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カフェをぶち抜くコーヒーは誰でも淹れられる

コーヒーアイコンのsumirenです。

この記事は株式会社ヘンリーAdvent Calendar 2023の16日目の記事です。昨日は @yoshiba のレセプト管理士認定試験に合格した話 という記事でした。

背景

皆さんコーヒーは好きでしょうか。

美味しいコーヒーというと、ちょうど自宅で中華料理でも作るかのように、「お店には敵わない」といった印象を持たれている方が多いことかと思います。プロがくるくるとドリップポットを回して湯を注ぐと魔法のように美味しいコーヒーができあがる。そういった印象を持たれている方も少なくないのでしょうか。

実はそんなことはありません。知識と少しのお金さえあれば、カフェに勝るコーヒーを自宅で淹れることができます。もちろん、カフェには空間や流れる時間といったカフェならではの良さがありますし、筆者もしょっちゅうカフェにいきますが、味だけにフォーカスすれば、自宅でカフェを超えることは簡単です。

なぜ簡単と言えるのでしょうか。それは、コーヒーの味が豆の質や湯温などの知識で満たせる部分で決まり、手先の技術は必要ないからです。これは衝撃的かもしれませんが、湯を初めはゆっくり注ぐとか、くるくる注ぐとか、筆者はそんなものは誤差だと考えています。それが誤差にならない高みの世界があることは否定しませんが、そのへんのカフェのコーヒーを超えるだけなら、そんな大層な技術を年月をかけて磨く必要はありません。

多くの人がコーヒーを美味しく淹れられないのは、知識の問題です。筆者はコーヒーを淹れるようになって11年経ちますが、最初の数年は美味しくコーヒーを淹れることができませんでした。そして、今思えば、それは全て知識の問題でした。ポットで湯を注ぐための手首の動きなど練習している場合ではなかったのです。

この記事では、カフェをぶち抜くドリップコーヒーを淹れるための3つの知識を取り扱います。コーヒーは変数が多く、失敗したときにどの変数が間違っていたのか、できるだけ悩みたくありません。そのため、金で解決できることは金で解決するのがコツです。そうは言っても、コーヒ豆代で1杯あたりの単価は安く押さえれば100円〜200円程度にできますし、設備も5万円程度には抑えられます。

もちろん、「お店には敵わない」と良い意味で割り切りながら最小限の費用でコーヒーを楽しむ人を否定するつもりはありません。しかし、いちいち弁明を入れていると字数が多くなり皆さんに申し訳ないので、この記事の以降の部分については「そのへんのカフェに絶対勝つ!勝利こそ全て」という前提で進めさせていただきます。

筆者はあくまでコーヒーや食に関して素人であり、その筋のプロではありません。内容には語弊や誤りが含まれる可能性がありますので、ご認識おきください。

1. コーヒー豆の入手と管理

まずはコーヒー豆の質です。結局のところ、コーヒーの抽出とは豆から美味いオイルを抽出する引き算であり、まずい豆にどんなに上手く湯を注いでもミラクルが起きることはありません。美味しく、鮮度の高い豆を確保することは必須要件です。

ここで初心者が走りがちなのがチェーン店のカフェや食品店でコーヒー豆を買うことですが、おすすめしません。一番の理由は焙煎後の豆の管理方法にあります。

コーヒー豆は、生豆という白い状態の豆を焙煎することで、私たちが良くしる焦げ茶色になります。この焙煎豆は、空気に触れると劣化します。これを酸化と言い、酸化した豆から抽出したコーヒーは、本能的に体に悪いと分かるような酸っぱさや鉄のような雑味があります。そうしたこともあり、一般には焙煎後から1ヶ月〜程度で消費することが望ましいとされています。

そのへんのカフェや食品店で売られているコーヒー豆は、焙煎日を管理していない場合や焙煎後の密封管理が甘い場合が多く、鮮度の高い焙煎豆を確実性をもって入手することができません。また、豆自体のポテンシャルも値段相応のものです。

最初にも言いましたが、カフェを超えるコーヒーを淹れたければ、まずカフェより美味い豆でなければいけません。

私のおすすめは、国内トップクラスのロースターから通販で買うことです。驚かれるかもしれませんが、カフェより美味い豆というのは、実は通販で確実かつ簡単に手に入ります。そのへんで売っているものの1.5〜2倍程度の値段で最高峰の焙煎豆が手に入るのですから、とても良心的です。

