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愛に性別は関係ないはずなのにね

最近、感動したことって何だろう?と思い、TBSラジオ「空気階段の踊り場(2022年8月29日放送)」が思い浮かんだ。さすがにラジオで泣いたことはなかったけど、これはボロボロ涙が出た。踊り場公式本2が出たら、きっと掲載されると思いつつ、自分用に文字起こしをする。

・「空気階段の踊り場」とは?
吉本所属の芸人空気階段が、人生の為になる情報をお届けする教養バラエティー。ということになっているが、2人のプライベートを暴露しまくる、人生むき出し喜劇。

・「真夏の果実を聞かせて」とは?
サザンオールスターズの名曲「真夏の果実」にぴったりな、少しほろ苦い夏の思い出を紹介する企画。鈴木もぐらの才能溢れるメール読みと、楽曲への完璧な入りが、サイコゥ!サイコゥ!サイコゥ!

・ここから文字起こし
も:続きまして、ラジオネーム「夢の金魚」。ちょっとこのメールの前にですね、「『真夏の果実を聞かせて』のコーナー大好きです。つい最近あったことなので、まだ気持ちの整理がついていませんが、『真夏の果実』でこの思いに蹴りをつけて、幸せな思い出にしたいです」と。つい最近のことです。じゃあ、読ましてもらいます。

~オルゴールバージョンの「真夏の果実」が流れる~

「私には、12年間好きな女の子がいます。初めて話したのは、中学1年生の初夏。先生に褒められた国語のノートを、隣の席の君が『見せて』と言ってきたのがきっかけでした。私たちはお互いのことを知り、共通点の多さに驚き、すぐに仲良くなりました。教室も放課後もずっと一緒にいて、封筒にパンパンになるくらいの手紙を、3年間交換しました。

彼女のことは何でも知っていて、彼女も私のことを何でも知っていました。趣味も好きな小説、映画、食べ物も同じ。同じ男の子を好きになったこともありました。笑った顔と怒った顔が可愛くて、明るくてムードメーカーで、いつもふざけているのに、実はすごく繊細で真面目で、暗い道とファンタジー映画と、電車が通過する時が怖いところが大好きでした。思春期まっただ中の女子の争いに巻き込まれた時も、彼女は笑ってそばにいてくれました。

ずっと一緒にいる中で、もういつからか分からないけど、気が付けば恋愛の意味で好きになっていました。気持ちを伝えたいけど、驚かせてしまうかな、気を遣う性格だから、気まずい思いをさせてしまうかな、なんて色々考えて、結局一緒にいられなくなるのが怖くて、隠すことに決めました。彼女のことは何でも分かったので、私じゃダメなことも分かっていました。

高校も同じところに進学し、部活も一緒。変わらず、ずっと一緒にいました。何回も言われた『あんたが男だったら絶対好きになってたし、両思いだったと思う。結婚したかったなあ。』という君からの言葉は、私にとって死ぬほど嬉しくて、死ぬほど辛いものでした。

大学は離れてそのまま就職し、彼女の付き合った男の子は、私と好きなバンドが同じで、私と似ている服装をしていて、私がダメだったのって、本当に生まれる性別だけだったのかもなーとぼんやり思えるようになった頃、彼女から『話したいことがあるから会いたい』と連絡がありました。永遠みたいな真夏の夕方、学生時代よく寄り道したお店で、彼女はそれはもう予想通り、『結婚することになったんだ』と言いました。

~「真夏の果実」のイントロが流れる~

何度も覚悟していたのに、『一番に言いたかった』と嬉しそうな顔があまりにも可愛くて、すぐに『おめでとう』が出なくてごめん。時間はかかると思うけど、いい思い出になる気がしています。どうかお幸せに。」

~「真夏の果実」の歌い出し~


クゥ!泣いちゃうね。泣いちゃうよ。叶わない恋の切なさをギュッと感じる。好きな人と恋愛関係になれるかどうかは、今恋人が欲しいか?自分の容姿、性格、生活を受け入れてくれるか?といったことが問題になるが、女性同士の場合、同性愛を実践できるか?という鬼門も立ちはだかる。

井上涼「確信」のへたうまな良さを思い出しつつ、でもなんかこのメールは、自分と同じゲイと恋愛をしてみたいのにな~という疎外感ではなく、「彼女」のことがすごく好きで、自分の分身のような、いや、自分より大事な愛する存在が、他の誰かのものになってしまったことへの憤り、一緒に生きる可能性さえも無くなってしまったことへの悲しみで溢れている。泣いてしまうねえ。

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