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アルハイママ、アート教室からの卒業

この10月、母は通っていたアート教室から卒業することにした。

アートと言っても塗り絵教室で、見本の作品に沿って下絵に色鉛筆で色彩を入れて行くものだ。
もともとは母のアルツハイマーのリハビリ目的で、父が付き添って通い始めたもので、かれこれ6〜7年は通ったのかもしれない。
仕上がる度に先生が額に入れてラッピングしてくれる作品は、我が家のあちらこちらに溢れている。

月に二回、2時間程度のことだし、ずっと二人で通っていたので、父に任せたままにしていたのだが、とうとうその父が、弱音を吐いた。

ここ最近の母の急激な記憶力の低下によって、教室内でのサポートがかなり大変になってしまったようだ。

「疲れた・・・」とぐったりしている父の様子に
「もう辞めさせてもいいんだよ」と言ったら、
「楽しそうに一生懸命やっているから・・・」と涙ぐむ。

この涙ぐむ感じ。
一方的に辞めさせるのはかわいそう・・の気持ちよりも、父の中ではお教室の人たちへの気遣いや、作業のサポートが大変、キツイ、辛い。という気持ちの涙のように感じられた。

分かるわぁ。それ。

家族の都合で、母から何かを取り上げなくてはならないのは、本当に心苦しい。寂しい気持ち。それはもちろんある。
でも、サポートするわたしたち家族の心の健康も大事。
父にこれ以上の負担を強いるのは、間違いだ。

「ママはアート教室に行ったことすら、帰ってきた途端に忘れているんだから、デイサービスに行って一日中ケアを受けながらアクティビティに取り組んだ方が本人の為にもいいはず。だから辞めさせちゃおう!」

ちょっと冷たく、強行に、父の罪悪感を請け負うような気持ちで、決断はわたしが下した。

あとは先生にそれを伝えなくてはいけない。
父から頼まれたそれを放置しておいたら、父は気になって眠れなかったのだそうだ。
繊細で心配性な父の一面はこの度の同居でだんだんと分かってきたことだ。ずっとそんな人だったのだろうか?子供の頃は親のこと、全然分かっていないものだ。

父が考えあぐねた末に、早朝に、書きかけのまま誤送信してしまったというLINEに先生からはちゃんと返信がきた。

いつも笑顔の奥様が教室にいらっしゃらなくなるのは残念。
十分なサポートが出来ずにすみませんでした。

という内容の優しいメッセージだった。

なんていい先生なのでしょう。

この先も父はひとりで通い続けるのだが、この先生ならば、おまかせして安心と思っている。


読んでくださり、ありがとうございます。 サポートのお気持ちとても嬉しいです。ありがたく受け取らせていただきます。感謝💕