アート+・・・

ギャラリストの山本豊津さんと金融の分野を専門にする方との対談を読んでいる。

「教養としてのお金とアート」「コレクションと資本主義」・・・

アートが資本主義と深く関わってきたことが分かり、目から鱗である。アートが、一般的に捉えられがちな崇高なもの、感性でしか語ることのできないもの、作家は独自の世界観を持って社会とはかけ離れている、というような考え方とは全く別の見方であり、アートは確実に社会の動きとともにあり、資本主義の発展の中から成り立っていることが分かる。

キリスト教が金利(人間が未来を考えること)を認めたことから、経済が自由になる。自由になるとアートの価値付けが始まり、市場が生まれる。

イタリアの未来はとロシア構成主義は、産業革命によって生まれた。それは数学の発展と関係する。

また、これらの対談、論考を通して語られていることは、

価値の創造

ということに尽きる。

美術館の収蔵庫に眠る作品は、美術品資産である。美術品をフローではなく、ストックと見ることが必要である。美術館は資産ストックの価値を認識し、維持、保全しないといけない。

そして活用しなければいけない。

フロー重視でストック軽視の国家財政である。

美術教育でいえば、価値が価格に変わるのはどういうことかを理解する知性が必要。

会計における「公準」はグローバルスタンダードであり、これを美術教育でも教えるべきだと説かれていて面白い。

美術界が、会計の根底にある数値化の思考を学ぶべきである、と。知識を覚えることではなくて、「価値を創る」方向に教育を持っていかないといけない。

AIは神と似ていてある種超越した存在だけど、倫理もなければ美意識もない。そこに本当に文明は生まれるのかとい問題が出てきます。

数字、価格で考えるべきだと説かれるアートであるが、アートがアートであるための要素は、究極、倫理と美意識に尽きるのかもしれない。この部分に、ビジネスマンが惹かれるのだろう。


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