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夢の国の裏側 小説『ミッキーマウスの憂鬱』

待って待って!それってディズニーのトップシークレットだよね?!言っちゃっていいの?、、

とフィクションだと言われているにも関わらず、本当の話なのではないかと錯覚せざるを得ない作品のひとつだ。

ディズニーリゾートにて心に感動を齎された人なら誰でも(夢の国を心の底から信じている方以外は)楽しめる小説だと思う。文章も読みやすくてスーッと頭に入ってくる。

あの夢の国のバックヤードではどのようなことが行われているのだろうかとわくわくしていた身として、読み始めた段階では、夢の国といえどもやっぱり裏の顔は存在するよね、、そうだよね、、と思わされることになる。(フィクションなんだけどね)

たとえば、マウント取りや、古臭い堅苦しい上下関係、派遣社員の扱いや、忙しない作業に追われ疲労する人々の姿など、、である。(現実的には当たり前だけどちょっとショック)

しかし、中盤から終盤にかけてのミッキーマウスを救出するシーンでは、「そうそう!夢の国の裏側はこうであって欲しかった!!」とうきうきせざるを得ない展開が繰り広げられ、最初に受けたショックなど忘れさせてくれる。(私って単純)

「最終的には夢の国のポリシーを守ってくれてありがとーー!!!」と、声を大にして松岡さんへ伝えたい

それに、親会社である米ディズニーとの契約や小泉政権、ブッシュ大統領の名前が出てきた時には、繋がる世界の大きさにも胸を打たれた。

主人公が少し勘違いボーイなのもいい味を出しているし、何よりミッキーマウスのお2人が私は大好きになった。
きっとかっこよくてダンディなおじ様方なんだろうな、

とってもスッキリ!!な気持ちで終わらせてくれる作品。

著者の松岡圭佑さんは、他でも実際に存在する人気スポットをもとに物語を繰り広げる作品がある。その表現力はまるで、新海誠さんや細田守さんの作り出すアニメーションのように緻密で鮮明だと感じる。実際に行って沢山観察したんだろうなあ、、

また、本の最後の「解説」部分は藤田香織さんという方が書いているのだが、

なんと〈文庫は解説から読む派〉の人のことを配慮して綴られているのである。要するにネットで検索しない限りネタバレなしなのだ。

私は読んでいる途中で本当にフィクションなのか気になり、解説へ飛ぼうかと迷ったがネタバレを恐れて我慢した。
だから最後に解説にたどり着いた時は、なんだあと笑い、そんなところもなんだか夢の国らしくていいなと嬉しくなった。

最近、ディズニーは入場料が高いと囁かれたりするけれども、度重なる災害時の対応や、心からの笑顔を一日中振りまいてくれるキャストを見るとむしろ安いと私は思う。

この本を通して、キャストさんに対しての尊敬と感謝の意が、今までと比べものにならないくらいとめどなく溢れてきた。

きっと毎日の中で嫌なことや辛いことがあって笑うことすら大変な人だっているだろうな、このスーパー暑い中、日陰もない中で凄いな、と。


次に行った時はもっとキャストさんひとりひとりを応援しに行く気分で行きたいな〜と思う。

私も明日から仕事、頑張るぞーー!!

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