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捨てるのか、活かすのか【本編】〜北鎌倉空き家再生プロジェクトno.5〜

まだ活かせるモノは活かしたい


とにかく大量のモノが残され、長い間放置されて庭も家の中も大荒れ。自分に縁のあるモノではないんだし、全てを捨てる、と決めてしまえばあとはやるだけなので簡単です。選別したり、誰か使ってくれる人がいないかなと考えたり、人に手渡す手間をかけなくて済むので。

それでも、敢えて非効率な方法、モノの命が生かされ活かされ、それを引き継いだ人の笑顔が浮かぶ方を選んでしまう。

これから数回は普通ならゴミとして捨てられてしまうモノをどのように活かせるか試行錯誤してみた経験を書いていきたいと思います。

自分は興味がない本

大量にあった本。100冊1万円分は古本屋さんに来てもらい買い取っていただきました。その他にも特に社会主義や組合活動に関する書籍や記録が膨大に残されていました。きっと見る人が見れば価値があるんだろうけど、私達には全く分からない。

どなたかに繋がればと、SNSや会った人に私達からできる範囲の発信はしてみました。すると図書館司書資格をもっているという近所の友人から、労働組合関係に詳しい知人がいるのできいてみるね、との申し出があったのです。

友人の知人である、エル・ライブラリー(大阪労働産業資料館)の館長さんが更に「労働資料協」のメーリングリストにめぼしい資料のリストを流して下さり、やり取りをしてもらった結果、2機関より3冊引き取りたい、との引き合いがありました。

これも司書として図書館勤務経験のある友人が「本が捨てられるときいて、力になりたい。」と、めぼしい資料の、題名・編者・発行年などの書誌事項をリスト化し、引き取り手が挙がった本の郵送の手配など、全て引き受けてくれたから実現したことでした。

2冊引き取って下さった方からのメールの一部です。
「こちらは、労働関係や政治、社会関係などの図書・資料を約2万5千点所蔵している資料室です。その中には、都職労や東京清掃労働組合が関係する書籍もありますが、今回エル・ライブラリー館長さんから紹介された2冊の書籍がこちらには無いため希望しました。
元々の書籍の所有者がどなたか分かりませんが、(友人)様や現在の所有者様がご苦労されて、それらの書籍を生かそうとされていることに、心から敬意を表します。寄贈頂きましたら、大切に保管したいと思います。」

何百冊とある中のほんの数冊です。数十冊はこの家の記憶として改修した後の家に置こうと思いますが、他は残念ながらほとんど捨てることになると思います。それでも、少しでも使ってくださる方の所に引き取られたこと、友人が自分の時間を使って私達の意図を汲んで動いてくれたこと、に大きな喜びを感じられた体験となりました。

発信してみる

これも、価値が無いと決めつけないで欲しい人がいるかもしれないと想像してみて、自分達だけでどうにかしようとせず、発信してきいてみたことでご縁が繋がったのだと思います。そもそもこの近所の友人が司書経験があることも知らなかったし、専門知識と人脈がある人がたまたま近くにいて、私達の発信をキャッチしてくれたからこそ実現できたことでした。

俳句や詩に関する本も多く、それもどなたかに繋げられればなぁ、と思っています。俳句をやっている友人がいるので、すぐ上の山で季節を感じてそれを俳句にしたためてみる会をしたついでに、本も見ていってもらうのはどうだろう?

ロシアのレーニン切手コレクションもあり、デザインや色づかいは面白いのだけど、自分がそれを所有する程の情熱があるかと言われればそこまでではない。それもまた切手好きな別の友人が思い当たる所にきいてみてくれる、とのことだったので頼んでみたいと思っています。

せっかくなら楽しみながら可能性を探したい。妄想は広がります。

次回は剪定した桜の木について書きます。

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