「ベランダの猫」第3話
指輪の行方
ベランダの室外機の上で温まっていると、彼と彼女が大きな声で言い合うのが聞こえてきた。
すると次の瞬間、彼女が窓から何かを投げた。
私は猫の俊敏さで驚き跳び跳ねて身を隠したけど、キラッと光った感じで、飛んでいったものが何か分かった。
あれは、二人の大切なものだ。室内の言い合う声が更に大きくなった。
私は前からあれが欲しかったから「要らないならちょうだい!」と心の中で叫び、走って探しにいった。
猫の目は人間よりも良くないが、いろんなところに潜りこんで暗闇に目を光らせ