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フリーランスのライターを六年やって、行きついた依頼の形

 これは私が、六年フリーランスとしてシナリオライターをやってきた結果、たどり着いた依頼の形を、メモとして残しておこうと思ってこの記事を書いている。

 もちろんこれは現状この形が最適だと思って依頼を受けているときの形であり、これはもっと有名になったり、年月が経って今よりも業務に慣れたらこの形から違う業務方法に変わることはあると思う。
 が、現状はこの方法が最もいいと思っている。

☆依頼を受けるときに必要なこと

 この記事を読む層を考えるとしたら、多くはライティングに関わっている、若しくは関わりたいと考えている方が多数だろう。
 ということで、この記事ではライターの間で共通認識となっている用語の解説は省いていく。

 この記事を読んでいる諸君は、フリーランスで仕事を受けるとしたら、大半は「CLOUDWORKS」や「ココナラ」、「SKIMA」などの仲介サイトを通して依頼を受けているだろう。

 こういったサイトで依頼を受ける際、商品を出品する段階で決めなければならないことは大きく分けて六つある。

・バイノーラルを想定したシナリオなのか
・男性向けなのか女性向けなのか
・成人向けか否か
・収録時間 or 予算
・登場人物の人数(収録予定のキャラクターの人数)
・設定の有無

 バイノーラル収録であれば、表現の幅が増えるし、よりリアル感のあるシナリオにすることが出来る。
 どちらの性別に向けているのかも、成人向けであるかどうかも、クライアントがどういった作品を求めているのか、方向性を把握するためには必要な事項である。
 収録時間は、文字数を決めるために必要になってくる。
 そして、設定があるのかどうかはクライアントの求めるフェチに訴求するためには必要である。

 この中で、私はこれまで、台本を依頼してくるクライアントに設定の用意をお願いしていた。

 もちろん、設定が無ければ依頼を受けることはできない。
 が、私が今回書きたいのはそういう基本的な話ではなく、もっと踏み込んだ、「どこからどこまでをクライアントに任せるのがより良い作品を作れるのか」ということだ。

☆結論から言うと

 私は今まで、クライアントに

・キャラクターの(年齢や性格、口癖などの)設定
・求めるシチュエーションの案
・そのシチュエーションに基づいた軽いプロット

 これらを求めていた。

 ここで言うところのプロット、というのは、ライターがよく用意しているようなレベルの話ではなく、「高校の手品クラブに所属している主人公(女)が憧れだった水中脱出を試みる為、後輩に無理やり手伝わせる。
後輩は渋々引き受けるも、主人公がMである事を見抜いており、ある仕掛けを施す。」くらいの、軽いレベルでのプロットだ。

 このプロットを用意してもらうと、私はここからより詳細な内容を詰めていき、最終的に完成した詳細プロットを相手に確認してもらい、GOが出ればそのまま本編執筆、という形で書いていた。

 が、私は最近、そのプロットすら用意してもらわず、こちらでシチュエーションのみからプロット起こしをした方がよいのではないか? という結論に行きついた。

 もちろん、プロットを用意しているクライアントがいれば、そのプロットから本編起こしをする。
 が、そうでないクライアントの場合は、相手にプロットを用意してもらうよりこちらで用意した方が効率的ではないのか、という結論にたどり着いた。

 それはなぜか。
 多くのクライアントの場合、ライティングに関しては素人だ。
 まぁ、素人であるからシナリオライターにライティングを依頼しているのだろうが。
 であるから、プロットに関しても、プロットを書いてくれとお願いしても、上がってくるものの多くはプロット一本で書き起こせる文字数が、明らかに完成台本に必要な分量から大きく少ない。

 これが、「プロットのプロットを受け取る→詳細プロットを提出する」という、いうなれば『無駄』な工程を生み出している。

 そのため、私がたどり着いた結論として、「貰ったシチュエーションから、自身が本編を書きやすいようにプロットを組んで確認してもらう」ということである。

 私はこれまで、相手の要求するシチュエーションに応えたい、と考えるクライアント第一精神だったが故に、クライアントの用意したプロットに縛られ、満足いく作品を仕上げるのに時間がかかっていたのだ。

 これを解消するために行きついたのが、自身ですべてのプロットを用意し、それを確認してもらう、という方式だ。

 これであれば、相手にプロットを用意してもらう手間も必要ないし、こちらも書きやすいプロットを設定できるため、WIN-WINの状態となる。

 少し考えたらこの依頼形式の結果には簡単にたどり着きそうなものだが、普通の依頼としてクライアントの求めるものを書き上げよう、と考えるばかり、相手にガチガチに設定を考えさせているライターはかなりいるのではないか、と思ったため、今回この記事を書くに至った。

 何度も言うが、クライアントは素人だ。
 そのため、用意するプロットが書きやすいのか、書きにくいのかはクライアントには判断しずらい。
 それで書きにくいプロットを用意されるくらいなら、こちらで書きやすいプロットを提示し、GOサインを出してもらう方がよいだろう。
 ということで、フリーランスでライティングをしているこの記事の読者には、そういった取引の形態もあるのかと頭の隅に置いておいてもらえるだけで、私は嬉しい。

☆プロットを決めない方がいいクライアントもいる

 ただ、注意点として、プロットをガチガチに決め過ぎず、クライアントにある程度設定などは任せた方がいい場合も存在する。
 それが、ゲームや漫画、動画などだ。

 これらのジャンルから依頼をしてくるクライアントは、基本的に他のライターが一緒に仕事をしていることが多く、その分クライアントもシナリオの添削に慣れている。
 そういったクライアントはどうすればライターがプロットを書きやすいのかも把握しているし、時と場合によってはシナリオライターより先を見据えて、「このシナリオの方向性だと売れそう/売れなさそう」といった判断も第三者の視点から下すことができる。

 こういったクライアントの場合はプロットや設定は任せた方が書きやすいし、クライアントの意向にあったものを出力できる。
 そのため、上述したようなジャンルのクライアントの場合は、どこまで任せることができそうか、訊ねてみるとよいだろう。

☆総評

 今回は、依頼の形式について、思ったことを書きなぐった。
 ここ最近、依頼を受けこの記事の内容に思い至り、思いつくままに筆を執ったため、あまり添削していないのはご容赦いただきたい。

 もし今後フリーランスでライターをやる予定の方がいるなら、こういった方法もあると知ってくれたなら幸いだ。

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