はい、こんにちは

チンポムのエリイ筆 はい、こんにちはを読んで。

私がいつも好きで読む社会学、哲学の分野の著書とはジャンルが違うが、現代美術の先端にいる作家の言葉は強く、リアリティに溢れ、物事を見る視点がかなり面白い。また、出産の体験を綴っているところは、母親として共感できると同時に、冷静に物事を見つめる視点は見習いたい。

下記の言葉が印象的。

現代美術を買う経験はしないよりはした方が良い。美術作品から自分が持ち合わせていない知る由も無かった概念が体内に取り入れられる。鑑賞しているだけでもそうなるが、所有し続ける行為とともにその持続と更に新たな概念の発見が得られる。見えなかったものが目に入るようになり、物事と物事の間の解像度が上がってより強固に紐付けて考えられる。要らなくなったら売ればいい。

社会現象の中に身を置き、様々な事象をリンクさせ、新しい考えや、人を驚かせるアクションを生み出す活動をしている方の言葉であり、とても説得力がある。(この章でジェフ・クーンズを購入した妹氏の件が面白い)

見えなかったものが目に入るようになることが、新たな概念の創出で、それを気づかせてくれる入り口は、やはり現代アート。それを受け取る私たちも、社会現象の一部である。参加することの重要性。アクチュアルな作品とはなんだろうと、考えさせられるし、現代アートを見る視点がより面白くなる一冊であった。


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