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優しい嘘のあるアルハイママの連絡帳

アルツハイマーの母は週に3回デイサービスに通っている。
母の中では、仕事に行っている想定なので、昨日も送りの職員さんに、
「今度ゆっくり遊びにきてねー。ご馳走するからね。」と手を振っていた。
訂正するでも、笑い飛ばすでもなく、ごくごく当然のように「ありがとう。今度ねー。」と笑顔で対応する若い職員さんには、手を合わせて拝みたい気持ちになる。

施設には連絡帳というものがある。そこには昼食献立、血圧測定の記録等とともに、アクティビティの内容や、施設内での母の様子が毎回記載されてくる。

『ゲームでは手際よく楽しみながら挑戦されていました。他者の応援もされ周囲の雰囲気を盛り上げてくださいました。』
『他者席に行き、会話を楽しまれていらっしゃいました。』
『ゲームクラブに参加され、他者の応援も笑顔で行われている姿が見られます。』
などなど。こんなコメントを読むと、ほっとする。

実は以前にこんなコメントをもらったことがあった。
『ゲームクラブに参加し、他者の順番では横から指示を出したり「もう少しこっち」と少し口調が強くなりがちなので注意しています。』

これを読んだ時、家族一同モヤモヤした。
職員さんに迷惑かけているんだ。他の利用者の方々に嫌われているかも?通所を断られたりするのかも?という妄想ぐるぐるが止まらない。

モヤモヤが収まらず、ケアマネさんに、心配に思ってしまうのだと伝えたところ、おそらく施設に連絡をしてくれたのだろう。その後、コメントは超ソフトな内容に変わっていった。

多分、母の態度は以前も今も、そう変わりないと思う。きっと以前のコメントの方が、実態に近いのだと想像がつく。母は社交的だけど遠慮がない。そんな性格なのだ。さすれば連絡帳の最近のソフトなコメントは、かなり手心が加わっている。

でも、それはとっても心優しい嘘だ。
事実を知ったところで対処のしようがないのだから、家族としては心穏やかに受け止められる内容の方がいい。
我が家ではデイサービスに母を送り出せることは、本当にありがたく、助かっていて、「どうか、どうか、見放さないで〜。」と心底思う。
だから母が施設から出禁になるかも?という心配は、ずっしり重たいのだ。
連絡帳の中にある優しい嘘は、家族を余計な心配から遠ざけ、救ってくれる。

施設側としては、家族の心情にまで気遣ってコメントを残すのは、面倒なことだと思う。職員の皆さんには感謝しかない。


読んでくださり、ありがとうございます。 サポートのお気持ちとても嬉しいです。ありがたく受け取らせていただきます。感謝💕