見出し画像

ep.5 床に物を置くとゴミ屋敷になるらしい


これは全く間違っておらず、私の家も「ゴミ屋敷みたいになるよ」と母親から言われる。
原因は床に物を置くからである。
私のようなだらしのない人間は、休みの日は床で過ごすことが多い。
床といっても布団が敷いてあるので厳密には布団の上だ。

朝の10時ごろに目が覚め、そこからその日のほとんどの時間を布団の上で過ごしている。
お腹が空いて何か食べる時も布団の上、
最近、熱戦を繰り広げている日本シリーズを見る時も布団の上…
常に布団の上だ。
なぜ布団の上で生活しているのかというとそれは私にもわからない。
ただ、布団にはダメな人間を引きつける不思議な力があるように感じる。
昔はそんなことはなかった。
学生時代は、休みの日なんてないも同然で部活に明け暮れる日々、
布団の上にいる時間なんて寝る時ぐらいだ。
そんな私も今や布団の力には逆らえない。
この文章だって布団の上で書いている。全く恐ろしい力だ。

しかし、布団の本当に恐ろしい力はダメ人間を引き込むことではない。
ダメ人間を働かせることなのだ。
本来ダメ人間というものは自分から行動することを極端に嫌う。
なにをするのにも人任せで、いい加減に物事を片付ける習性がある。
しかし、布団周辺の環境問題には積極的に取り組むのだ。

枕元にiPhoneとswitchの充電をしていつでもできるようにスタンバイ。
そして、台を手が届くところに配置し、台の上に小腹がすいた時のためにお菓子を常備。
もちろんテレビも右を向きで寝ながら見られるようにセッティング。
この時リモコンはすぐ取れるところに置かなければならない。
そしてテレビの反対側、左側に寝返ると漫画や小説の本棚がある。
最高の環境だ。

このようにして細かいことまで配慮しながら布団環境を本気で整えているのだ。
「だだお前がだらだらしたいだけだろ」
と思うかもしれないがそうではない。
全ては布団の力が原因なのだ。
こんなだらしのない人間でも布団は癒してくれる。
そんな布団だからこそ私は誠心誠意布団と本気で向き合っているのだ。

「せっかくの休みなんだから外に出たら」
こう言う人がいるかもしれない。
私からすればこんなに素晴らしい環境があるにもかかわらず外に行く意味がわからない。
私は日々理想の布団環境を作るために努力をしている。
外にこれほどまでに私を突き動かしてくれるものがあるのだろうか?
是非「外に出たら」と言う人に心を突き動かしていただきたい。



「あんたそのうちゴミ屋敷になるよ」

何故か母の声が聞こえた気がした。
あたりを見渡すと埃まみれの布団に座っていた。
周りには
食べかけのポテチ、読みかけの本の山、今にもカビが生えそうな飲みかけのペットボトル
意味深なティッシュ...
ありとあらゆるものが床に散らばっていた。

2021年11月27日15時30分
私はおもむろに立ち上がり、ゴミ袋を取りに歩いていくのだった。
「明日は海でも行こうかな」そんなことを考えながら。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?