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【日記】じけん|こどもの頃の日記から 14

196X年1月Y日 Z曜日 雪 朝の内はくもっていた

予定より1日おくれてザルツブルクへ旅行。

朝早くおこされ、目をこすりながらごくかんたんな朝食をすませてくるまに乗った。

まだ暗い市内を走りアウトバーンに出た。

そのころようやく粉雪がちらちらとふり始め、みんな大はしゃぎであった。


ときどきパークに入って父と母が運転をこうたいしたり、飲み物を飲んだり、WCに行ったりした。

モントゼーあたりでガソリンタンクのメーターのはりが、赤いところスレスレになってしまった。

さいわいモントゼーの町があるので、アウトバーンから出てガソリンを volltanken 〔満タン〕にしようということになった。

モントゼーは美しい湖が見える所。しかし、冬なので雪にじゃまされたり、湖の水も半ばこおりかけていたので、あまりよく見えなかった。

父はいつもシェルに行くが、ガソリンがなくなりそうだから、モゥビルでもトゥタルでもアラァルでもアギィプでもBPでも何でもいいから入れなければならない。

さいわいモゥビルが見つかったので、ホッとした。運がよかった。

というわけで、Tさんのお宅に着いたのは昼ごろだったが、
Tさんはるすだった。

Tさんは、日本ぶよう、お花、お茶など、
日本のげいじゅつをなさる方らしい。
Tさんが帰っていらっしゃった時、はかまをはいた和服すがただった。
はきものは、もちろんぞうりだった。

少し市内を車でまわることにした。

あるきょうかいの前に来たときに、父が車をとめて中を見に行き、
「きれいだから、みんなおいで」と言ったので、みんなで車をおりた。

その時、なかにかぎを入れたままロックの黒いポッチをおしてドアをしめてしまったのだ。かぎがなければドアはあかない。

ガラス窓をわれば、ウィーンまでの帰り道がさむくてたまらない。

(つづく)