ランダムドット!

エキソニモ

Art week tokyoがきっかけで見に行ったエキソニモのConnect the random dots という作品、予想以上に面白かった。

https://connect-the-random-dots.ooo/#ja

正直何も知らないまま見に行ったので、点と点が線で繋がれた絵が30点ほど展示されている、という状況が呑み込めなかったが、コンセプトを知って、深く入り込めた。

これは、1冊の本から始まったプロジェクト。
その本は、ドッドがランダムに打ってあり、その点の数が段々と増殖し、また最後は少なくなっていく、という流れで構成されているが、元は、子どもの点繋ぎ絵にインスパイアされている。
点と点が繋がる状態は、人と人との繋がり(リアルな世界、SNSの世界の両方)ともとらえることができる。私たちは生まれ、人と出会い、それから無数の人間関係が構成されていく、最初は、家族、友人など、数えられるほどの点が、次第に1万ドッド以上の点になるときには、画面の余白はなくなっていき、もはや自分でも数えることができない、意識できないような繋がり、共同体があり、ある意味個人の意思ではコントロールできない世界ができあがっていて、これは、私たちの社会や人生ととらえることができるのではないかと思う。
点と点の繋がりは、それ以外にも、脳のシナプスのような関係性に対する発想やひらめきの状態の可視化ともとらえられるし、シンプルなゆえ、様々な現象に置き換えることができる。

点と点にどのような意味を持たせるか、というところに考える余地が存分にある。

また、この作品の醍醐味といえるところは、本の各ページがNFTアートとなっており、私たちはそのオーナーシップを購入することができ、オーナーとなった人々はブロックチェーン上で繋がり、新たなコミュニティが形成されるというところである。
また、オーナーシップに加えて、ギャラリーに展示されている、各ページごとにアーティストが実際に点を結んだ絵(黒縁の額装も素敵)と書籍も一緒に手に入れることができるのは嬉しい。

購入する、ということが作品への参加につながるのは、他の観客参加型のアートと一線を画すものがある。
また、本に打たれたドッドだけでなく、ページーの所有者もページごとにランダムな抽選で選出されるところにも「ランダム」という特質が反映されており、巧みに作られていると感じる。
また、最初に30点ほどの作品からどれに申し込むかを選択するのは自分の意志であるが、そこまでを「ランダム」に選ぶかは自分の自由だ。全てをランダムに委ねても面白いかもしれない。

本という一冊の作品をブロックチェーン資産ととらえると、資産をランダムに選ばれた人々でシェアしてしている感覚も面白い。

ランダムな点しかないがゆえに、その作品の可能性や発展性は無限であり、そのコンセプトが、リアルとバーチャルの階層が幾十にも重なり合って作り上げられているところは面白く、一回きりの現象では終わらない作品の可能性に期待ができる。


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