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投資助言会社とは?銀行や証券会社との違いを解説


投資助言会社って何?

 一言でまとめると「投資の助言を行う会社」です。名前の通りですが、商品を販売しないという点が特徴です。金融商品への投資判断について投資家に助言を行いますが、商品の購入・売却といった手続きについては全て投資家が自分で行う形になります。

一方、販売会社は自社で取り扱っている商品(投資信託・債券・ファンドラップなど)を販売する会社です。販売するための勧誘も行いますが、助言会社とはその在り方が大きく異なります。

アメリカ

アメリカの投資助言会社は、個々のクライアントにカスタマイズされた投資アドバイスを提供します。彼らの主な役割は、クライアントの金融資産を管理し、投資戦略を立案することです。アメリカでは、特に次のような特徴があります。

  1. フィデューシャリー義務: 投資助言会社は、クライアントの利益を最優先に考えるフィデューシャリー(信託)義務を負います。これにより、クライアントの利益に最も合致するアドバイスを提供することが法的に要求されます。

  2. 規制環境: 投資助言業は、証券取引委員会(SEC)および州の証券規制当局によって厳しく規制されています。登録投資アドバイザーはSECへの登録が求められ、定期的な監査や報告が義務付けられています。

  3. サービスの範囲: 投資ポートフォリオの管理、退職計画、税務計画、教育費の計画など、広範な財務計画サービスを提供しています。

欧州

欧州においても投資助言会社は、個々の投資家にカスタマイズされたアドバイスを提供する役割を果たしていますが、欧州特有の規制とアプローチが存在します。

  1. MiFID II: 2018年に施行された金融商品市場指令(MiFID II)により、投資サービスの透明性が強化されました。この指令は、投資助言会社に対して、より厳格な報告要件やクライアントへの情報提供義務を課しています。

  2. クライアントの分類: 欧州では、顧客を「小売顧客」、「プロフェッショナル顧客」、「適格対抗者」と分類し、提供されるサービスや保護のレベルがそれぞれに応じて調整されます。

  3. 全面的な財務アドバイス: 欧州の投資助言会社は、投資ポートフォリオの管理だけでなく、総合的な財務計画、資産保全、相続計画など、より幅広い財務アドバイスを提供する傾向があります。

これらの地域では、投資助言会社はクライアントに対して包括的なサービスを提供し、個々の財務目標達成をサポートするための重要な役割を担っています。クライアントの利益を守るための法的義務と規制の下で、高品質で透明性の高いサービスを提供しています。

投資助言会社と販売会社との違い

 では、投資助言会社と販売会社の違いを具体的に見ていきましょう。大きくわけて3つあります。

利益の源泉が違う

一番大きな違いが利益の源泉になります。販売会社は投資信託や株式・債券を売買する時にかかる売買手数料が主な収益の源泉となります。そのため、販売会社にとって「良いお客様」とは、たくさん売買することで手数料を多く落としてくれる人になるわけです。
 一方、助言会社は商品を販売しないので、売買手数料は存在しません。どこから利益を稼ぐのかと言うと、助言した運用資産の残高に対して一定の割合で助言料をいただくという形になります。投資家の資産が増えれば増えるほど助言会社も利益が出る仕組みです。

助言会社は投資家と目標が一致する

 投資助言会社は「お客様の資産が増えれば利益になる」という点で、投資家と利益が一致しています。資産運用の目的は十人十色で様々ですが、「資産を増やしたい」という思いは共通だと思います。お客様と一緒に、同じ目標に向かって進めることが投資助言会社の強みです。
 販売会社は「お客様が売買してくれれば利益になる」ため、お客様の資産が増えることと販売手数料の増加には直接的には関係ありません。投資家の資産を増やしたいという目標とズレが生じてしまっているのです。
 このズレから生じる販売会社の問題点として、商品提案が本当に投資家を思っての提案なのか、手数料目当ての提案なのかの判断が難しいという点があります。

中立な立場で、世界中の優秀なファンドを紹介

 投資助言会社の立場から考えると、一番良いお客様は「しっかり利益を出しながら長期的に運用を継続してくれるお客様」になります。販売会社では販売可能な商品が決められていますが、中立な立場である投資助言会社は可能な限り良い投資商品を紹介することができます。

投資助言会社以下に表で簡単にまとめました。投資助言会社のメリットを中心に比較してきましたが、もちろんデメリットもあります。

投資助言会社のデメリット

 販売会社に存在しないコストとして、毎年の助言料があります。売買しなくてもかかるコストですが、対価として受けられるサービスは、ファンドの情報提供や英文でわかりにくい手続きのサポートなど多岐にわたります。

 全て自分で行っていただくことも可能ですが、毎日の調査や分析にかかるコストを考えると結果的に助言料の方が安くなることがほとんどです。

投資助言会社を選ぶポイントは?

 ここまで、販売会社と比較しながら投資助言会社の特徴・魅力を解説しました。少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

 最後に投資助言会社を選ぶ際の注意点をご紹介します。現在日本で投資助言業を営む会社はそれほど多くありませんが、手数料無料化の流れから今後は増加していくと考えられます。今後も使える判断基準として使える3つのチェックポイントはこちらです。

金融庁に登録しているか

 最初にチェックするポイントは、金融庁の登録業者であるか否かです。投資助言会社は「投資助言・代理業」という括りになりますが、日本でまっとうに金融業を営む業者であれば当然金融庁に認可を受けているからです。

実績があるか

 運用会社を選ぶ際は、過去の実績を考慮する必要があるでしょう。長く続いており助言実績も豊富な会社であれば、それだけ信頼でき助言能力もあるという推測ができます。

自分のやりたい運用ができるか

 投資助言会社によって、投資対象は異なります。当社は名前の通りヘッジファンドが助言対象ですが、会社によっては株式やオプションを対象にするものなど業者によってできる運用も全く異なってきます。
 
例えば、1週間や1か月での短期でリターンを狙うのであればリスクの高い株式等で運用できる投資助言会社を選択することになりますが、ある程度の期間運用できるのであればヘッジファンドを取り扱う助言会社も選択肢に入ってきます。自分に合う投資助言会社を選びましょう。

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