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触れ合いよりも言葉かけよりも大事なこと

人は生まれつき、他者との関わりを求めている。 5億年前のご先祖が獲得した感情は、極めて自分本位のものだった。 しかし、人の場合は自他の感情を共鳴させる仕組みを持ち、むしろ感情の共鳴を求めるように進化したと思われる現象がいくつも見出されている。その代表的な1つが共同注意である。 ♦追従から操作へ 共同注意とは、ある対象に対して2者が注意を向けており、さらに相手が自分と同じものに注意を向けていることがわかっているという 「本人‐他者‐もの」の3項関係が成立した状態である。

    • がまん強い子どもは将来成功する?

      あなたは、目の前に置かれたマシュマロを、食べずに我慢することができるだろうか? この方法を用いた実験によって、驚くべき結果が報告されている。 10年後の驚くべき結果 社会心理学者のウォルター・ミシェルらによって行われた通称「マシュマロテスト」と呼ばれるこの実験では、4~5歳の幼少期の子どもを対象に、マシュマロのような報酬をすぐに受け取るか、しばらく待ってより多くの報酬を受け取るかのジレンマ状況をつくり出す。  例えば、保育園の子どもに椅子に座ってもらい、実験者は部屋から退出

      • 3歳以前の記憶のゆくえ

        私たちは、一般的に3歳以前に起きた事柄について思い出すことができない。この幼児期健忘と呼ばれる現象には「思い出すこと」と「忘れる」ことについての私たちの脳の発達の仕組みが関連している。 海馬の発達 私たちの記憶に関わる脳部位は海馬である。海馬は、外界からの新しい情報を一定期間蓄え、必要な情報のみを増強して脳の他の部位に送って長期記憶 へと変える役割を果たしている。この海馬の中でも信号の入り口部分にあたる歯状回と呼ばれる部位は、生まれたときには未完成の状態で、生まれてから2

        • 魅力的な顔と身体の秘密

          美人やハンサムと呼ばれるのはいったいどのような顔の人なのだろうか。 何か特別なものを持っている顔なのだろうか。 この問題について、世界で初めて研究を行ったのは、フランシス・ゴールトンであり、19世紀の終わり頃のことである。 平均的な顔が美しい ゴールトンは当時最先端であった写真技術を使って、多くの人の顔を重ね焼きしてみるという研究を行った。印画紙に光学的に焼き付ける方式のアナログ写真である。このような重ね焼きをすると、個人ごとの特徴(例えば、人より大きな鼻や小さな目、ほく

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