栖周(すみ・あまね)

島根の山奥で生息中。 オリジナル、二次創作のイラストを描いていますが、こちらでは小説に…

栖周(すみ・あまね)

島根の山奥で生息中。 オリジナル、二次創作のイラストを描いていますが、こちらでは小説にも挑戦しようと思います。 好きなジャンル:妖怪・ホラー・ミステリー・コメディ https://suzuri.jp/sumiamane https://twitter.com/sumiamane

最近の記事

雪しぶき。(#ドリーム怪談)

「雪を、轢いたんです」 おもむろにKさんはそう切り出しました。 おもわず「雪……というのは人の名前ですか?」とたずねると、違う、そうじゃなくてあの空から振ってくる雪ですとこちらをじっと見つめてきました。 そんなもの轢いたところで……というか道に積もってれば誰だって雪の上を通るでしょう? 何をそんなに気にしてるのか聞いてみたんですが、Kさんの話も要領を得なかったんです。どうも雪は雪なんだけど雪じゃない、雪じゃなかったと繰り返すばかりでした。 Kさんも最初は動物だと思ったそうです

    • 墓石の山。(#ドリーム怪談 )

      うちの実家はそもそも山の中にあるんですが、その中でも一軒だけあるお寺が最も奥まった山の中にあるんです。 それも石段でしか上がれないところでして、その数も百段近くあるんですが。 普段は用がなければ上がりませんよ。 ただ、仕事ともなれば歩いて上がります。 ええ、私、石屋で働いておりまして。 とはいえ、石を加工する方ではなく、墓石を運ぶ方の担当でしてね。 というのも、そのお寺さん、使わなくなった墓石の供養をされてるんですよ。 結構需要が多くてですね、手が足りないというのでお手伝いし

      • やまだのおどり。 #ドリーム怪談

        「やまだのおどり」 島根県の山奥に耶麻田(やまだ)村という村がありました。祖父の代まではそこに住んでいたと言います。私の父も割と頻繁に様子を見に帰っていたようでした。私も子供の頃に一度だけ連れて行ってもらいました。12歳の頃だと記憶しています。今から丁度40年前の夏の事です。夏休みを利用して、随分時間をかけて行きました。お盆にあわせていったので、村の中心にある寺で盆踊り大会が開かれると聞きました。ことに、八年ごとに巡ってくる大祭の年だというので大いに賑わっていたことを思い出し

        • 来た人 #ドリーム怪談

          私の住む群雲(むらくも)村は30戸ばかりの小さな集落で、みな顔見知りばかりです。 それどころか数代さかのぼればおおよそ全戸、親戚関係になります。 近隣の集落とも付き合いはあったので、極端に「血が濃くなる」といった事はありませんでした。 昔から新しい物好きで陽気な人が多い、と近隣の村からは見られていたようです。 その理由の一つに、自分達が「都から来た人たちの末裔」といった思いがありました。 山陰にあるこの村は、隠岐の島への配流を科された貴人たちが立ち寄った村だと言い伝えられてい

        雪しぶき。(#ドリーム怪談)

          晴れの村。

          山陰地方の山奥に、通称・晴れの村と呼ばれる集落があります。 雨の多い山陰地方にも関わらず、非常に雨が少ない土地だと近隣の集落にも知れ渡っていました。 私の叔母はその晴れの村へ嫁ぎました。叔母の実家である、私の祖父の家から車で20分。 そんなに近くても、実家の雨の多さと比べると、まるで別天地の様だと言います。 私も小学生の頃、何度か叔母の家まで遊びに行ったことがあり、確かにその思い出の中では晴れのイメージが強いのですが、むしろ雨の日の事を強烈に覚えています。 小学校低学年の頃で

          体育館の染み。

          私が通った小学校は、昭和54年に木造から鉄筋に建て替えられたばかりだった。 翌55年生まれの私が入学した時は築8年目。 元々棚田だった場所を崩して平らにしたため、校庭はいつも湿っており山陰地方の気候も相まって、新築にも関わらず校内はじめっとしていた。 そんな状態だったから、早々に体育館のステージ奥の壁に大きな染みが出来ている、そんな話を聞いた。 当時は校舎がいつできたのか知らなかったので、さして気にも留めなかったし、実際に染みを見にステージまで上がることもなかった。 ステージ

          さる?(創作怪談) #2000字のホラー

           令和の時代になっても田舎では獣害が酷い。  いや、むしろ山林の手入れをしなくなった事と、山の上に高速道路が通った事で動物たちが里に下りる頻度は上がっている。  戦後すぐに生まれたという祖父が子供の頃には、イノシシが一頭迷い出て来ただけでお祭り騒ぎになったらしい。  最近はイノシシの方が住人より我が物顔でアスファルトの上を闊歩している。タヌキやアナグマも庭を駆けまわり、時には野ウサギやキツネまで顔を出す。  中でも一番野菜や果物の被害が大きいのがサルの集団だ。  サルは頭が

          さる?(創作怪談) #2000字のホラー

          ちむぐくるで紡ぐ、私の考えた『ちむどんどん』設定

          それは沖縄から始まる家族の物語。 1964年、沖縄本島北部のやんばるに暮らす比嘉一家。 集落から少し離れた山の中で家族6人、つつましく暮らしていた。 父・顕樹はサトウキビ農家を営みつつ、日々料理と三線を楽しみとしていた。 母・由布子は顕樹と共に野菜を育てつつ子育てに勤しんでいる。 長男・顕星はややヤンチャな気質を持っているが、豚の世話に余念がない。 長女・龍子は勉強好きで学校の先生になる事を目標としていた。 次女・乃布子は父譲りの料理好きで、美味しい食べ物に出会うとちむどん

          ちむぐくるで紡ぐ、私の考えた『ちむどんどん』設定