もちろん街中のロースターで買うのも趣がありますが、たまたま見つけたロースターが美味しい可能性に賭けるより、絶対美味しいとわかっているロースターから豆を買ったほうが効率がよいです。また、個人的にはコーヒーは焙煎から最低数日空けたほうが美味しく飲める思っています。その意味でも、通販で届く焙煎豆の焙煎後日数はちょうど良いです。

個人的には堀口珈琲が好きですが、おすすめはPostCoffeeのようなサブスクを契約することです。毎回違った豆をランダムで楽しむことができますし、コーヒーが生活に定着しますので、とても素敵だと思います。約200gで2000円のため、1杯あたりの100円〜200円と安くはないですが、節約を考えるのはカフェ超えのコーヒーを淹れる経験をしてからでも遅くはないでしょう。

焙煎豆を買う際にも注意点があります。それは、挽いてもらわず豆のままの状態で買うということです。

先程記載したように、焙煎豆は空気にふれると劣化します。そもそも豆を挽くというのは、湯とコーヒー豆の接触面積を増やすことで効率的にコーヒーオイルを抽出するためのプロセスです。当然、挽けば空気との接触面積も大きくなります。豆の形のまま適切に密封しても1ヶ月で飲めなくなるのですから、挽くことで圧倒的に表面積が大きくなった豆が数分や数時間で劣化することは想像に難くないでしょう。

したがって、飲む直前に挽くこともまた、必須の要件となります。豆を買ったあとは密封して保存し、都度ミルで挽きましょう。

2. 豆の挽き目

ということでコーヒーミルは必須なのですが、このミルもとても失敗しやすい要素です。挽き目で失敗すると、最後まで美味しく飲み切れるコーヒーになりません。

初心者がやってしまいがちなのが、最寄りの雑貨屋で買ってきた安価な手挽きミルで豆を挽くことです。ネットで「ザラメ程度の大きさに挽く」と見て、ザラメ程度ってなんだと思いつつ、挽き目なんてできあがりの濃さの違いだけだろうと考え、深く考えず焙煎豆を挽いてしまうことでしょう。筆者もそうして何年も無駄にしました。

これが悪手である理由を説明します。まず、ドリップコーヒーとは焙煎豆から湯を通じて美味しいコーヒーオイルだけを抽出したものです。そして挽き目とは、表面積によりコーヒー豆からのエキスの抽出量をコントロールするためのものです。細かく挽けば挽くほど、コーヒー豆の表面積が増え、コーヒー豆と湯が接触するようになり、多くのエキスが抽出されます。

ポイントとなるのは、コーヒーは美味しいところから順番に湯に溶け出し、エキスを抽出しすぎると雑味になる成分まで溶け出すということです。つまり、細かく挽くと、単に濃くのではありません。まずい成分をカップに落とし、せっかくのコーヒーを台無しにします。これを過抽出と言います。

そのため、コーヒードリップにおいては、焙煎豆を粗く挽くことが基本戦略です。粗く挽いて、薄くなることはあっても失敗することはありません。濃くしたければ、富豪的ですが、豆を増やすか抽出量を減らせばよいのです。一般に言われる「ザラメ程度」というのは、深煎りでも失敗しないちょうど良い粗さです。

ここに適当に買ってきたミルではダメな理由があります。そうしたミルでは焙煎豆を粗く挽くことができません。質の低い粉砕型のミルは、豆をすりばちのようなものですり潰す仕組みです。粗さを設定したとき「それ以上粗い粉が通らないこと」は保証できても、粉砕する中で細かい粉が出ないことを保証できません。

そのようなリスクをあえて取って、美味しかったり美味しくなかったりするコーヒーに一喜一憂するのは、人生の時間の無駄ではないでしょうか。筆者も過去に戻れるなら、1万円以下の手挽きミルを全て窓から投げ捨てたいです。この記事を読んでいる皆さんにはもう知識があるのですから、ぜひ金の力で余計な変数を1つ減らしてください。

筆者のおすすめはカリタ NEXT G2です。利点はたくさんあります。まず、こうした高級電動ミルはカットミルといって、豆を潰すのではなく切る仕組みになっており、粗く設定しても均一に豆を挽くことができます。さらに、「ザラメ」程度がどれくらいの大きさか悩む必要もありません。定量的で操作しやすいメモリがついている上、デフォルトでドリップに適切な挽き目になっているからです。

