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屋久島:たどり着くまで

前回の投稿で話した通り(下記)……

ここのところ休暇のような期間が長くあり、いい機会なので4泊5日で屋久島に来ている。

行きは羽田→鹿児島→屋久島のフライトを取ったのだが、あいにく移動当日は屋久島に警報が出るほどの大雨であった。屋久島の天気は変わりやすく天気予報は当てにならないと聞いていたので私は天候のチェックもしておらず、そんなことになってるとは知らないまま羽田空港に向かい、チェックインを行った。このときチェックイン機に何か表示が出ていた気がするが、乗り継ぎの注意だろうと読み流してしまった。乗る前の地上係員からのアナウンスで鹿児島から各離島の乗り継ぎが悪天候による条件付きフライトであることを知らされ、スマホでJALのサイトを見ると視界不良が原因という。霧雨でも降っているのであって、まあ大丈夫だろう。現実は警報が出るほどであったのだが、前述のとおり何も知らずに出発したところ、羽田→鹿児島間を移動中に欠航が決定してしまった。

大丈夫だろうとなめてしまったのは、フライト経験が相当ある中で、条件付きフライトが飛ばなかったり引き返したりした経験がなかったためである。(条件付きでないフライトが強風で引き返した経験はあるが、それも1回だけ)

とりあえず欠航経験が少ないうえに、乗り継ぎケース、つまりもうホーム(羽田)でなくアウェイ(鹿児島)である。同日の別便で飛ぶか当日は鹿児島市内に泊まるかを考えるために、空席や宿の価格帯や市内への移動方法をガチャガチャとスクラッチで調べながらJALのカウンターに並ぶ。列を整備する係員が何やら紙を渡してくる。

船の時刻表と空席状況である。

散々な1日だったので紙はボロボロである

船…….

地上係員曰く、「終日天候が悪く次便以降も欠航の可能性が高い」。

しかし台風などの風系欠航ではないため、船は普通に動いているらしい。

しかし船である。船。この悪しきもの。私は乗り物酔いをしやすく、生涯に飲んだアネロンニスキャップ(酔い止め)の総数を競う世界選手権があれば結構いいところにいくと自負している。飛行機でも酔い止めを飲むし、12時間以上のフライトでは6~7時間時点で追いアネロンを行う。もちろん今回のフライトでも投入済みである。夕方~夜の田園都市線で8000系車両の急行に乗ると三軒茶屋と二子玉川の間で酔うので二子玉川で30分の休憩を要するし、夕方~夜の横須賀線は西大井と武蔵小杉の間がちょっと危ない。これらの電車はさすがにシラフ(非アネロン状態)だが、船はアネロンを貫通してきた(=飲んでも酔った)経験があるので極力乗りたくない。

実は今回のフライトは特典航空券(=マイルで乗るやつ)で、ほぼタダである。
船に乗るのは船代がかかる。
別フライトに切り替えれば、当初の予定通り移動にはお金がかからないし到着時刻も早い。
しかし別フライトに振り替えてそれが欠航だった場合、船の出航時間を考えると鹿児島に泊まらなければならなくなる。
そうなるといくらかかるのか?
だいたい明日は普通に飛行機が飛ぶのか?
また欠航する可能性はどれくらいなのか?
宿、レンタカー、ツアーそれぞれのフライト欠航の場合のキャンセル料はいくらなのか?
翌日渡航にした場合に各予約の取り直しのために何の手続きをしないといけないのか?

めんどくせぇ~~~~~~

なんだかもう年齢を感じる。10代だろうが20代だろうが体力がなかった身としては、30代になったとき、歳をとってもそんなに失われるものはないなと感じたものだが、40を超えてからとにかく思考の体力というか、マルチに情報を高速で処理する体力が落ちてきているのを感じる。

めんどくささ(思考体力のなさ)に負け、船に乗ることにした。予定の日に屋久島まで移動ができていれば、レンタカーの時間変更以外は何も触らなくていいからである。

しかし気になる。次便は本当に飛ばないのか。飛ぶなら飛行機の方が早く着くのである。あと金がかからない。

バスで鹿児島市内に移動し、港の待合室で船を待つ間も、JALのサイトで飛ぶのか飛ばないのかを調べてしまう。船を選択した身として不要の情報である。しかし、

次便が欠航するか、欠航しなくても着陸せず引き返してほしい

という考えがどうも捨てられないのである。

大学まではそういった思考を持つ人物に出会うこともなかったが、社会に出てからかなり見かけるようになった。自分の選択が間違ってないとするためになにがしかに失敗してほしいという思考である。なんと非生産的で愚かなことだろうかと思っていたが、自分もそういった思考回路を持っていることが分かり、他人にやさしくなれるような気がした。船代12000円と追加のアネロンによる肝臓の負担分くらいは収穫があってよかった。


ちなみに次便は20分遅れで飛んで無事着陸していた。

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