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【短歌】亡き人を|文語の定型短歌を詠む 17

2013年3月詠

亡き人を恋ふ人の歌 わがたまの傷の瘡蓋かさぶたなぞりて届く

絶望の日へと瞬時に引き戻り闇に覆はるわが意のままに

忘れじとちかひし我に降り積もる時を恨めど天の慈悲なり

死を思ひ死を語る日が増えて行く子無き我らの常の暮らしに

ウツクシイニホンゴデスネとうなづきぬ「彼岸」の字義を説かれし人は


初出 『橄欖』2013年6月号

見出し画像 東山魁夷 唐招提寺御影堂壁画「桂林月宵」(1980)