異次恋愛(いじれんあい)

『異次恋愛(いじれんあい)』
二人用声劇台本(男:女=1:1)

声劇台本置き場…https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/2988

《登場人物》
・結月(ゆづき)…アイドル。
・月宮(つきみや)…ファン。ガチ恋。


《本編》

月宮 「僕は君の笑顔に救われていた。君は僕の世界の全てだった。」

結月 「みんなぁ〜!今日は結月(ゆづき)の地上での初ライブに来てくれてありがとう!これからもっともっと頑張って、もっともぉーっと大きな会場を満席にするから、着いてきてくれるー?」

月宮 「もちろんだよー!!!」

結月 「ありがとう!皆、大好きだよぉー!!!」

月宮 (M)君の言う「皆」の中に僕が入ってる…でも僕がほしい「大好き」はもらえない。それはアイドルである君を好きになった時点で覚悟していた。

結月 「今日のライブも緊張したけど、楽しかったなぁ。次はもっと素敵なライブにするぞぉー!まだまだだけど固定のファンの人も増えてきてるし、これからもっと頑張らなきゃ!」

月宮 「今日のライブも素敵だったなぁ。次のライブも参戦するしグッズも積めるように、仕事頑張らなきゃなー。」

月宮 「早速、SNSの更新チェックしとこう。いつもライブ後すぐ更新してくれてるから、それも含めて楽しいんだよな。」

結月 (SNSでの投稿)『今日のライブも全力で楽しんで、見に来てくれた皆にも楽しんでもらえるようなパフォーマンスが出来ていたら嬉しいなぁー。』

月宮 「あっ、やっぱり更新されてる。『いつもライブ楽しんでます。今回も一段と素敵な結月ちゃんにドキドキが止まりませんでした!次回のライブも楽しみにしています。』っと。」

結月 さっき更新したSNSの通知音でスマホの画面を見ると、いつも反応くれてライブも来てくれてるファンの人からの返信に、笑顔になる。以前は返事を返していたけれど、より沢山の人の目に触れることになって、事務所からSNS等での返事を返さないように言われてしまい、そのこともお知らせはしているけど心苦しくなるのは変わらない。

月宮 「返事はこないかぁ…。前にお知らせしてたからわかってはいるけど、やっぱり悲しいな。」

月宮 「ファンが増えて今までと対応が変わるのも仕方ないことだし、事務所の意向ならそれに従わざるおえないこともわかってる。それでも遠くに行っちゃったみたいで悲しいなんて我儘だよな。」


結月 「今日のファンミーティングはライブお疲れ様&次回のライブについてお話できればなーと思ってます。」

月宮 『ライブ重ねるごとに歌もダンス,パフォーマンス,トークもより素敵になっていってるから、自信持って楽しんでくれると嬉しいな。』

結月 「月宮さん、いつも応援してくれてありがとう。毎回その時に出せる全力でやってるけど、しっかり成長できてるんだって教えてもらえて嬉しい!」

月宮 「日々一生懸命努力している結月ちゃんだからこそ、応援したくなる。僕も仕事頑張らないとなぁー。」


結月 「沢山お話できて楽しかったよー!次のライブも楽しみにしててね!じゃあ、皆おやすみなさい。」

結月 現状に満足していたら成長どころか衰退しちゃう。もっともっと頑張ろう。

月宮 「今回のファンミーティングも結月ちゃんの実りあるものになってるといいな。ファンの僕たちは応援することしか出来ない。それでも今の僕にできることは全力でやりたい。」


結月 「お願いします!ファンミーティングを無くすのはやめてください。今まで沢山応援してくれて、支えてくれてるファンの人たちとの交流の場を…無駄なんて言わないでください!」

結月 新規も古参も関係ない。一人でも欠けてたら今の私は存在してない。その感謝をライブ以外で直接伝えることのできる大切な場所なのに…。


月宮 「最近SNSの更新頻度減ったけど、これも事務所の方針なのかなぁー。」

月宮 以前は毎日『おはよう』と『おやすみ』の投稿以外にも食べたご飯の写真だったり、ライブ前だと練習のこととか含めて5つくらいだったのが、今では挨拶以外の投稿があればラッキーくらいになってしまった。


結月 「結局は事務所の意向を変えることが出来なかった…。このことをお知らせしなければならないのが心苦しい。でもいずれは言わなきゃいけないことだから、楽しみにしててくれているファンの人がいるからこそ早めに伝えたほうがいい。」


月宮 「ん?【大事なお知らせ】ってなんだ?ライブ情報ならこんな書き方しないし…。」

月宮 そこに書かれていた内容に僕は驚いた。先日のライブ後に開催されたファンミーティングではそんな素振りはなかった。恐らく配信後に事務所から話があったんだろう。内容はファンミーティングの無期限廃止だったが、書かれている文章からは結月ちゃんの優しさと悔しさ,申し訳ないという思いが伝わってきた。

結月 【大事なおしらせ】というタイトルの投稿をしたあと、私を心配してくれる人が沢山いてくれていることがわかった。でも予想はしていたけれど誹謗中傷する人達もいて、どうすることも出来なかった自分が不甲斐なくてしかたなかった。

月宮 「こいつら結月ちゃんのどこを見てきたんだよ!ちゃんと見てたらこんな風に思ったりしないだろ。」

月宮 段々エスカレートする誹謗中傷に反応しないのが一番いいんだとわかってはいても、目の前で傷つく結月ちゃんをほっとけなかった。

結月 「月宮さん…。」

結月 いつも私を応援してくれている人達が傷ついていくのを見ているだけしか出来ず、自分の存在が皆を苦しめているんじゃないかと考える。

月宮 「僕たちにはライブが有る!全力で結月ちゃんを応援していることを伝え続けるから!」

月宮 このことがきっかけで、結月ちゃんは暫くの間活動を休むことになった。戻ってきた時に今まで以上に大きな声で名前を呼ぶんだと心に決め、日々の仕事も頑張った。



月宮 「え……嘘だろ。」

月宮 なんとなくつけたTVのニュースに僕は膝から崩れ落ちた。


結月 「……ごめんなさい歌うことが好きだった。皆の前で踊れて,歌えて,お話出来て幸せだった。でも、私がアイドルとしてこの世に存在している限り悲しい思いばかりさせてしまうことが耐えられなくなったの。あんなに大好きだった歌も今は歌えない。こんな私は必要ない。皆、ありがとう。…さようなら。」


月宮 「日々の心の支えだった結月ちゃんがいなくなってしまった。仕事もやる気が出ず休みがちになって、とうとうクビになってしまった。今の僕には何も無い。もうこんな生活は嫌だ。」


月宮 「君のいない世界なんて僕にとって何の価値もない。今僕が生きているのだってただの惰性だ。どうせもう失うものなんて無いんだから、最後に君を苦しめた奴らを地獄に送ってから死のうと思う。」

月宮 僕は誹謗中傷していたやつらを殺して殺して殺しまくってやった。どうせ僕は君のいる天国にはいけないから…。せめて君を苦しめた奴らを地獄に送ってやるんだ。

END

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