「歳月」林和
【拙訳】
歳月(としつき)
林和(リム・ホヮ)
真っ青に流れくだるノドゥル川、
木枝(このえ)をうち折る吹雪とともに
それは凍り付いて三月(みつき)の長い冬に
ざらついた手の甲のごとく何度も荒れひび割れ、
またその上に川水が溢れ
氷は二尺三尺と分厚くなった。
春!
柔らかい風が襟に這い寄るとき、
氷面(ひも)は打ち解け、
鐚銭(びたせん)、煉瓦みたいな欠片となり黄海へと流る。
こうして時は流れ流れ、広い山裾を掠めくだり、固い岩を削り、
千里のノドゥル川に床を張りぬ、
歳月よ!流るる永遠なるものよ!
すべてを築き上げ、すべてを崩れ落とす、
嗚呼、流るる時間よ、過去なり未来なるものよ!
我らはこの赤い山を、どす黒い岩を、
そして流るる歳月を、迫ってくる未来を、
それを尊厳よりも愛している。
身と心、その他のすべてを尽くして……。
歳月よ、お前は夢ですら一度も
滅び去るものが、その路上で振り返るを許したこともなければ、
過去の亡霊をして生まれたての赤ん坊の泣き出す首を押させたこともなかった。
お前はいつでも氷のように冷酷な懐に、
これらすべての順番を変えず
たっぷりと育てて流れてきた。
我らは
燃ゆる胸を興奮でときめかせ、若き時代の隊伍は
熱き脈が高打つ両手をぱっと広げ、
すべてを一抱えにして迫ってくる歳月!未来!
そなたをこの地上にてしっかり握りしめる。
我らは歴史の現実が波打つ大河の中で
朽ちては崩れ去るそれを退ける確固たる計画と
それに向かってゆく禿鷹のごとくに突進する満身の勇気をもって、
この広き地上のあらゆるところからお前の懐に迫る。
嗚呼、永遠なる愛(いと)しの青春、歳月よ。
お前のその美しい大きな青色の眼を見開き、
嗚呼、大地の世界を見渡せ!
誰がお前の計画の真の計画者で!
誰がお前の意志の真の実行者か。
嗚呼、刻一刻
全世界の上で長い翼を広げ飛び込む一年よ!
我らはお前に全世界を要求する。
古いのと新しいのとの火花散るいざこざの中で
我らは要求する、
いいものを、よりいいものを。
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………………………………
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嗚呼!いったい如何なる風があり、如何なる力があって、
波よ、振り向け!川床よ、立ち上がれ!と手招きし、
歳月よ、退去せよ!未来よ、立ち去れ!と喚くのか?
未来よ!愛しき永遠よ!
世界のあらゆるものとともにお前は永遠に若き我らのものなのだ。
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