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リプトンを飲みながら

リプトン紅茶は、ブエノスアイレスでは高級品だった。アルゼンチン産ブランドの紅茶に比べて値段が高くて、特定の店にしか置いていない。特に今年、輸入が一時止まっていた時期には入手困難で、日本人の友達同士で、どこの店にあったとか無かったとか話題にしたものだ。好みはそれぞれだけれども、わたしはリプトン派で、現地の色だけついて香りのない紅茶を買うよりは、少し歩いてでもカルフール大型店に行くか、裕福層エリアに住む友達に頼んで見つけた時に大量買いしてもらっていた。

日本のスーパーに行って、大量に並ぶリプトンを見ていると感慨深い。

スーパーには何でも大量に揃っていて、田舎の無駄に広い実家はモノで溢れかえっている。何かが足りないとか、買えないとか、そういう事と無縁の世界。豊かで便利な日本の生活。

あれ?どうして心がシュンとしているんだろ、わたし。なんだか不便が懐かしい。

実家でひとり取り組み中のパーソナルスペース確保プロジェクトはまだまだ道半ばで、目下モノを捨てることに終始している。今後使用する見込みのないものがあり過ぎて、いわゆるトキメかないモノだらけ。ごめんね、しながら全部処分箱に入れて行く毎日。

一杯のリプトンに価値があったブエノスアイレスの生活と、何でもあり過ぎて捨てなきゃいけない現状。この折り合いのつかない気持ちの問題なんだなぁ。たぶん。早くプロジェクトを終わらせて、アッサリとしたいい風の流れる空間を手に入れよう。そしてこの家にしっかりグラウンディング、心の平安を取り戻そう。

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