【短歌】寄り添ひて｜文語の定型短歌を詠む 13

2012年4月　詠

門前に少年と少女佇たたずみて飽かず語りぬ黄昏たそがれる間まも

新しき制服ならむ少年と少女は我に立礼りつれいをする

やや離れ顔を見合はせ立つふたり教室の中で語らふごとく

暮るるほど寄り添ひてゐたきかの想ひ自らにさへ伏しし春の日

外灯に浮かぶ桜の薄紅を頬に映して語らふ二人

初出：『橄欖』2012年7月号