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わたしの演技術④(いま、ここにいる技術)

演劇経験のある人なら一度は聞いたことのあるフレーズ

「いま、ここにいる」


私も最近受けたワークショップで、自分の恩師から
「夏野はいまここにい続けられる筋肉をもっとつけた方がいいね」
とアドバイスをもらい、

「いま、ここにいる」ってなんだっけ、ともう一度考えてみようと思いました。

新国を修了してから2年間くらい、「いま、ここにいる」を重要視した演劇道場のようなところに通っていたことがあり、
そこではセリフを一切しゃべらせてもらえず、椅子に座ったままひたすら「ここにいる」をやり続けるというものでした。

そこで学んだ「ここにいる」の定義は

生きた状態、自然な状態をコントロールできているかどうか。

呼吸や、生きているゆれ(体にやってくる感覚)を解放できているかどうか。

この道場に通っているのと同時に、アレクサンダーテクニ―クというボディーワークの個人レッスンにも通っていたのですが、
体についている無意識の緊張を取ることで、
この「呼吸や、生きているゆれ」が解放しやすくなったような気がします。

これは自分ひとりでの作業としての「いま、ここ」の定義ですが、
交流するうえでの「いま、ここ」は以前の記事で書いた通り

相手役や空間からの影響を受け、自分の体が変化し続けることを許すことができているかどうか

だと思っていて、そういう体を目指すためには体が適切に機能するように、そして体の無駄な緊張をなくすために、ロルフィング、アレクサンダーテクニークなどのボディーワークや、

相手との交流で自分を変化することを許すトレーニングとしては、
マイズナ―メソッドにおけるリピテションコンタクトインプロビゼーションのクラスがおススメです。

でも、結局、「いま、ここにいる」ことができるというのは、
自分は、いま、ここに存在していていいのだ、と許可を出せているかどうかなのだと思うのです。

わたしは幼少期から家でも、学校でも、習い事でも「自分はここにいてはいけない存在なのではないか」という思いを抱えながら生きてきました。
テレビや多方面で活躍しているいわゆる「スター」と呼ばれる人たちは、どこまでも「わたしはここにいていい」を許している人たちのように思えます。
だからこそわたしたちはその在り方に憧れを持ち、彼らに魅了されるんだろうな、と思うのです。

俳優の技術は細かくはたくさんあるけれど、
「いま、ここにいる」人の魅力には結局叶わない。

でも、今書いてきたように「いま、ここ」はある程度は訓練によって習得できるものなのだから、「いま、ここにいる」ということをもっともっと掘り下げて考えていきたいと思います。

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