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士業のタタミカタ_2

5 Forcesについて

このクラスに参加した頃、2014年当時は前々からあった危機感がジワリと現実になっていたので、これは何が起こっているかを、まだ学びたてだった、マイケル・ポーターさんの「競争の戦略」で取り上げられた、フレームワーク・5Forcesを使って、自分が税理士事務所に勤め出した頃から、どのように変化したかを、考えてみました。

ご覧いただく前に、5Forcesについて、私が説明をしてもわかりづらそうなので、こちらのリンクで、マクドナルドをサンプルとしていて分かりやすいので、ざっとでもお読みください。

業界の魅力度が、どう変わったのか?

 私が税理士を志したのは、それなり苦労した父のような小零細企業の方々のために働きたかったからでしたが、その当時・1978年当時はかなり、魅力的な職業と社会的にも思われていました。その税理士業界が、どのようにその魅力度が減っていったのか、1980年、1995年、2010年の15年ごと3枚の5Forcesでご覧ください。

各シートの左上のタイトル下には、その当時の税理士・公認会計士の人数を、左下には時代背景などを見るためにコトラー教授が考案された環境分析のフレームワーク・PESTのメモ、右上には、私の当時の状態などと会計事務所のトピックス、右下に、業界の魅力度の自分なりの判断を書いています。

まずは、ざっと全体を眺めてください。この業界に影響を与える5つの力が弱いときは細い線の矢印で描き、力が強くなるに連れて太く青い矢印にして表現していますので、この30年の中で、どのあたりに変化があって大きく動いたかを見て、気になった所の詳細をお読みください。

1980年の5Forces

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1995年の5Forces

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2010年の5Forces

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高度成長からバブル、サブプライム、平成不況へと

 ご覧になっていかがでしたでしょうか。1980年当時には、資格試験がそれなりに難関(詳細は後述いたします。)で、「5-10年の受験が必要」と言われていた時代で、その点が参入障壁ではありましたが、それを除けば、牧歌的な時代だったと思います。

それが、徐々に厳しさをましたのは、消費税の導入、バブル崩壊後の景気低迷、競争の激化、そして最初はOA(オフィス・オートメーション)、次いでIT(インフォメーション・テクノロジー)といわれた技術の普及、汎用化、加えて業界の競合の増加によって、売上減、人件費を含むコスト増、結果としての利益減少が生じて、その30年後の2010年には、「税務・会計に関するサービス」、税理士業界の魅力度はかなり低下しているのがお分かりになると思います。

増えるより減る方が怖い?

  この5Forcesが2010年のデータですので、もう11年も経っていますから、一体、いまはどうなっているのだろう? と思いませんか。 一つだけ、確認をしてみましょう。

税理士の登録人数の最新のデータです。

登録者数

日本税理士会連合会 https://www.nichizeiren.or.jp/cpta/about/enrollmen

先ほどの5Forcesに記載の税理士登録人数とを、15年おきと11年で並べていますので、少し比較しづらいですが、ご覧ください。

  1980年 40,535人
  1995年 62,000人(概数)
  2010年 71,606人
  2021年 79,805人

税理士人数の増加の勢いが落ちてきていることは、明らかです。もう少しその根本を確認するために、税理士試験の受験者数の推移をこちらで。

基礎となる数値は令和元年度の受験者数ですが、記事は2021年の1月のものです。このデータによれば、受験者数(実人員)は、2009年の5万1千人から、10年後の2019年には2万9千人へと、43%近く減少しています。

そもそも税理士試験は、言い方は悪いですが「生産調整」をされていますので、合格人数(5科目合格での資格試験の完了)は、例年、大きく変化しませんので、これは悲しいほど変化がありませんが、この受験者数の激減は、私が作成した30年の間での5Forcesでも見られる魅力度の大きな減退との考察を、見たわけでもないのに、「税理士を志し、資格試験にチャレンジをする人たち」が、肌身で感じて、この業界から逃げて行ったことの現れでは無いかと考えます。

業界に競合が増えないことは、競争が激化せずに良いことより、取り合う仕事が減っている、取っても十分な利益が得にくくなっている、つまり衰退をしたフィールドになりつつある、という怖い現実なのだと、この2014年のファイルを見ていた自分は考えていました。

何故、こんなふうになってしまったのだろう?

ここまでは、外的な要因などを含めて「税理士側から」の視点で、何故、こんなふうになってしまったのだろう? をみていましたが、2014年のレポートでは、お客様がどう変わったかのデータを見ながら、そもそも「税務・会計に関するサービス」、税理士とは、どんな仕事であるかを、考えてみます。

(次回は、小零細企業の置かれている状態、から。)




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