sumomomo

単なる思いつきにあと付けで理屈をこねくり回して理論武装するのが得意技です。基本的に言っ…

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単なる思いつきにあと付けで理屈をこねくり回して理論武装するのが得意技です。基本的に言ってることは思いつきなので、あまり気にすんな。

最近の記事

グランドツアーの批評の批評 #4 タイムズ編<前編>

タイムズ (The Times) は1785年創刊の、世界最古の新聞にして新聞の代名詞的存在のウルトラ超高級紙です。そこらの日本の中学生でもその名を知っています。スタンスは中道右派です。 このウルトラ超高級紙が英国の(大衆紙を含めた)全新聞の中でグランドツアーやトップギアに最も近しい存在であったことは、番組を注意深く見ている人には周知のことですが、寝耳に水の人もいるかも知れません。 評者はトム・ペック (Tom Peck)  氏。レーティングはありません。 タイムズの記事の

    • グランドツアーの批評の批評 #3 テレグラフ編

      テレグラフは約170年の歴史を誇る保守系高級紙です。紙媒体はデイリーテレグラフ (The Daily Telegraph) 、Web媒体はザ・テレグラフ (The Telegraph) と名称が分かれます。かつてジェームズ・メイが連載コラムを持っていたことからもわかるように、グランドツアーやトップギアに比較的同調的です。 評者はベンジ・ウィルソン (Benji Wilson) 氏。最終回のレーティングは☆4/5です。 テレグラフの記事の要点は以下になります。 テレグラフの

      • グランドツアーの批評の批評 #2 インデペンデント編

        1986年創刊の新しいメディアながら英国を代表する高級紙になったのがインデペンデント (The Independent) です。現在はウェブ版のみの展開です。 中道左派で基本的にグランドツアーやトップギアのことが大嫌いです。嫌いすぎて時々マジで酷い記事を出していてびっくりします。 が、今回の記事はなかなか興味深いので見ていきましょう。評者はニック・ヒルトン (Nick Hilton) 氏。最終回のレーティングは☆3/5です。 インデペンデントの記事の要点は以下になります。

        • グランドツアーの批評の批評 #1 ガーディアン編

          最初に取り上げるガーディアン (The Guardian)は、言わずと知れた英国を、ていうか地球を代表する高級紙です。三体星人が地球に来襲したら参考資料として間違いなく持っていく新聞の一つです。いやThe Sunとか東スポも持っていくような気がしないでもないですが。 中道左派で環境問題等にも意識高く、クラークソンら3人の仇敵?と言える存在です。評者はスチュアート・ヘリテージ (Stuart Heritage) 氏。レーティングはありません。 ガーディアンの記事の要点は以下に

        グランドツアーの批評の批評 #4 タイムズ編<前編>

          スズキのバイクとラーメン屋じゃないほうの山頭火

          山頭火といえば今日日はラーメン屋の名前らしいです。そういえばすみれも一風堂もラーメン屋の名前です。年寄りの知っている名詞は片っ端からラーメン屋の名前になっていきます。 なお今日はラーメンの話はしないので、ラーメン屋で検索してきた人はそっ閉じしちゃってください。 さて、昔話ばっかりするようになったら人間終わりなわけですが、どうせ終わってるので昔話をします。 その日私はバイクで夜の東北自動車道を東京に向けて走っていました。鹿沼の山の中と記憶してたのですが、地図を見直すとなんか違う

          スズキのバイクとラーメン屋じゃないほうの山頭火

          自己紹介 | はじめてのnote

          昔はオフロードバイク乗りでした。車のことはよくわかりません。それなら二輪のことならわかるのかと言えばまったくもって心もとないのですが、昔の丹沢や奥秩父の林道のことは詳しかったです。毎週走りに行ってたからな。いまの舗装路と通行止めだらけの丹沢や奥秩父のことは知りません。 当時全長50kmダートだった北海道の道東林道を70km/hでかっ飛んだことが自慢です。奥十勝林道では道に迷いましたが。未舗装路時代のナウマン国道で100km/hから空中1回転したことはひみつです。なぜか怪我もせ

          自己紹介 | はじめてのnote

          グランドツアーが終わります #8 彼らはアメリカに敗れた。しかしアメリカも勝ったわけではない!

          ジェレミー・クラークソンら3人の時代のトップギア (Top Gear) は、最盛期には世界3億5000万人の視聴者を数えたと言われました。歯に衣着せぬ車の批評とユニークなチャレンジの数々と馬鹿騒ぎは、世界中のオーディエンスから熱狂的な支持を集めました。彼ら3人はどこの国でも大人気でした。たった一つの国を除いては。 そのたった一つの国、それがアメリカでした。 彼らのトップギアのダイジェスト版や、別の俳優を使って制作されたアメリカ版トップギア (Top Gear U.S.) が、

          グランドツアーが終わります #8 彼らはアメリカに敗れた。しかしアメリカも勝ったわけではない!

