を止めてしまい、ちょっとしたことだからこそ見逃してしまうと再認識するのが難しく、解決に時間を要するようです。
たまに会社に顔出す程度の顧問税理士のほうが見えることもあるのだな、と感じた出来事でした。
柿本耕市郎
公認会計士・税理士
専門分野(ビジネスモデル、新規事業、税務)
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