廃墟という考え

戦後の都市経済の発展の中では、「成長」は明るく、前へ前へとユートピアを目指して前進し、生物のように新陳代謝を繰り返し、動的に進歩していくものと捉えられ、「メタボリズム」と称して都市開発が行われた。

その動的な進歩の過程の中に、破壊や廃墟という要素が含まれていないことに、疑問を持ったのが、建築家の磯崎新である。

一つの言葉の中にその言葉に対して相反する意味を含ませて考えること。陰陽は表裏一体と考えること。そのような視点で物事を捉えている。「成長」には、停滞、衰退、停止、破壊、廃墟、のようなマイナス要因も含まれていくことを認識しなければならない。その時、「成長」はまた新たなスポットライトを浴び、新しい概念に塗り替えられる。

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