見出し画像

1-57 あなたのすぐそばにいる立派な悪人

\有印私文書偽造の一線を越えてしまえば、なんでもできる。相手を潰せば公訴もされない。彼らは、自分こそ被害者であり、わがままなやつに鉄槌を下すのだ、と言う。神仏を畏れず、善意と信念に満ちて語る人物は、天性の詐欺師だ。\

 そこそこ長く生きてきていれば、珍しい種類の人々を通りがかりに見かけることもある。悪人だ。とはいえ、粗暴犯や前科持ちなど、じつは大したことはない。恐ろしいのは、むしろそれなりの地位や立場にあり、いまだ犯罪者として捕まっていない人々。いや、彼らの多くは、一生うまく立ち回り、死ぬまで捕まったりしないのかもしれない。

ここから先は

1,370字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?