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トルコの現在。

★写真は昨日、たまたま観てたTVの画面を写メしました。
真ん中の青い枠に移っているのがトルコ保健省の大臣ドクター・ファフレティン・コジャさんです。
右はトルコ科学アカデミーのドクター・テウフィック・オズルさん。

本日時点でのトルコの感染者数など

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検査数83万件、陽性者10万4千人、亡くなった方2千6百人、ICUには千8百人、その内挿管されているのが千人弱、退院者2万人強、と云う感じらしいです。他に、私の様に検査しないで軽症で自主自宅隔離している人も相当数いるはずです。
知り合いでも入院するほどでもない、と云うことで自宅で養生している陽性者が何人かいます。

昨日、TVで観た、現場の医師の話や、科学アカデミーの先生などの話では、
感染スピードが落ちてきたので、流れとしてはピークアウトが見えた、と言えるそうです。数字だけ見てると、物凄い感染者数なんですが、軽症者が自宅で養生出来ているせいか、病院での医療崩壊は起きていないそうです。

検査数は1日5万件のキャパがあるそうです。今日一日だけでも3万8千件行われています。検査数が多ければ多いほど陽性患者数も上がるので、全体の感染者数が多くても、トルコの人口で考えれば想定内なんだそうです。

感染者数が多いせいもあって、死亡率が突出して低くなっています。
それと、やはり、現場に余裕があるので、軽症者もケア出来る状態がキープ出来たので死亡率が低く抑えれることに成功した、と言えるそうです。

取り敢えず、上手くいった理由を考えると、と現場の医師の方が言うには
最初にコロナで亡くなった方が出た時点からの2週間がとっても素早かったそうです。まず、中国から得た情報がすぐに現場の医師に情宣されたそうです。その後も保健省から公立病院にも私立病院にも直接、指示書面が配られ行き渡っていて、その中身も毎日常に更新されていったそうです。
TVの出演したドクターが誇らしげにそのファイルを見せてくれていました。
対症療法薬の現場での状況もすぐに保健省にダイレクトに上げることが出来たので、情報共有が早くて、トルコの全国のどの病院でも同じ対応が出来たので、現場のドクターがあまり不安にならなかったそうです。

今、国内では20歳以下の子供と65歳の高齢者が常時外出禁止
それ以外も大都市30県+感染者の多いゾングルダック県で断続的にロックアウトになったり、解除されたりしています。
前の記事でも書いたように、最初の都市封鎖の時には馬鹿馬鹿しいお祭り騒ぎになってしまったので、今は都市封鎖は数日前から告知されるようになりました。因みに私の住むカッパドキアのネヴシェヒル県は対象には入っていません。

自身、陽性疑惑で自主隔離を4週間続けましたが
家庭医の先生と話して、マスクをして、他人ときちんと距離が取れるなら、買い物ぐらい出ても大丈夫、と言って貰ったので、一昨日、大型スーパーに買い出しに行ってきました。
街中の様子に切迫感はなく、人々はマスクこそしていますが、何となくのんびりとした様子に感じられました。
それもこれも、保健省の大臣が毎日時間を掛けて、会見を行って現状を全て開示てして国民に分かりやすくフィードバックしているので
人々が疑心暗鬼にならずに済んでいるからなんだな、と思いました。
それだけでも十分な気がします。

トルコに住んでいる日本人の友人たちと話しましたが
都市封鎖が度々行われている大都市でも、行き来の許されている職種も結構あるので、それなりに人は動いているようです。
いい加減な事をする人もそれなりにいるようです。
まあ、なんと言うか、トルコ人なので、100%完全に締め付けるとすぐパンクしちゃうので、大きな規制はしつつ、その隙間をついて、指の隙間から零れ落ちる砂の様な綻びがある事は想定内と言うか大前提なのかもしれません。
言ってみれば、NY方式とスウェーデン方式の間を微妙に作っているような感じです。

科学アカデミーのオズル先生の解説では
「いつ、『普通の』生活に戻れますか、とは聞かないでください。
 もう永遠に時間が『戻る』ことはありません。マスクやソーシャルディスタンスと言うものは、これからの世界でずっと続いていくのです。
素晴らしいワクチンがある日突然出来上がって、皆がその効果を享受出来る可能がなくはないのですが、それは何年も先の話です。
感染スピードが落ちて、一旦落ち着いても、それはただウイルスを冷凍庫に仕舞えた、と言うだけです。冷凍庫から出して溶けだしたら、また感染が拡大していくだけなんです。徐々に病院の受け入れ態勢に間に合うスピードで集団免疫を作っていく、長い道のりの始まりでしかありません。」
と話していました。

変に期待を持たせない、現実的な話だな、と思って、妙に肚落ちしました。

ドクターの方の話でも
感染症と言うものは、この後、第二波、第三波がやってくるのが通常なので
現場の受け入れ態勢などを見直して、次の波に備えているところです、と言っていました。
だから、政府の方針に従って、外出を控えたり、解除したり、上手く波を作っていって欲しいと思います、と言っていました。

現在、トルコ政府は、在外のトルコ人の大引き上げ大会を催しています。
政府専用機で空路が断ってしまった地域や国からトルコ人の帰国を促しています。
イスタンブルの旧空港の滑走路に大規模な隔離収容施設を準備してるそうです。海外からの帰国者に冷たい何処かの国に見せてあげたい気がします。
帰国後、すぐに親族には会えませんが、その隔離施設で過ごし、また発症者はそこで治療を受けて、断食月明けの砂糖祭りには親族に会う事が出来るでしょう、とコメントされています。
何となく、今其れをやる意味が分かりました。
イスラムの2大祭りである砂糖祭りに、いきなり里帰りしてくるトルコ人を
その時点で入国拒否をしたら、国民感情的に相当動揺が走るはずです。
それを見越して、一か月前から、この様な施設を用意して
徐々に帰国を促しつつ、お祭りだからって急に帰国してきてもすぐに入国手続きは出来ないんですよ、と言うメッセージの警告と情宣になっています。
トルコ政府、そこまで見越しているなんて流石だな、と思いました。

全体、とてもまとまって機敏にいろいろ、整備やシステムやストーリーが出来上がっているのは
早い段階で、大統領が出しゃばらず、専門家でもある保健省の大臣に権限を完全に集約してたからだと思います。
命令系統も情報の流れも、全てが保健省と、この大臣に繋がっているのが、ちゃんとこちらにも見えていました。
私は長くトルコに暮らすガイジンとして、いつもは強権的なこの国の大統領にはアンチでしたが、今回、全く出しゃばってくることなく
自分は専門家でもドクターでもないから、と手柄も全て部下の大臣に譲っているのを見ていて
少し、と言うか、かなり、見直してしまいました。
アンチとしては痛しかゆしの事態です。

私自身は、4週間経ってもまだ咳が止まらず、往生していますが
もしかしたら、このウイルスは、肺に多少キズを残していくのかもしれません。この咳とは長い付き合いになる様な気がします。気長に養生します。

全ての友人たちに健康と幸運を!

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