          グランドツアーが終わります #7 かくしてクラークソンは農家になった

          2019年末に始まったCOVID-19によるパンデミックは、世界のあらゆる活動を止めました。映画やテレビ番組の制作も縮小されました。ターミナル駅は人もまばらで駅ビルも商店街もシャッターを下ろし、かろうじて開いているスーパーで弁当とノンアルコールビールを買い、強い陽射しが照りつけばかりで人の気配のない道を歩いて家に戻ってまたPCを立ち上げ、やってられねぇ、とか言いながらノンアルコールビールを飲みながら午後のテレワークに戻る。脇に置いたスマートフォンのアプリのSpotifyからは

          グランドツアーが終わります #7 かくしてクラークソンは農家になった

          グランドツアーが終わります #6 トップギアはお別れの時間です!

          もう少しグランドツアー (The Grand Tour)  のS4の第1回の話を続けます。 これはブリティッシュジョークだ!と言ってみたところで、この回が面白かったわけではありません。 車が登場しなかったから? その通りです。 船は外界と隔絶された乗り物です。殻に閉じこもり、外の世界と接触せず、ただそれを風景として眺めるだけです。金持ちがクルーザーや豪華客船を好むのも、外の世界の貧乏人と接触したくないからです。ヨットでの単独の外洋横断が賞賛されるのも、それが常人には想像もつか

          グランドツアーが終わります #6 トップギアはお別れの時間です!

          グランドツアーが終わります #5 アメリカの犬か、ブリティッシュジョークか?

          アマゾンプライムビデオ (Amazon Prime Video) と新たな契約が更新されたグランドツアー (The Grand Tour) でしたが、新契約シーズンであるS4の第1回は、'まともな知能と感性を持つ' 多くの人が頭を抱えたくなるような内容でした。はっきり言います。私も初見時には頭を抱えました。 番組はカンボジアのシェムリアップの街から始まります。シェムリアップといえばアンコールワットのお膝元ですが、グランドツアーはとても文化的な番組ですからアンコールワットのアの

          グランドツアーが終わります #5 アメリカの犬か、ブリティッシュジョークか?

          グランドツアーが終わります #4 その日葬られたものは何だったのか?

          グランドツアー (The Grand Tour) のS3の最終回の話を続けます。 フォード車の紹介で、続いて登場するのはフォードシエラRSコスワースです。1987〜90年にかけて世界のツーリングカーレースを席巻したコスワースは、ヨーロッパフォードの製造です。 ツーリングカーレースで圧倒的な成績を収めながら、コスワースは盗難対策に弱点がありました。しかも速い車なので盗まれたらもう誰も追いつけません! そのため売り上げを落とし、市場から消えていくことになります。 最後に登場するの

          グランドツアーが終わります #4 その日葬られたものは何だったのか?

          グランドツアーが終わります #3 フォードはアメリカ車?イギリス車?

          グランドツアー (The Grand Tour) のS3の最終回は、いま改めて見ても奇妙なものでした。付けられたサブタイトルは Funeral for a Ford(フォードの葬式)です(邦題は 'さらば愛しきモンデオ フォードでたどる英国史' というずいぶん柔らかい表現になっています)。 異様なサブタイトルに一体何が始まるのかと再生ボタンをタップすると、フォードコルティナはイギリス人の生活に深く根付いた車だった!ということがいきなり共通認識のように語られ、戸惑います。 イギ

          グランドツアーが終わります #3 フォードはアメリカ車?イギリス車?

          グランドツアーが終わります #2 トップギアを支えた誇りと願いと憂い

          ジェレミー・クラークソンら3人時代のトップギア (Top Gear) は、思えば不謹慎の塊のような番組でした。移民を犯罪者呼ばわりし、ゲイを当て擦り、他国の自然環境を破壊して、インドやアルゼンチンでは国際問題まで起こしました。極悪番組と言ってもいいでしょう。 グランドツアー (The Grand Tour) は違います。アメリカの超メガ企業のコンプライアンス規定を受けて、それら不謹慎な部分がごっそり削られています。日本で言えばPTAに推奨されるような優良番組になったわけです(

          グランドツアーが終わります #2 トップギアを支えた誇りと願いと憂い

          グランドツアーが終わります #1 老醜を晒しても番組を終えるつもりはなかった

          グランドツアー (The Grand Tour) が終わります。アマゾンプライムビデオ (Amazon Prime Video) の人気番組の一つで、ジェレミー・クラークソン、ジェームズ・メイ、リチャード・ハモンドの3人のプレゼンターが愉快な、人によっては時に不愉快なトークを繰り広げながら冒険旅行をする自動車リアリティショーです。 英BBCの人気自動車番組・トップギア(Top Gear) で彼らが初めてトリオを組んだのが2002年のことですから、彼ら3人のショーは足掛け22年

          グランドツアーが終わります #1 老醜を晒しても番組を終えるつもりはなかった