むき出しを読んで
むき出しは 主人公の石山くんの 今から 過去へ そして今へ そこに存在している時間と人と光景と音と季節が 石山くんの視点から描かれる物語。
石山くんの 今から 過去へ 過去は 子供の頃から描かれていて 子供だった石山くんから 見える世界が小説の中に広がっていて 好奇心いっぱいの視点が とても魅力的で 読んでいて ハラハラもしたけれどワクワクもしました。自分の子供の時も セブンスターって こういう風に見えてたなと思い出したり 子供の気持ちの近くにいける文章が良くて それと共に この見えかたとか 気持ちを 忘れている自分にも はっとさせられます。
石山くんの視点が 年齢を重ねていくとともに 少しづつ変わっていく。それが 文章で表現されていて そこが興味深かったです。セブンスターだったり 靴に積もる雪だったり 洗濯物の上にいるネズミだったり 抽象的で少しかわいらしかった表現が 徐々に現実味を帯びてきて石山くんが 向き合っている生活の状況が 体温のようなものを伴って伝わってきました。
内面の描写も徐々に増えていく。石山くんの信じているものと 周囲の人々が信じているものが くい違う度に 苛立ちや寂しさや哀しさが内面に増えていく描写が 読んでいて辛かったです。どうにもならないものはあると 改めて感じました。信じているものが 少しずつ崩れていく。その怖さや絶望感に近い感情が 文章を通して伝わってきました。
光景や空の描写がとても豊か。むき出しで すきなところは 主人公の石山くんから見える空が その時々によって いろんな表情をしていてなんかすごく その表現に 心が動かされるというか いいなと思いました。夜空の星が お誕生日を お祝いしてくれるような表現も とてもすきなところです。
言葉が とても魅力的な小説だけれど 言葉以上の感情や想いが伝わってくる物語だと思いました。
そして むき出しは 主人公の石山くんが はじめて 本にも出会う物語でもあって この本を読んでいると そういえば 自分も 本すきだったなと思い出して またいろんな本を読んでみようと 思ったりしました。やっぱり 本と出会うのは楽しいし 言葉ってやっぱりいいなと 感じられる小説と 今 出会えて 嬉しかったです。
本は 様々な人が書いていて 様々な登場人物がいて 様々な世界観が広がっているから 本当に ちょっぴりだけれど 自分の世界も広がるような気がします。その事に 改めて 気がつけて良かったです。