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【短歌】秋の光に|文語の定型短歌を詠む 19

夏過ぎて都会まちの人々帰る頃 雲の御簾みす上げ富士は現はる

澄み渡る東の空に富士見えて 秋の光に里は息

八月の喧噪けんそう消えし山のに広がる空のさやかなる青

八ヶ岳 九月の空に伸びをする 夏の疲れに苦笑にがわらひして

子ども等の歓声響きしこの道も 初秋の風に葉擦れ聞くのみ

山荘の窓辺に唐松の葉降りて 優しき声の亡き人を思ふ


2012年11月詠

初出 『橄欖』2013年1月号