値段は5万円ほどするので安くはないかもしれませんが、5万円でカフェ超えのコーヒーライフが手に入ると考えれば高くはないと筆者は考えています。そもそもマストなので迷う余地はありません。放送受信料を払うのと同じです。

余談ですが、筆者は5万円ほどするコマンダンテという最高級の手挽きミルも持っています。カットミルとなっており手挽きでも極めて均一に挽くことができますが、結局忙しくていつも電動ミルを使っているためインテリアと化しています。

3. 湯温

失敗しやすい最後の要素は湯温です。感の鋭い方は、1つ前のセクションの内容から、なぜ湯温が重要なのかもう想像がついているかもしれません。

初心者がやってしまいがちなのは、沸かしたお湯をドリップポットに移してすぐにドリップを行い、熱いコーヒー液を抽出することです。

これが間違いである理由は、やはり過抽出につながるからです。湯温が高ければ高いほど、焙煎豆から多くのエキスを引き出すことになります。これはちょうど、コーヒー豆を細かく挽けば挽くほど多くのエキスが抽出されるのと同じです。もうお分かりのとおり、高い湯温による過抽出は、単に濃いコーヒーに仕上がるのではなく、まずい成分を抽出してしまうことにつながります。

湯温と抽出の関係については、水出しコーヒーがわかりやすいかと思います。水出しコーヒーがすっきりとしているのは、低温の水で抽出するため、えぐみの成分が出づらくなるのです。また、水出しコーヒーに半日もの時間がかかるのは、温度が低く焙煎豆からエキスを引き出すのに時間がかかるためです。

さて、筆者のおすすめは82℃〜92℃程度の湯温で抽出することです。深煎りであればえぐみが溶け出しやすいため80℃前半に抑え、浅煎りであれば溶け出しづらいため90℃前半でしっかりとエキスを抽出すると良いと思います。

それでは湯温はどのようにコントロールすればよいでしょうか。シンプルに水温計を買ってドリップポットに入れ、温度を測ればよいです。熱すぎたら冷めるまで待ち、温度が足りなければ沸かしなおしましょう。湯が少量だとドリップポットに熱が吸われやすいため、多めに沸かすとコントロールが楽です。

湯温を下げることでドリップ後のコーヒーが冷たくなってしまう懸念については、湯を多めに沸かしてカップにも注ぎ、カップを温めておくことで解決します。コーヒーサーバーからコーヒーを注ぐ直前まで、湯の熱を移しておきましょう。

まとめ

この記事を読んでいただけた今なら、「コーヒーの抽出とは豆から美味いオイルを抽出する引き算」と筆者が最初に表現した意味がわかるのではないでしょうか。

最高の豆を最高の状態で用意したら、後は挽き目や湯温によって美味しいオイルだけを取り出し、それ以外をカップに落とさない努力をするだけです。

ゆえに、ドリップは引き算です。ドリップポットの回し方で魔法や奇跡は起きません。加点は存在しないのです。条件さえ満たせば、誰にでも美味しいコーヒーが淹れられます。そのへんのカフェのコーヒーは、拙い手つきで淹れる皆さんのコーヒーでぶち抜くことができます。

この記事ではドリッパーの選び方や抽出時間の目安などは語っていません。それらが失敗につながることは考えづらく、筆者があえて書くほどのことではないと判断したからです。YouTubeで探せばたくさん動画が出てくると思いますので、好みのやり方を覚えれば大丈夫です。

この記事に書いたこと以外で失敗につながる要因があるとしたら、筆者が思いつくのは水の質くらいです。気が向いたらサントリーの天然水とかで淹れてみてください。

この記事が皆さんにとってカフェ超えのコーヒーにチャレンジするきっかけになれば嬉しいです。

それでは、良いコーヒーライフを。

追伸

ヘンリーは医療ドメインやtoB SaaS事業を展開しているスタートアップで、QAエンジニアやドメインエキスパートなど各種職員を募集しています。

国内では非常に高いレベルにある組織ですし、待遇もそれに見合ったものだと個人的には思っています。カフェに喩えるなら、「そのへんのカフェ」ではなく、どうやっても勝てないほうのカフェです。

そのため、コーヒーが好きな方は是非、みたいな有象無象の会社っぽいことは言いません。医療ドメインやtoB SaaS事業に興味がある方、ぜひカジュアル面談で相談させてください。
https://jobs.henry-app.jp/we-are-hiring


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