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アルハイママのおせち料理

お正月は日本に限る。大好きなお餅を食べられるし、何より、家を清めて結界を張り、新しい年の年神様を迎えるという厳かな年末年始の行事と、その心持ちが好き。
アルゼンチンのニューイヤーは家族や友人同士で賑やかに集まり、各自が好き好きに上げる花火と、乾杯で幕を開ける。祝日は元旦の1日だけで、翌日からは通常営業。当然ながらクリスマスの方が休暇も長いし、祝いの席にも力が入っている。一度だけブエノスアイレスのお正月を経験したが、やはり日本がいいなと感じて、毎年この時期が里帰りになっている。

お正月の里帰りにはもう一つ理由があって、それはアルツハイマーの母のサポート。お料理いのちの母は、おせち料理にかける意気込みが凄い。両親ともに現役だった頃は、正月明けに沢山の来客があったし、遠方に住む親類におせちを送るという習慣もあった。既に家族分だけのおせちになって何年も経っているのだけれども、母の頭の中に新しい情報は入らないので、12月も半ばを過ぎるとそわそわが収まらなくなってしまう。だから「まだ作り始めなくても大丈夫」「もう材料は全部買ったよ」「足りないものはないよ」「それはもう作ったよ」という問答に耐える係が必要になるわけ。それを担いながら、料理助手を務めるのがわたしの年末行事。

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年末ギリギリまで伸ばしに伸ばし、作る品数は絞り込んで、今年もおせち行事を無事に乗り切った。

横で助手をしていると、思わず手を出したくなる場面は多いし、全部自分でやった方がよっぽど楽だ。それでも見守り、サポートすることに価値があるんだと思って、忍耐能力をフル発動しながら台所に立った。今年の母は流石に飾り切りのようなことは出来なくなっていたので、武骨な仕上がりだけれども、まあまあおせち風の料理には仕上がったので、良しとしよう。

正月にしか出さない器類を並べて、お屠蘇で乾杯しながら新年の食卓を両親共に囲めたのが何より。

読んでくださり、ありがとうございます。 サポートのお気持ちとても嬉しいです。ありがたく受け取らせていただきます。感謝💕