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2度と味わえないあの水

寒く長い冬が終わると、命が芽吹く春が来て、あっという間に辛い夏がくる。毎日ひねる水道の蛇口を目の前に、急に幼い頃の感覚が蘇った。

 暑い夏の日ー。体操服で汗だくになった火照った身体で、滴るような汗を流しながら飲んだ、校庭の水道から溢れ出すキラキラした水。一気にゴクゴクと飲み込む、あの水のおいしさを私はきっともう一生味わえない。そのことに気づいて愕然としてしまう。それは子供時代、冬にクリスマスツリーを家に飾ると沸き立つあの高揚感に似ている。家がクリスマスモードになると、必ずもうじきサンタが来ると、信じて疑わなかったあの感覚はもう二度と体験できないのと似ている。

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